【これがあるから】使うたび、心と体がととのうキッチンアイテムたち(編集者・中村暁野さん)
編集スタッフ 糸井
必ずしも必要ではないかもしれないけれど、その人にはとても大事で、ずっと手元に置いておきたいもの。たとえばいくつかの鍋や、マグカップ。ふと目に入ると、心の撫でられる気分になれるアイテムが、私にもいくつかあります。そんなアイテムへの愛あるエピソードを、いつまでも話し、聞いていたいです。
この連載では気になるあの人に、好みが変わっても捨てずにきたもの、ついいくつも集めてしまうもの、その収納法について伺ってみました。
今回ご紹介いただくのは、編集者の中村暁野(なかむら あきの)さんです。
洗い物が楽しくなる
高田耕造商店のたわし
「高田耕造商店のたわしは、シュロの素材でできているので固すぎず、柔らかすぎす。形や大きさも『そうそう、こういうのが欲しかった!』という、痒いところに手が届くような多彩なラインナップがあります。
見た目もかわいいので、掛けたり置いておいても、部屋にも馴染むので気に入っています。とくに花瓶や水筒も洗えるポット用のたわしは、猫のしっぽみたいなフォルムがとってもかわいくて。マイボトルを洗うたびに『いいな〜』と嬉しくなって。
自分の身体をととのえる
天然素材のキッチンアイテム
「つい集めてしまうものといえば、天然素材のキッチン用品がずっと好きです。カトラリーや、鉄の鍋、竹でできたザルやカゴ、木の器などなど。
集めだしたのは、自分の体や心が食べるものに大きく左右されると気づいた23歳の頃から。この時期に食を見直したことがきっかけでした。
食べるものを考えると、その食べ物を煮たりよそったりするものも自然に近い素材で、長く使えるものが自分にはしっくりくるなぁと思い、そういった感覚をずっと大事にしたくて集めています」
何度でも繰り返し使える
ノープラキッチン用品
「最近はキッチンで使う様々なものを繰り返し使えて、かつノープラスチックのものを集めています。ほうき草の小ぼうきや、さらし、食べ物の保存瓶、ガラスのストロー、コットンティーバッグなど、気がつけばたくさんのアイテムが集まってきました。
たとえばラップは、ミツロウラップとサラシで代用(冷凍ご飯も濡らしたサラシで包み、そのまま冷凍し、温めるときはそのまま電子レンジにかけられます)。
キッチンのすぐ手が伸びるところには、ガラス製のマイストローを置いて。マイストローは自宅でスムージーなどを飲む時にも重宝しています」
「特に気に入っているのがサラシ。ヨーグルトを濾したり、
それだけでなく、ちょっとした手土産や、庭の花を摘んで渡すときのラッピング代わりにもなる。お手拭きやラップとしても使えて、洗えばすぐに乾く。
よれよれになったら台拭きや床掃除に使って、最後はコンポストに入れたら土に還る。わが家の台所の万能選手ですね」
***
「20歳〜25歳くらいまで、体も心も不安定な時期がありました。あまりご飯が食べられなかったり、食べてもお菓子のようなものばかりだったり。そこから食べることを見直し、体にも心にもゆっくり向き合うことで、自分のなかの苦しかったものがゆっくりゆっくり変化していきました。
『食べること』に前向きでいられなかった自分をある意味で支えてくれて、変えてくれた、縁の下の力持ちが『台所の道具たち』です。
25歳で子どもを産んでからも、子育てに悩んでいても、台所に立つことで子どものために何かを作ってあげられることが自分を支えてくれました。
キッチン用品は、病める時も健やかな時もいつも暮らしをそっと支えてくれる相棒たちのような存在なんです」
【写真】中村暁野
もくじ
中村暁野(なかむら あきの)
一年をかけてひとつの家族を取材する雑誌『家族と一年誌「家族」
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