【いい眺めのつくり方】第2話:見た目を整えてから、ものの住所を決めてみる。インテリアスタイリストの家づくり

編集スタッフ 須賀

インテリアスタイリスト・洲脇佑美さんのお部屋を訪ね、"家に良い眺めをつくるヒント" について伺っているこちらの特集。

第1話では、今のお部屋に引っ越すまでの経緯や、それに伴う片付けのお話を伺いました。続く第2話では、洲脇さんの家具選びや収納のコツについて伺います。


= 洲脇さん宅 レイアウト =
▲築26年、約57㎡の1LDKマンション。約13帖のリビングダイニングと6帖の寝室がある

第1話から読む

部屋の "いちばん気持ちのいいところ" を探す

大きな窓から光が差し込む、約13帖のリビングダイニング。ダイニングテーブルの青い椅子が洲脇さんの定位置です。

洲脇さん:
「いつも自分がいる特等席は、部屋の中でいちばん気持ちのいい場所につくるんです。

引越し当初ソファとダイニングテーブルは逆に配置していましたが、窓に近い方が明るくて気持ちもいいので、交換して今の位置になりました」

洲脇さん:
大きな家具は、名作と言われる間違いのないものを選ぶのが自分の中の決まり。値は張りますが、好みが変わっても飽きずに長く使い続けられています。

この青い椅子は、スタイリストになって初めて買ったもの。フィンランドを代表するデザイナー、イルマリ・タピオヴァラのアームチェアです。

硬いのに座るとスッと体にフィットしてくれて。やはり名作と言われるものには理由がありますよね」



「何を仕舞うか」は後から決めています

洲脇さん:
「これはもう職業病なのですが、リビングに入って最初に目にする景色や、定位置のダイニングチェアに座ったときに見える景色。いつどこに目線を向けても "自分が心地よいと感じられる眺め" になるよう整えています。

家具を買うときも『〇〇を収納したいから棚を買おう』と考えるのではなく、まず『ここにこういう素材や色のものがくると気持ちいいな』と見た目優先で整えてしまってから、買ったものをどう使うか考えるんです」

▲白いチェストはIKEAで購入した「ALEX(アレクス)」シリーズのキャスター付き引き出しユニット。

洲脇さん:
「たとえば今、白いチェストが置いてあるリビングの一角。ここに何もない時は、なんだか空間全体がイマイチだなとずっと思っていました。

オークの北欧ヴィンテージ家具なども考えましたが、重たくなりそうなので、軽やかな白がいいかもしれないなと色々探して。

スマホの待ち受けにもしているお気に入りのインテリア写真があるのですが、ある時そこに写っている白いチェストをたまたまIKEAで見つけて、これだ!と。

リビングに入った時にパッと目に入るアイキャッチのような存在になってくれて、やはりここにはこれが必要だったんだなとしっくりきました」

洲脇さん:
「空間が整ったところで、具体的に収納するものを決めていきました。浅い引き出しだから、仕事で使うカトラリーや、趣味のCDやレコード、トレイをいれよう、というふうに。

このやり方だと、先に収納の場所と量が決まって、あとはフィットしそうな物を入れていくだけなので案外ラクなんですよ。

そこに収まりきらない分は手放すことにしています」

▲このカトラリーは、「Eichenlaub」のもの。スペシャルなものなので、3〜4年かけて友人とお互いの誕生日に贈り合い揃えたそう。

他にも、インテリアとして馴染んでいたソファー横のシェーカーボックスにはコード類が、ディスプレイ用だと思っていた黒いシェーカーボックスには裁縫セットが入っていました。

見た目は美しく、中身はきちんと実用的に使われているのが印象的です。



テンションを上げる、収納の作り方

▲右下のリボン付きのボックスは、前の家でも愛用していたFound MUJIの「コシャー箱」。同じ箱やファイルを複数揃えるのも見た目を美しく整えるコツだそう。左上の木の箱は、床の木の色ともリンクさせているのだとか。

先に見た目を整えてから、使い方を考える。その順番は収納でも同じだそう。リビングの備え付け収納の扉を開けてもらうと、思わずわ〜っと声が出ました。

洲脇さん:
左側は食器を色で分けて収納しています。右側は仕事の資料です。

この中も左上のこの辺りに木がくるといいなとか、それなら右上にはカゴを置きたいなど、ファイルも色の配置を考えながらまず収めて、それから何をしまうか考えました。

頻繁に開ける場所だからこそ、見るたびテンションの上がる収納にしたかったんです」



生活感をほどよく隠す、小さな工夫

とはいえ家となると、生活の場ですから素敵なものばかりとはいきません。そういったものはどうしているのでしょうか。

洲脇さん:
「ラベルを剥がしたり、棚の後ろの方にしまったり。かごに入れて布をかけたりと、使う時以外は見えないように工夫しています。

食器棚の下のスペースは、ギャラリーコーナーとしてアンティークの椅子やカゴバッグなどを並べているのですが、実はコンセント隠しも兼ねているんです」

▲長すぎるコードはリボンで縛っています

そういえば、洲脇さんの家にはティッシュ箱が見当たりません。聞いてみると「ティッシュは箱から出して器にたてているんです」と洲脇さん。

なるほど案外存在感のあるティッシュ箱ですが、こうすると見事に空間に溶け込んでいました。

先に見た目を整えてから、使い方を考える。いつもと順番を変えるだけで新鮮な模様替えができそうです。

私もこの方法で、ごちゃごちゃしているなぁと目に入るたびモヤモヤしていた自室の棚の整理に取り掛かりたいと思いました。

続く第3話では、「心地よい眺め」をつくるために洲脇さんがしている6つの工夫について伺います。

写真:上原朋也



目次

洲脇 佑美

インテリアスタイリスト。大阪芸術大学空間デザインコース卒業後、インテリアショップの店長を務め、アシスタントを経て現在はフリーのスタイリストとして雑誌・カタログ・広告等を手掛けている。

Instagram: @suwaq


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