【センスのいい人】第2話:「自分に似合う」服はどうしたら選べるようになる?

編集スタッフ 二本柳

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全3話にわたり、特集 『センスがある人のヒミツ』 をお届けしています。

お話をうかがったのは、東京・神宮前にあるイギリス風家庭料理のお店 「SW11 kitchen」 店主の渡辺靖子さん

渡辺さんのファッションはどれもとてもシンプルなのに、どこか目を引く格好よさがあります。その理由は、きっと 「自分に似合う」 を知っているから。

前回の第1話では、そんな渡辺さんの普段着をいくつか見せていただきました。

第2話では、「自分に似合う」 の見つけ方について話を聞いてみたいと思います。

 

流行よりも着心地。それが「自分に似合う」の第一歩。

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おしゃれな人が普段どんなファッション誌を読んでいるのか? インプットの源が気になり、早速たずねてみると…… 「ファッション誌って、ほとんど見ないんですよ〜」 と渡辺さん。

ファッションは、目で見たものをそのままマネしようとすればできてしまう。だからこそ気をつけたいと話します。

渡辺さん:
「直接的な情報にあまり触れすぎると、それに振り回されて自分の好き嫌いが分からなくなってしまうんです。

私が常に見ているのは、流行よりも 『体型とのバランス』

たとえば私は背が低くて、それからあまり女性らしい体型ではないんです。だから 『いくら女の子らしい格好しても似合わないんだわ〜』 というのは、どこかのタイミングで気がついたんですよね」

sw11kitchen__Q9A5999▲30代の頃の渡辺さん。今とあまり好みは変わらないそう。

渡辺さん:
「若いときにオーバーサイズが流行したことがあって、私も着てみたくて買ったんです。ところが、なんせ背が低い私が着ると 『服に着られている感』 というか、とにかく全然似合わなくて。

当時ミニサイズなんて全然流行りじゃなかったんですけれど、子供服を着てみたら 『これだ!』 って分かるくらい自分にフィット。流行りのものを身につけるより、自分に合った服を着た方がずっと見栄えがしました。

洋服って 『目だけ欲しがっちゃう』 ということがあると思うんです。お店にずらりと並んでいると、ついね。

でも、そういう時に必ず 『これを “私が” 本当に着る?』 ということを考えるようになりました」

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せっかく買ったのに結局着なくなってしまう服。

クローゼットの中を見て、なぜか 「着ていくものがないな」 と感じてしまうこともあります。

渡辺さんも若い頃にそういう失敗を重ねてきて、30代半ばあたりから、その原因が自分にフィットしていないということ、つまり 「着心地が悪い」 ことにあると気がつきました。

素材なのか?あるいはパターン(カタチ)なのか?

そのどちらかがフィットしなければ、どれほど見た目が好みでも買わなくなったそうです。

 

着たり、ねかせたり。20年着続ける大人のおしゃれ。

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そんな渡辺さんの洋服は、その半分くらいが10〜20年とかなり長年愛用しているものでした。

一時期気に入って着ていて、でも年齢や気分によって好みじゃなくなった服。そういうものも手放さずに一旦ねかせておきます。

すると、そのうち時がめぐって 「今また着たい」 と思える日がやってくるのだとか。

渡辺さん:
「これを私は 『じぶんヴィンテージ』 って呼んでいるのですが、休ませ休ませ長年着ているあいだに、どんどん 『自分に似合う服』 に仕上がっていくと思うんです」

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渡辺さん:
「たとえば最初は生地がかたかったボトムスがあって、それが着ているうちにどんどん柔らかくなってくる。たしかにピカピカではないけれど、そのボトムスは新品のときよりも自分の一部みたいに馴染んでくれます。

それは靴にも同じことが言えて、私、長く履いて靴が人の足のカタチになってしまってるようなのを見ると 『すごく格好いいな!』 って思うんです。

その靴はもう、その人に 『似合う』 どころか、その人そのものって感じ

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上の写真は、実際に渡辺さんが20年以上愛用してきたというブーツ。

30代の頃、ロンドンにあるマーガレット・ハウエルのアトリエで働いていたときに、モデルが履けなかった小さいサイズのショーサンプルを買い取ったのだそう。

決して高価なものではないけれど、裏を張り替えたり、時々クリームを塗ったりしながら大切に履いているそうです。

渡辺さん:
「シワが出ちゃったりするのも私は格好いいと思うんです。革もだんだん剥がれて、薄いところもあるけれど、均一でない感じが自然と 『柄』 に見えてきて。

今となっては手放せない、自慢の靴です」

 

だから素材は妥協しない。

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流行にも雑誌の情報にもとらわれず、じっくり時間をかけて 「自分に似合う」 服に仕上げていく渡辺さん。

でも、だからこそ 「素材」 は少し背伸びをしてもこだわって選んできたそうです。

渡辺さん:
「つい最近ね、20歳の頃の写真が出てきたんです。今とまったく同じような格好をしていて、自分でも驚きました。

でも当時から素材がポイントだというのを感じていて 『今着ているこれが、いつかもっと質のいいコットンになっていて、これがいつかカシミアになっていたらいいなあ……』 なんて思い描いていました」

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自分のことを率直にながめて、 「自分に似合う」 スタイルを見つけてきた渡辺さん。

その姿勢は、ファッションに限らずライフスタイル全体にも通じてると話します。

次回の第3話では、おしゃれな人の 「暮らし」 の側面についても話を聞いてみることにしました。

(つづく)

【写真】木村文平


もくじ

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渡辺靖子

東京・神宮前のイギリス家庭料理風のお店 「SW11 kitchen」 店主。2016年6月からは大人の服を取り扱うブランド 「R」 のコーナーもでき、食事をしながら買い物もたのしめる空間に。木金土日の12:00~18:00の営業(日曜のみ17:00まで)。少しだけ分かりにくい場所だが、一度行くと何度も通いたくなる居心地のよさがある。 http://sw11.biz/access/


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