【軽やかに暮らす】後編:今の家具のままで気分を変える。リネン1枚でさわやかな暮らし。

ライター 藤沢あかり

梅雨、そして夏に向かうこれからの季節を、暮らしも心も軽やかに。そんなふうに過ごすヒントを求めて、「軽やかに」暮らしている方に会いにいきました。

訪ねたのはリネンと雑貨のブランド「fog linen work」オーナー、関根由美子さん。前後編でお届けしています。

後編では、リネンのファブリックの楽しみかたを伺いました。

 


気軽に変える、大きく変わる
関根さんの「リネンのある毎日」


季節感は色で演出
春夏のテーブルクロスはこんなふう

ものを増やすよりも空間の広さを大切にしたいというお話を前編ではお聞きしました。そんな関根さんのお宅に変化や季節感を添えているのがリネンのファブリックです。

「布一枚で、手軽に雰囲気を変えられますよ」と話す関根さん。たとえば、どっしりとした古い木製ダイニングテーブルにかけていたのは、ナチュラルカラーのリネンクロスです。

関根さん:
「テーブルクロスなら、手肌に触れるリネンの質感が気持ちよさを日常的に楽しめます。

買ったばかりのパリッとした状態が特に好きですが、使い込んでくたくたになった手触りもいいんですよね。テーブルクロスは汚れやお手入れが気になるという方もいらっしゃいますが、リネンならざぶざぶ洗濯機で洗ってアイロンいらずで使えます」

▲こちらは漂白や染めを施さず、リネンの素材であるフラックス繊維を生かしたナチュラルな色合いのもの。

関根さん:
「面積が大きいので、部屋の雰囲気がこれ一枚でがらっと変わるのもいいですよね。春夏はナチュラルやブルー系などの明るく軽めの色、秋冬は黒やグレーなどの濃い色を選んでいます」

▲テーブルクロスは暗めと明るめでざっくりと仕分けしておけば選びやすい。「汚れが気になる方は、濃色や柄物から始めるのもおすすめです」

 

布一枚あればOK
気軽なカーテンの楽しみかた

空間に変化をつけるもうひとつが、カーテンです。こちらも涼やかな白に模様替え。これだけで軽やかな雰囲気です。

そうはいってもカーテンを季節で替えるのは、なんだか大変そう。引っ越しのタイミングで選び、それっきりというのはわが家だけではないのでは、とも思います。

関根さん:
「そうなんです。カーテンというと窓に合わせて長さを測って、ひだのボリュームを考えて。家に合わせたサイズを考えるだけでもひと仕事だし、さらにひだのところにフックをひとつずつ付けて……つけ外しも面倒です。

でも、布一枚にしておくとすごく気軽なんですよ。長さの調整は、上部分を折ってカーテンクリップで留めるだけ。切りっぱなしの一枚布でもいいし、使わないときは小さく畳めます。

引っ越して窓のサイズが変わっても大丈夫だし、リネンだから洗濯も簡単。洗濯機で洗った後は、そのまま吊り下げて乾かしています。乾くのもあっという間です」

 

夏はリネンワッフルタオルの気分
薄手で、吸水性がよく、すぐ乾きます

バスタオルも、夏は軽やかなものにチェンジしています。さらには、同じ素材でも織りの違いで季節感を出すという関根さんらしい選びかたも。

関根さん:
「同じリネンでも、夏は軽い薄手のワッフル生地を使っています。ワッフルのように少しでこぼこした織りのものです。反対に冬は、厚手で目の詰まったシャンブレー生地を。洗面所でも、夏はストライプ模様を使うなど気分に合わせて変えています」

▲ゲストルームに備えたシャワー室のタオルも夏仕様に。この日は清涼感のあるブルーのストライプ。

 

思い切って手に入れたリネンシーツが、もたらしてくれたこと

こちらは3階の寝室です。ベッドリネンも夏は白を中心に、明るい色を選んでいます。

ここでも余白を大切に。リビング同様、風通しのいい空間です。

関根さん:
「洗い立てのシーツに飛び込む瞬間が、いちばんしあわせです。

ひとり暮らしを始めたとき、キッチンクロスやシーツをリネンで揃えようとしたんです。でも当時、雑貨屋さんに並んでいたものはキッチンクロスひとつをとっても、毎日お皿を拭くには躊躇するようなお値段。自分にはなかなか手が届きませんでした。

ずっと欲しいと思いながら過ごしていたあるとき、読んでいた本に『隣に住んでいるイタリア人が1枚のシーツを毎日洗って干している、それがとてもしあわせそうだ』というエピソードがあったんです。須賀敦子さんのエッセイだったかな。すごく素敵に思えて、わたしもやってみよう!って」

関根さん:
「65,000円のリネンシーツを、思い切って手に入れました。いま考えても、勇気がいるお値段です。

でも、お洋服やバッグに比べてシーツは毎日使うものだから、ほかのものを我慢してでも欲しかったし、手に入れてすごくうれしかったです。その一枚を毎日洗って干して、夜寝るのがほんとうにしあわせでした」

手触り、におい、心地いいしあわせ。からだじゅうで味わったリネンの気持ちよさが、いまの仕事のきっかけにもつながりました。

▲いまも手元に残している、初めて買ったアイリッシュリネンのシーツ。洗濯をくり返し、とろとろの手触りに。「破れたあとは、切ってカーテンとして使っていました」

 

いつも軽やかに暮らすために

取材も終わりに近づくころ、関根さんがフレッシュハーブでお茶を入れてくれました。前編でリビングに香っていた、レモングラスとミントです。

家にいる時間は、こうしてお茶やお酒を楽しみながら、家族とおしゃべりや読書をして過ごしています。

リネンのカーテンが揺れるその先には、オリーブやミモザ、ユーカリなどがにぎわう庭が。日々さまざまな野鳥がやってきては、ここで餌を食べたりさえずったり。それを観察するのも関根さんの楽しみです。

関根さん:
「シジュウカラって、『ここに餌があるぞ』『猫が来たから気をつけて』って言葉を使って仲間と会話していると聞いたことがあります。こうして見ていると、インコは気性が荒いなあとか、あの子は遠慮しているなあとか、おもしろいんですよ。あ、今日はキジバトがいます」

しばらく、みんなで庭に来る野鳥を眺めながら考えました。

軽やかに暮らすためには、いろいろなアプローチがありそうです。それはものの量に比例する身軽さだったり、風通しの良さだったり、さらりとした手触りのリネンの心地よさだったり。野鳥の声に耳を澄ませる時間も、なんだか気持ちがすーっと軽くなりそう。

わたしはというと、取材のあと、さっそくベランダのローズマリーを切ってガラスコップに生けてみました。指先に残る香りがさわやかで、これだけでも心が軽やかになるのを感じています。次の晴れた日には、シーツをざぶざぶ洗うのも楽しみです。

 

【写真】川しまゆうこ


もくじ

 

関根 由美子

岩手県盛岡市出身。東京・下北沢『fog linen work』オーナー。リトアニアの麻素材を用いたオリジナルのリネンアイテムのディレクションと国内外の雑貨をセレクト。キッチングッズやベッドリネン、洋服など日常使いできるリネンの魅力を広く伝えている。南インドのルンギと呼ばれる布を使ったファッション雑貨ブランド『miiThaaii(ミーターイー)』も主宰。Instagram:@foglinenyumiko

 


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