【台所でおつかれさま】第9話:仕事の合間に「今日の献立」を見返すのが、毎日のひそかな楽しみなんです(スタッフ白方)

編集スタッフ 糸井

台所ではどんな時間が流れているでしょうか。料理はもちろん、ラジオを聴いたりドラマを観たり、椅子を置いて仕事をする人もいるかもしれません。

そこには、無意識のうちに自分をケアする習慣が隠れていることも。台所に立つ自分をちょっと俯瞰して見ると、日々大事にしていることが見えてくる気がします。

この連載ではスタッフ宅にお邪魔し、そんな「台所」にまつわるエピソードをきいていきます。今回訪ねたのは、スタッフ白方宅です。


#09
スタッフ白方の台所


2LDKに、夫と2歳の娘、それから2匹の猫と暮らす白方。

玄関をあがってまもなく目に入るのが、ステンレスの台所。まるで業務用のようなその佇まいの奥には、青い絨毯が敷かれたリビングが広がります。家具のベースは北欧のヴィンテージ。窓際やベランダには、植物が趣味だという夫の収集物がのびのびと置かれています。

角部屋の白方宅はいたるところに窓があり、日中は照明いらずの空間。普段台所では、どのように過ごしているのでしょう。

白方:
「台所での好きな時間は、朝。キッチンの小窓は東向きなので、朝の光がよく入るんです。ひとり早起きした日は、その景色をひとりじめしながらパンを食べるのが至福。キッチンで食べるのって、なんでか気分が落ち着くんです

白方:
「元々花を飾るのが好きなのですが、猫が増えたり子どもが生まれたりしてからは、誤飲や怪我が心配であまり飾れなかったんです。でも最近、キッチンに置き始めたらいい感じで。これも自分だけがひとりじめしている景色のようで、気に入っています(笑)

 

お気に入りは、オリジナルのキッチンカウンター

フルリノベーションを加えたこの家に住んで4年。今も住みながら細部をリノベしているそう。目下計画を立てているのが、玄関脇の空間を寝室にすること。

そして最近手を加えたのが、シンク前のカウンターなのだとか。

白方:
わたしも夫もお酒が好きで、昔は酒器やあらゆるお酒を集めていました。近頃はそこに、お茶やコーヒーのアイテムも増える一方。

そこで、それぞれ専用のコーナーがほしいねと『収納のあるキッチンカウンター』を作ることに。上には、一軍の飲み物をスタンバイし、棚部分には食器や調味料などを一式収納しています」

白方:
「カウンターは、たまたま通りがかりに知った家具メーカーに制作を依頼しました。既製品も探したものの、新しく作るのと値段が変わらなかったので、せっかくならサイズをオーダーできるほうがいいねと。

想像以上に収納場所が確保できて、キッチン道具の使い勝手もよくなりました」

 

おまもり代わりの「献立」。続けて2年になりました

白方
夜ご飯は夫担当の日も多いので、我が家では一週間毎の献立を作り、アプリで共有しています。続けて2年ほどでしょうか。

スーパーへの買い出しも、ここに書いてあるものを買うだけなので随分楽になっています。

疲れた夕方、『さてご飯を作ろう』と思ったときにはここを見るだけでタスクが分かるので、私にとっておまもりのような存在なんです

白方:
「料理自体も好きなのですが、献立を作る時間のほうが好きになりつつあります。

料理って、いざ始めると段取りや次のステップに焦ることも多くて……。それはそれで『今』に集中できて楽しいのですが、献立は『さき』のことをじっくり考えられる時間。

来週の自分や家族が、何を食べられたら嬉しいだろうと計画するひとときで、凄く贅沢で幸せな気持ちになるんです。

まるで小学生の頃の給食の献立を眺める気持ちで、仕事の合間に『今日の献立なんだったっけ?』と献立アプリを開くのも、毎日の楽しみだったりします」

 

安心貯金のための、八百屋さん通い

そんな献立づくりによく登場するのが、野菜の蒸し物やサラダなのだとか。

白方:
献立といっても、出来合いのものや作り置きサービスを使うことももちろんあります。そんな日にも、楽に栄養が摂れたらと野菜の副菜は必ず用意します。

一週間に1度近所の八百屋さんやスーパーで、冷蔵庫の野菜室が一杯になるくらいの量を買い出して。3人暮らしだけれど、パッと見たら5人分くらいの量を買うので、トマトだけでも大体2、3袋は消費します」

▲たくさんの野菜をどう消費しようかと悩んだとき、よく頼る料理家さんが何人かいるそう。

▲野菜サラダに重宝しているのが、お気に入りのごま油。「ここのごま油は本当に美味しくて、出会う人にいつもおすすめしています」

 

休日だけの、「余り野菜スープ」づくり

大量に買った野菜室の野菜も、金曜日にはほぼ空っぽなることがほとんどだけれど、減りが少ない週も。そこで、ロスを出さないために始めた習慣が「週末だけの野菜スープ仕込み」です。

白方:
「これは、金曜日の夜のルーティンになっています。平日の朝ご飯は手抜きになりがちなので、土日だけでもしっかり食べたいなと、余り野菜を使ってスープを仕込むんです。

スープって割とおおらかだから、何を入れても味がうまくまとまるので有り難いです

白方:
一緒にいれるのは、手作りのベーコン。料理家・今井真実さんのベーコンレシピを長年愛用しています。鍋ひとつで90分ほどで作れるので、二週間に一度作り置きして、冷凍するようになりました。

ベーコン自体にほどよい味が付いているから、コンソメなしでもおいしいスープが出来上がります」

 

いきなり料理が得意になるわけではないから

白方:
「一人暮らしや夫と二人だった頃は、料理自体にそこまで情熱は注げず、外食にもよく出かけていました。大きく変わったのは、子どもが生まれてから。

みんなの元気を保つことに気を配るようになり、家族が健やかでいるためには、料理が大きいんだろうなと再認識するようになりました」

白方:
「それでもいきなり料理が得意になるわけではないから、最初の頃はとりあえず野菜をたくさん買って、いかに一週間ですべて食べきるかを考えるように。

それがちょっとしたゲーム感覚のように楽しくなっていきました。冷蔵庫の隅で哀しくなった野菜を見つける頻度をどんどん減らしていけば、自分たちが健康になれている証。そんな風に、献立づくりを楽しんでいけたらと思っています

***

さて次は、どのスタッフの台所を訪れましょうか。次回の更新もお楽しみに。

 

【写真】濱津和貴


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