【訪ねたい部屋】前編:昭和生まれのモダンな住宅。たまたま通りかかったテラスハウスに一目惚れしました

ライター 長谷川未緒

SNSや雑誌などで素敵なインテリアを見かけると、どんな人がどんな思いで暮らしているのかな、と想像します。

きっと、自分の好きや理想を大切に、毎日を気持ちよく生活していそうです。

特集【訪ねたい部屋】では、そんな気になる方のお宅を訪ねます。

今回、お邪魔したのはバッグブランド「ANUNFOLD」オーナー・石川敦幹(いしかわ・のぶもと)さんの住まいです。

石川さんは、神奈川県にあるテラスハウスに夫婦で暮らされています。前編では、この家を見つけた経緯、リフォームについて、好きなインテリアのイメージなどについて伺いました。


結婚を機に、家を探し始めました

石川さんが、それまでひとり暮らしをしていた賃貸マンションから、今の分譲マンションに越してきたのは、2010年。結婚がきっかけでした。

石川さん:
「当時はまだ会社員で、僕も妻もそれぞれ賃貸でひとり暮らしをしていたので、一緒に暮らす家を買おうということになりました。

実家のときも、ひとり暮らしのときも、同じ沿線に住んでいたので、まずはエリアをそこに絞って、マンションとも戸建てとも決めずに探し始めたんです」 

この家探し、石川さんが主導的役割を担ったのだとか。

石川さん:
「どちらかというと、僕のほうが妻より物件を探すのが得意だと思ってくれていたようで、わりとおまかせでした。

とはいえ、本当になんでもいいかというとそんなこともなく、住宅情報サイトを見て気になる物件を提案すると、『ちょっと違うんじゃない?』と言われることもよくありましたね」 

最初から中古物件ということは、決めていたのでしょうか。

石川さん:
「もちろん予算があれば、新築もいいんでしょうけれど。

ただ僕の場合、ゼロから作り出すよりも、すでにベースができているものを自分好みに整えたり、一つひとつ好きなピースをはめたりするほうが感覚的には合っているように感じていました。

戸建て、マンション、いろいろと内覧している中で、運良く今の物件に出合うことができました」

 

この家を見つけたのは、偶然でした

いろいろ見た中でようやく気に入ったのが、隣の家と壁は共有しているけれど、戸建てのように独立しているテラスハウスでした。

石川さん:
「別のマンションを見に行ったときに、不動産屋さんが運転する車でたまたま通りかかったんです。

僕は白くて無骨な外観に惹かれがちで、このテラスハウス、かわいいな、と思って。妻が検索したら、たまたま売りに出ている部屋がありました。

それまで20〜30軒は内覧していたんですが、決め手に欠けていたんです。

この物件は、じつは予算的にはオーバーでしたが、見に行くだけも見に行ってみようと」 

石川さん:
「ドアをあけたときに白壁が目に入って、ひらけた空間にビビッときたんです。妻の第一印象もすごくよかった。

もともと床はフローリングを考えていたんですけれど、前に住んでいた方が全フロアを絨毯に張り替えられていて、想定外でしたがそれも気に入りました。

構造的に1階にリビングがあって、中2階にキッチン・ダイニング、2階が部屋というステップの回廊式なのもおもしろかった。

見れば見るほど、この家に住みたいと思うように。予算的にはオーバーしているけれど、水回りと少し気になるところを手直しして、あとはそのときの生活スタイルに合わせてリフォームすればいい。購入金額は高くても、最初のリフォームを最小限にすればいいだろうと思いました」

石川さん:
「じつは内井昭蔵さんという建築家が手がけたヴィンテージマンションが青葉台にありまして、そこも外観がよかったので内覧してみたかったんですけれど、当時は空きがなかったんです。

住み始めてから知ったんですが、このテラスハウスも内井昭蔵さんが監修者として関わっておられたそうで、縁があったな、本当にこの家に決めてよかったなと思いました」

 

キッチンの壁にはお気に入りのタイルを使いました

リフォームはやろうと思えばいくらでもやりたいことはありましたが、まずはキッチンを直したといいます。

石川さん:
「もともと据え付けられていたシステムキッチンが十分使えるものだったので、活かすことにしました。ただし、雰囲気は少し変えたいなと思ったんです。

もうちょっとナチュラルな感じがいいなと思ったので、Pタイルだった床にオークの無垢材を貼り、窓枠、吊り戸棚、引き出しなどの表面には、ツキ板と呼ばれる天然木を薄く加工したシートを貼りました」

石川さん:
「特にこだわったのは、壁のタイルです。

ヒースセラミックスという、アメリカ・サンフランシスコの会社のものを、船便で取り寄せてもらいました。昔ながらの焼き方をしているそうで、同じ色でも1枚1枚、微妙に違うんです。そこに惚れてしまって。

チップの色をたくさん見比べて、悩んだ末、メロンみたいな色を選びました」


昔からフィン・ユールの家具に憧れてきました

最初のリフォームのタイミングでは、リビングの壁を2面だけ、ニュアンスカラーに。

石川さん:
「業者さんに塗ってもらいましたが、見た瞬間、それまでとがらりと変わっていて、気分が上がりました。

このニュアンスカラーがとても気に入っています」

キッチンのタイルといい、リビングの壁といい、絶妙なニュアンスカラーです。家づくりの段階で、何かテーマカラーなどあったのでしょうか。

石川さん:
「うーん、僕の場合はプロではないですから、計画を立てるという感じはないかもしれませんね。見て、キュンとした色を選んでいるというか。

強いて言えば、昔からデンマークの建築家で家具デザイナーのフィン・ユールが好きなんです。

彼が作る椅子は、数脚愛用しています。代表作である〈No.45〉は世界一美しい肘掛けと言われて有名ですけれど、彼の作品はどれもアート作品のようなんです」

石川さん:
「普通、製品を作るときって、効率とか考えるじゃないですか。彼の場合は、彫刻作品を作るようにデザインするので、量産向きではなく、実際作れる工房も少なかったと言います。

デッサンの水彩画の色使いもすごく好きです。色褪せたような、素朴でやさしいニュアンスが、製品にも反映されているように感じています。

コペンハーゲン郊外にあるフィン・ユール邸はまだ訪れたことはないのですが、写真集をよく見ていたので、彼の色使いには、すごく影響を受けていると思います。

岐阜県高山市には、フィン・ユール・アートミュージアムクラブといって、自邸を再現した美術館があり、そこは見に行きました。とても感銘を受けましたが、いつか彼が住んでいたフィン・ユール邸も行ってみたいです」

続く後編では、インテリアの変遷やもの選び、2021年に立ち上げたブランドの話などを伺います。

(つづく)


【写真】メグミ



もくじ

第1話(9月11日)
昭和生まれのモダンな住宅。たまたま通りかかったテラスハウスに一目惚れしました

第2話(9月12日)
フィン・ユールの椅子に憧れて。好きなものが並んでいる景色は自分を幸せにしてくれます

石川敦幹

2022年に元同僚とバッグブランド「ANUNFOLD」を立ち上げ、デザインや生産管理など担当。竹炭や籾殻をベースに染色したナイロンバッグが人気。石川さんのお宅が見られる個人アカウントは@sekitorikun。

Instagram: @anunfold
Instagram: @sekitorikun


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