【スタッフコラム】はやく寝るより、おしゃべり優先。スペイン人から学んだコンディション作り。
編集スタッフ 二本柳
文・写真 スタッフ二本柳
だんだんと日が短くなってきて、毎朝ぬくぬくとした布団から出るのが辛くなってきました。この季節になると、毎年ふと思い出すことがあります。
それはスペイン人から学んだコンディション作り。
以前、スペインの食生活についてコラムを書かせていただいたのですが、今回も1年間だけ住んでいたこの国で学び、今でも私の背中をそっと押してくれているような価値観についてお届けしたいと思います。
人生は一度きり。それなら明日を心配するよりも “今日” を満喫したい。
全員がそうというわけではありませんが、やはり底抜けに明るい遊び上手な人が多かったスペイン。
私は一時、彼らとアパートをシェアして暮らしていました。
半分遊んでいるようなものとはいえど、一応留学生という身。それなりに宿題やら試験やらTO DOでいつも頭は一杯です。
そのせいもあってか、
明日のために早く寝たい。体のコンディションを整えたい。
これが私の基本スタンスでした。
一方で、同居人のスペイン人たちは「23時に時計台の前に集合ね!」「22時にあのバルで会おう〜」なんてことを言ってきます。
いやいや… 金曜日じゃあるまいし。
でも当時はなんといっても現地の友達がほしかったので、仕方なしにそのペースに合わせていました。
そうして郷に従っていると気付くのですが、彼らはしっかりと遊び、しっかりと働くのです。朝だって日本と変わらず早起き。
かといって体力が格段に違うという印象もなく、朝はそれなりに辛そうです。なんといっても寝不足なのですから(笑)
このスペイン人の生活習慣を常々フシギに思っていた私はついに彼らに疑問を投げかけました。
「明日の仕事のために、はやく寝ようと思わないの・・・?」
するとこんなことを言われました。
「人生は1回きり。今日という日も1回きりでしょう。だとしたら、明日を心配しているよりも、私は今日という時間を思い切りたのしみたい。
夜帰宅して、もしあなたが私と喋りたそうにしていたら、私は寝るよりもあなたと夜通ししゃべる方を選ぶ。だって今日という日はもう戻ってこないじゃない?」
楽しいことを楽しんでいれば、コンディションは整う!というシンプルさ。
“スペイン人” と一言にまとめるのは良くないと思うのですが、同居人の「明日を心配するより、今日が大切」というスタンスは、その後出会った多くのスペイン人に共通している考え方でした。
彼らから学んだのは、「楽しいことを素直に楽しんでいれば、コンディションは整う」というシンプルなこと。
そんな考え方に「ははあ・・・」と感心してから約4年が経ち、最近この時のことをよく思い出します。
歳を重ねてきたこともあってか、明日の仕事に差し支えがあるから…と友人からの誘いを断ったり、行きたかった写真展に立ち寄る時間があるのに行かないことを繰り返しているうちに、展示が終わってしまったり…ということが増えてきたからです。
ふと気付くと「明日」のことを心配しすぎるあまりに、むしろ余計に疲れているような・・・? そう思う瞬間がでてきました。
どちらがいい、という話ではありませんが、わたしのような心配性にはスペインで学んだシンプルなコンディション作りが必要なのかもしれません。
時々4年前に言われた言葉を思い出しては、不思議と体がほぐれていくような、安心した気持ちになれるのです。
明日は明日。今日は今日のことだけを考えよう、と。そんな単純さにフッと肩の力が抜けていくような気がします。
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