【BRAND NOTE・世界のKitchenから】第1話:本当に飲みたいのは「家庭の味」でした。
KIRIN(キリン)・世界のKitchenからは、ソルティライチやスパークリングウォーターなど多くのヒット商品を生んできました。女性が本当においしいと思えるものを作りたいという、とある社員さんの思いから開発が始まったという世界のキッチンから。今回は、ブランドの誕生秘話や飲料メーカーとしてはあまりに斬新なものづくりの裏側をお聞きしました。
編集スタッフ 二本柳
豪華な一皿より、素朴な家のごはんがいい。
そう思うのと同じように、毎日手に取る清涼飲料水にも「家庭の味」を求めた女性たちがいました。
「飲料メーカーである私たちは、果たして自分たちが本当に飲みたいものを作れているだろうか?」
とある女性社員の頭をよぎったのは、こんな疑問。
そしてその純粋な思いから、皆さんにもきっと馴染み深い商品ではないでしょうか、あの「世界のKitchenから」が誕生しました。
さかのぼること9年前、キリンビバレッジ株式会社から登場したブランド「世界のKitchenから」を初めて目にしたときは、大袈裟でなくちょっとした衝撃を受けたのを覚えています。
第一号として登場したのは「ピール漬けハチミツレモン」という商品。
これまでの工業製品から逸脱したストーリーある広告も、新商品が出るたびの楽しみになっていきました。
それから何といっても興味をそそられたのは、 “自家製” のイメージ。
でもそれなのに、実際にその “自家製” がどのように作られているのかまでは知ることがありませんでした。
正直に言うと、大企業のものづくりから想像するような市場調査や様々な数字から作られているのだろう…なんて考えていたんです。
でも事実は、このブランドには「これでいい」というマニュアルも数字もありませんでした。
最初の一歩がイチ担当者の「面白そう!」から始まり、自らの足で世界の家庭を訪れ、そこから得たヒントをもとに自宅のキッチンで試作づくり。新しい商品が生まれるたびにそんなスタートが切られていた。
私たちクラシコムにもファンの多い「世界のKitchenから」は、そんな “個人” の試行錯誤から、ひとつひとつの商品が生まれていました。
(この記事は、クライアント企業さまのご依頼で制作する「BRAND NOTE」という記事広告コンテンツです)
教えてくれたのは、開発チームの3名!
「世界のKitchenから」が誕生した背景について、キリンビバレッジ株式会社の3名に話を伺いました。
左から塩屋さん、寺島さん、図子さんです。寺島さんは担当になって7年半という一番の先輩。その先輩と公私ともに仲良しなのが4年半働いてきた図子さん。一番最近チームへ加わった塩屋さんは、今まさに新商品の開発中です。(それが何かはまだヒミツ)
本日はこちらの3名と、店長佐藤、わたし二本柳の5名で座談会を開きました!
実際に世界の家庭を取材した現地の写真もまじえながら、お届けしていきますね。
世界の家庭にヒントを求めて。
photo/Yoko Takahashi
「本当に美味しい」ってなんだろう?
冒頭で紹介した通り、「世界のKitchenから」は、ある女性社員の疑問からスタートしました。
「女性である私たち自身が本当に美味しいと思えるものを、作れているのだろうか?」
だからまず始めに考えたのは「本当に美味しい」の定義を決めること。
今の開発チームに立ち上げ時のメンバーは残っていませんが、この気持ちは脈々と受け継がれているようです。
「『本当に美味しい』の定義を決めるとき、彼女たちが注目したものが “家庭料理” でした。
家庭の料理って、家族の健康であったり、毎日食べることだったりが基盤にありますよね。
だから調味料で美味しくする足し算の考え方よりも、素材の持つ本来の旨味にひと手間加えて掛け算していくイメージだと思うんです。それを私たちは『素材の滋味を引き出す』と言っていて、『世界のKitchenから』の大切なキーワードになっています」
「工業製品を作る飲料メーカーだからこそ、これまでのルールにとらわれない “自家製” を提供することに価値があるのではないかと考えたんですね。
そこで『House KIRIN(キリンの自家製)』という言葉を開発テーマに、手づくりするようにものづくりをしようという方針が決まりました」
「ワクワク」が鍵!まだ知らない美味しさを、世界に見つけに行こう。
本当に美味しいものの定義を “家庭料理” のなかに見出し、自分たちで “自家製” することにこだわりながら新しい商品を作る。
そのヒントをどこから得ようか?と考えたとき、2人が思い立ったのが「世界の家庭」でした。
「まだ知らない知恵や美味しさを知っている、世界の家庭を訪れよう」
でもどうして “世界” だったのでしょうか?
photo/Yoko Takahashi
photo/Yoko Takahashi
「日本じゃないからこそ『知ったつもり』にならないというのは、自分が商品を担当してみて実感しているところです。知らない国だから丸裸の状態でワクワクしたり、ときめいたりできる。毎回スポンジのような状態で家庭の知恵を学んでます。
当時ブランドを始めたうちの1人に同じ質問をしてみても、『だって世界ってワクワクするじゃない?』という答え。
このブランドの妙でもあるのですが、自分たちが知りたいことや純粋にワクワクできることをたどってみたら世界に行き着いたんだと思います」
photo/Yoko Takahashi
「“世界の家庭” ってびっくりするくらい狭いですよね。普通は300〜600人集まってようやく統計と言っているのに、ひとつの国の、ひとつの村の、ひとつの家庭から商品を生み出す……。
本来の工業製品では考えられないくらいに “個人” の感覚に基づいているんです」
photo/Yoko Takahashi
photo/Yoko Takahashi
「世界の家庭に根付いた知恵やワザを学んでこよう。そしてそれを自分たちで調理しよう。この “ひと手間” が面白いところです。
普通だったら世界の料理を見た後に『それをどう再現するか?』というプロセスに進むと思いますよね。
でも僕たちは輸入業者じゃない。日本に帰ったらまたイチから始める。あくまで『世界のKitchen “から” 』なんです」
ものづくりは終わらない旅。
photo/Yoko Takahashi
「世界のKitchenから」のものづくりの過程は、下の図にたとえることができます。
これをキリンビバレッジ株式会社の皆さんは “旅” と捉えているそうです。
というのも塩屋さんが言っていたように、このブランドは世界の家庭から知恵をもらうことがゴールではありません。
日本に帰って来てから、そこで学んだことを材料に、自分たちのキッチンで試行錯誤を繰り返す。取材へ行った “個人” の感覚に根付いているからこそ、その責任感は強く、商品への思いはひとしおだと言います。
「旅をテーマにしたものづくりは、自分たちが帰国した後もずっと “こだわりぬこう” “やりぬこう” という姿勢を表しているのかもしれません」
「事実、担当した商品が発売された後でさえ『もっとこうしたらどうかな?』『来年はここを変えてみよう』といった具合に、ずっと考えつづけてしまうんです……(笑)」
デンマークとドイツのKitchenへ!事前準備は何をしているの?
明日はいよいよ寺島さんと図子さんがデンマークとドイツの家庭を取材してきた様子をお届けします。
そこでその前に、取材前の準備期間の様子もちょっぴり拝見してみることにしました。
「『世界のKitchenから』の場合、マーケティングなどのデータが無いので取材のインスピレーションはある意味で公私混同です。
モロッコの家庭からヒントを得た『Sparkling Water』という商品も、私が個人的にモロッコに旅行したいと思っていて、その調べものをしていた時に見つけたフラワーウォーターが原点になっているんですよ」
「取材日までの準備でいうと、その国の歴史だったり食文化などの背景部分を主に調べていきます。
インタビューの質を上げるための知識を身につける、という感じですね。
たとえばモロッコのフラワーウォーターを取材しようとなった時、フラワーウォーターそのものについて調べすぎると答え合わせの取材になってしまう。
でも答え合わせの取材では新しい発見はありません。だからもっとバックグラウンドの部分を勉強して、短い取材期間を最大限に生かす準備をしています」
最後は全員で。左から塩屋さん、寺島さん、図子さん、店長佐藤、スタッフ二本柳。
本日は「世界のKitchenから」が誕生するまでのストーリーをお聞きしました。
飲料メーカーであるキリンビバレッジ株式会社が、工業製品に対する一種のアンチテーゼとして “自家製” にチャレンジしたブランド。
これまで培ってきたメーカーのノウハウやデータ、ルールから一歩踏み出たものづくりは、「個人の感覚」が何より大切なキーワードになっていました。
「それで?あなたはどうしたいの?」
開発チーム内で必ず聞かれるというこの質問は、「世界のKitchenから」というブランドがよく分かる言葉だなと思います。
第2話では「家庭料理の取材」に注目し、寺島さんと図子さんがデンマークとドイツで学んで来た料理のことや、キッチン事情についてお聞きしました。
(つづく)
【写真】
2〜3、5〜6、13〜15枚目:木村文平
1、4、7〜12枚目:高橋ヨーコ
▼暑い国タイでは、塩の使い方がとっても上手だそうです。
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