【私の愛しいワンルーム】前編:仕事も暮らしも地続きに。好きに囲まれた大らかな部屋づくり
目に入るたび「この部屋が好き」と思わせてくれる、家具や雑貨たち。お気に入りに囲まれるたのしさに気づいてから、一人暮らしの部屋をせっせと模様替え中です。
そんなときインスタグラムで目に留まったのが、フリーランス編集者・安達薫さんのお部屋。
ロマンティックなレースのカーテンやレモンモチーフの小物、ロッキングチェアなどが、そこで過ごす安達さんと一緒に、居心地良さそうに並んでいました。
この素敵な場所は、どうやってつくられてきたのだろう。そのヒントを探すべく、安達さんが暮らすワンルームにお邪魔しました。
都内で10回以上は引越しているという安達さん。前編では、今お住まいの部屋が見つかるまでの経緯や、部屋づくりで大切にしていることについて伺っています。
ここだ、と思えるワンルームに出合うまで
安達さんが住んでいるのは、商店街のある落ち着いた街。このワンルームに引っ越してきたのは1年ほど前ですが、この街には住み始めて5年になるのだそう。
マンションの契約の関係で引越しが決まったものの、好きだった街から離れがたかった安達さん。前の部屋から、徒歩5分ほどの場所に新居を見つけました。
安達さん:
「家で過ごす時間が本当に大好きで大切で、予定がなければいくらでもこもってしまうほど。だから引越しが決まったときは、街のことも部屋のことも、すごく真剣に迷いました。
他の場所でもまた気に入った暮らしができるようになるだろうか……と気持ちもぐらぐらしましたね」
安達さん:
「はじめは地域を限定せずに部屋探しを始めたのですが、物件数が膨大になり、かえって見つけられなくて。
一度立ち止まって考えて、やっぱり気に入ったこの街で暮らしたい!と思い、この地域の物件だけを扱う不動産サイトで探し直しました。すると範囲は狭くなったはずなのに、気になる部屋が一気に見つかってきて。何件か内見して、この部屋に決めました」
▲白いデスクはイタリア家具ブランド『Kartell(カルテル)』のもの
安達さん:
「部屋を探したときの条件は、第一にワンルームであること。あとは2階以上で、光が入る窓があること。でも水回りはユニットバスOKとして、検索しました。
この部屋は、ダイニングテーブル側の窓は北向きですが、ロフトがある南側にも窓があり、1日を通して心地よい光が入るところが気に入っています」
安達さん:
「昔から、ワンルームならではの仕切りがない解放感と、それによって生活が地続きになる感じが好きなんです。
例えば夜は、寝室へ行って『さあ寝るぞ』とベッドに入るというよりは、リビングでゆったり過ごして、眠くなってきたらそのままふらりとベッドに吸い込まれるように眠る。
そうやって繋がっているのが、心地いいなと感じています」
安達さん:
「前は7階に住んでいたのですが、2階で暮らすようになってから、外に出やすくなりました。
断然インドア派なのは変わりませんが、少しだけフットワークが軽くなったかもしれません。こういうちょっとしたことで行動まで変わるのは、自分でも意外な発見でした」
奥に窓があり光がよく入るロフトは、物置き兼もの干し場。形も大きさもそれぞれの可愛らしいカゴが、目隠しとしても一役買ってくれていました。
40代で「本当に好きなもの」に戻れました
どこを見渡しても、思わず可愛い!と声に出してしまう家具や雑貨が並ぶ、安達さんの部屋。「好き」のルーツはどこにあるのでしょうか。
安達さん:
「子ども時代にピンクやフリルなど、ガーリーなものが好きで。今はそこに戻ってきた、というところかもしれません。
小学校高学年ごろに自分の部屋をもらってからは、そこに好きな雑貨を置いたり、アーティストのポスターを貼ったり。中学生のころは『私の個室』や『ティーンの部屋』というインテリア雑誌を愛読していた記憶があります。
母がインテリア好きだったこともあって、自分好みに部屋をつくることは昔から好きでした」
▲実家で母が使っていた椅子。熊本から送ってもらったのだそう
安達さん:
「大学生になって一人暮らしをしていたときは、プラスチックの赤い椅子や、模様の入ったカーテンを選んでいました。そのころも自分の好きにまっすぐに、部屋づくりを楽しんでいましたね。
ただ30代で『可愛らしいもの=スタイリッシュではない』のでは?と感じるようになって、しばらくシンプルなものを手に取っていた時期もありました。
それが悪いということでは全くないのですが、好きなものを奥の方に閉じ込めているなという感覚はありました。自分の中の意識だったり、仕事だったり、流行だったり……今思えばいろんな理由があったのかもしれませんね」
▲カーテンを束ねているピンクのリボンは「コーヒーの包装に使われていたものなんです」と、少し照れながら教えてくださいました
安達さん:
「今日着ているようなパフスリーブのワンピースは、最近になってまた着るようになってきたんです。
『もう好きなもの着ちゃえ!』って、40代になって思うようになって。もしかしたらそれが部屋にも表れているのかもしれません」
ガーリーなものやポップなものが好きだった時期、シンプル・スタイリッシュなものを手に取っていた時期、そして昔の好きに戻ってきた今の安達さん。
今日の安達さんのお部屋には、今までの道のりで出合ってきた「好き」の要素が散りばめられているように感じました。
部屋を片付ける時間がないときも、
「聖域」さえ守られていれば
安達さんはこのワンルームの中で、特にお気に入りの場所があるのだとか。それが、部屋に入ってすぐ目に入る一角。
窓にはレースのカーテンがかけられ、デスクの上にはメキシコから持ち帰った大切な花びん。何脚かある椅子のうち、窓の外が見える白い椅子が安達さんの特等席です。
安達さん:
「仕事も食事も、読書も、晩酌も全部ここで。部屋に入ったとき、朝ベッドから起き上がったとき、いちばんに見える場所です。
朝は早起きしてコーヒーを淹れ、このデスクでその日のTodoリストを作るのが至福の時間です」
▲Todoリストに使っているメモは、いつも『伊東屋』で
安達さん:
「今まで何度も引越しをしてきましたが、どの部屋でも気に入った風景をひとつ持っておきたいなと思って部屋づくりをしていました。
どんなに部屋が好きでも、日々過ごしていたら余裕がないタイミングもあるものだから、いつでも隅々まで整えておくことって難しいなと感じていて。だから自分にとって『聖域』のような、好きな景色だから守りたい、という場所を大切にしています。
そこさえ片付けられたら、他の場所が散らかっていても、罪悪感や焦りなどの感情が少し和らぐんです」
▲「レースのカーテン越しに入る早朝の光が可愛くて、毎回感動します」と安達さん(安達さんのインスタグラム@kkki17より)
今までの「好き」も、暮らし方も、区切られることなくおおらかに同居している。安達さんのワンルームにはそんな心地のいい空気が流れていて、これまで自分は無意識に、なんでも「切り替えなければ」「区切らなければ」と考えてきたんだなあと気づきました。
もしかしたら地続きになったところから、心地よく過ごせるヒントを見つけられるのかもしれません。
つづく後編では、安達さんが「趣味」と話す模様替えのことや、ときめくアイテムとの出合い方について教えていただきました。
【写真】滝沢育絵(15枚目を除く)
もくじ
第1話(8月27日)
仕事も暮らしも地続きに。好きに囲まれた大らかな部屋づくり
第2話(8月28日)
模様がえでリフレッシュ。心地よい本棚づくりや、掘り出し物の見つけ方

安達薫
フリーランス編集者。ファッション&ライフスタイル誌『tiny sitruuna』編集長。雑誌や書籍、アパレルブランドのビジュアルやwebディレクション、コピーライティングなどを手がけている。Instagramは、@kkki17から。
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