【おしゃれのつくり方】滝口和代さん〈後編〉抜け感ってどうやってつくるの? コーデの微調整ポイント
編集スタッフ 岡本
毎朝コーディネートを考えるとき、いつからかバタバタと流れ作業のように決めるのが日常になっていたここ最近。
以前はもう少し、「好き」や「これ着たい!」というポジティブな気持ちをベースに洋服を選んでいたような気がします。
そこで、自分にぴったりな着こなしのヒントをもらうために、おしゃれな人のコーディネートを組み立てるときのポイントを聞いているこの特集。
今回お話をお聞きしたのは、ブランド「fofofofa」や「nest Robe」などで活躍中の滝口和代さんです。
新しい洋服を買いたくなったときや、ファッションへのモチベーションを上げたいとき、必ず開いている滝口さんのSNS。
キュンとする色合わせや絶妙な重ね着コーデなど、見ているだけで元気がもらえます。
コーディネートを考えるときのはじめのステップをご紹介した前編に続き、後編では、洋服を着た後にしていることについて聞いてみました。
前編を読む
「抜け感をプラスできる場所を探す」
滝口さん:
「洋服を着たら完成ではなくて、鏡を見ながら色の組み合わせや丈感など、全体のバランスはどうかな?と見てみてください。
そのときに私がよく調節するのが、無造作な抜け感です。
例えばシャツの襟を後ろに抜いたり、袖を少しまくって肌を見せたりすることで、こなれた雰囲気になる気がしています。かっちりしすぎず肩の力が抜けている大人っぽい雰囲気といった感じでしょうか。
今は寒いので難しいけれど、肌見せするなら首元・手首・足首の3つがポイント。
太めのフルレングスボトムは着るだけで今っぽく仕上げてくれる優秀なアイテムだけれど、時にはゆるっと見えすぎてしまうことも。でもほどよく肌見せすると、だらしなく見えず、女性らしい着こなしになりますよ」
▲シャツジャケット(nest Robe)
滝口さん:
「シャツの袖やボトムの裾をまくるときは、できるだけ無造作に。
少しくしゃっとしているくらいでちょうどいいと思います。これも全体で見たときの抜け感に繋がるポイントです」
「今の気分を小物で表現してみる」
滝口さん:
「コーディネートを組むとき、つい洋服で完結してしまいがちだけれど、差し色や遊び心をプラスできる小物も一緒に考えるとぐんと幅が広がりますよ〜。
メイクもアクセサリーもあまり得意ではないので、積極的にはつけないタイプなんです。
なので赤いリップを引くようなイメージで、ワンポイントになる小物を選んでいます。
メイクをするイメージの延長で、数分でできるヘアアレンジをすることも。でも時間がなかったり髪型が決まらなかったり、というときは帽子に頼っていますね。
ちょこっとの違いだけれど、頭の上までコーディネートできていると、より洋服も活きる気がします」
滝口さん:
「普段から帽子を被っていないと見慣れない自分の姿に恥ずかしさを感じることもありますが、それでも被り続けることが大事だなと思っています(笑)
自分も見慣れてくるし、似合う帽子も分かってきますから」
滝口さん:
「改めてどうやって小物を選んでいるか考えてみたら、『今一番言いたいこと』をバッグや帽子に込めていることに気付きました。
このコーディネートで言うと、持っている巾着バッグはヤオ族の手縫いのもの。手仕事で作られたものに愛着を持って、大切にしていきたい気持ちが表れたんだと思います。
夏の終わり頃に季節を先取りしたくてファーバッグを持つときもありましたね〜。
今の気分を表現できる小物は選んでいるときも楽しいです」
滝口さんに聞いてみたい!
流行りのオーバーサイズコーデ。
大人っぽく着るには?
コーディネートを組むときのステップをひとつひとつ見せてもらって、滝口さんの頭のなかを覗かせてもらっているような気分に。自分のなかに新しい基準が生まれていくのを感じました。
最後にお聞きしたのは、オーバーサイズアイテムの選び方。
リラックスした着心地でありながら、今っぽい雰囲気をまとえるオーバーサイズアイテムは気になる存在でありながら、どう着こなせばいいんだろうとちょっと及び腰になっていました。
滝口さん:
「私も大好きで、クローゼットにはゆるっと着られるアイテムがいくつもあります。
ゆとりのあるシルエットでもだらしなく見えないポイントは、素材選びですね。上下オーバーサイズコーデでも、シンプルなカットソーでも、素材がいいと一張羅になりますよ」
滝口さん:
「01のコーデでも合わせたオーバーサイズシャツは、スーピマコットンという細番手の糸で高密度に織った素材を使っています。
ハリがあるからジャケットのようにも着られるうえに、丈夫で長持ちするんです。
お財布事情もあるし、すべてのお洋服を素材のいいもので揃えるのは難しい。でも自分にとっての定番アイテムや、これからもずっと着たいと思えるものに出合えたら、思い切って素材重視で選んでみてはどうでしょうか。
それがおしゃれをもっと楽しむ入り口になるかもしれないですから」
わたし「調和とスパイス」に惹かれるようです
滝口さん:
「私がコーディネートを考えるときヒントにしているのが、調和とスパイス。なんだかお料理みたいですね(笑)
全体的に調和がとれていて、スパイスが少し効いている。そんなスタイルが好きなんだなと、今回コーディネートにまつわる質問をたくさんもらって改めて気付きました。
調和とスパイスのバランスを取るために、『今なにが好きだろう』『どんな雰囲気になりたい?』と自分を知ることが大事な気がします。
自分の気持ちにリンクした洋服選びができると、心地いいですし、それってきっとその人にとっても似合っているんじゃないかなと思うんです」
***
この日の取材のために、洋服やバッグ、靴などたくさんの私物を持ってきてくれた滝口さん。
ずらりとハンガーに並んだ洋服たちを眺めていると、色や柄、デザインやサイズまで本当にさまざまで、そういえばファッションってこんなに自由なものだった!と、心の底に追いやっていたワクワクが蘇ってくるようでした。
ここ最近、クローゼットを前に考えるのはその日の天気や予定のことばかりだったけれど、それと同じように自分の「好き」や「着たい!」も、少しずつ組み込んでみよう。
滝口さんとのおしゃべりを経て、おしゃれのノウハウだけでなく、大らかで自分らしいファッションの楽しみ方を教えてもらった気がします。
【写真】滝沢育絵
もくじ
滝口和代
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