【ない暮らし、はじめました】第1話:ベッド、なくしました。スタッフ西野「寝室が生まれ変わった、布団生活」
編集スタッフ 岡本
「なくす」には「ちょうどいい」が隠れてる?
ある日、電車の窓から見つけた、きれいな富士山や雨上がりの虹。
それはどちらも、スマホを家に忘れて出かけてしまった日に、ふと心に残った風景でした。
「ある」のが当たり前だったモノがなくなったとき。私たちは不便さを感じつつ、もしかするとそれ以上に、自分にとっての「大切な何か」を見つけられるのかもしれません。
じつは当店のなかにも、長年使っていたベッドやテレビなどを「なくした」ことで、自分らしい暮らしのあり方を模索中のスタッフがいます。
本特集では3名のスタッフのエピソードをご紹介。
第1話では、ベッドを手放したスタッフ西野の「ない暮らし」をお届けします。
ベッド生活20年。それでも手放したワケ
スタッフ西野は現在、夫婦二人で1LDKの賃貸マンションに暮らしています。
中学1年生で自分用の部屋を与えられたときから、ごく最近までベッドのある生活が当たり前。
そんな20年来の相棒であるベッドを手放したのは、2年前の引っ越しがきっかけだったそう。
スタッフ 西野:
「前の家で使っていたのは、いまの家にサイズが合わないなと、ずっともやもやしてました。
6畳の寝室に、シングルベッド2つを並べると、圧迫感がすごいんです。
でもベッド下の収納が魅力で、じつは最近までそのまま使い続けていました」
そのときの様子がこちらの写真。たしかにベッドだけで、部屋の大部分を占めてしまっています。
さらにその下には、来客用の布団と衣類ケース(3つ)が収納されていました。
スタッフ 西野:
「でも考えてみたら、来客用の布団なんて、ここ最近使った記憶がない。
衣類ケースも古くなっていたし、しまっていた洋服たちもほとんど着ていませんでした」
あまり使わないだろう、と薄々は気づいていたけれど、長いあいだ当たり前のように身近にあったものを手放すには、引っ越してからの2年間が必要だったようです。
でもついに、ある本の言葉を目にして、ない暮らしの決心をします。
狭い家で便利な「マルチユース」な部屋って?
▲布団生活に切り替えて、スッキリした寝室。日当たり良好です。
彼女の背中を押したのは、『あえて選んだせまい家』(著者:加藤 郷子/出版:ワニブックス)という本でした。
スタッフ 西野:
「その本には、狭い家ほどマルチユースな部屋が活きると書いてあって。この寝室を改善すれば、それが叶うのでは?と、がぜんやる気が湧いてきたんです」
眠るためだけに使っていた部屋が、その時々に合わせて、適した使い方ができる部屋に変化したら、暮らし方は大きく変わる。そんな期待に胸が膨らみます。
実際、ベッドを手放し、布団生活がスタートしてからは家での過ごし方が変わったそうです。
スタッフ 西野:
「我が家の寝室はどの部屋よりも日当たりがよく、昼間は電気をつけなくても明るくて居心地がいいんです。
のびのびとストレッチをしたり、来客時にはちゃぶ台を出してホームパーティをしたり、夜しか使っていなかった部屋で、今ではいろいろな過ごし方ができています」
収納の問題はどう解決する?
とはいえ、懸念点もあるはず。
気になる、収納面や布団の上げ下げ、家族の反応について聞いてみます。
スタッフ 西野:
「夫に提案したら、はじめは驚いてました。夫は床の硬さを感じるのが苦手だと言っていたので、好みの布団を探したり、布団用のマットレスを買い足したり。
お互いがストレスなく過ごせるように、そこには時間をかけました。
布団の上げ下げは、意外と面倒に感じていません。夫と自然と役割分担ができていて、起床も帰宅も早い私は布団を敷く係です」
インテリアの見直しは一人で決められないことも多く、相手の意見とどう折り合いをつけるかも重要な問題。
家族の希望もしっかりと受け入れ、時間を惜しまずに改善点を探ることで、違和感なく布団生活へと移行できたようです。
▲行き場がなくなってしまった衣類ケース。今後はお気に入りの衣装箪笥を置く予定だそう。
スタッフ 西野:
「洋服の断捨離や、布団のしまい場所などスケジュールを立てて進めてきたつもりですが、収納についてはまだ改善が必要ですね。
いま布団を収納している押入れに、もともとあった衣類ケースの行き場所がなく、ぽつんと出たままなんです。
ここに衣装箪笥を置いても布団生活に支障がないので、長く使えるものをひとつ購入予定。
一生ものの家具を探す機会なんてあまりないので、今ではそれも楽しみのひとつになっています」
「なによりも、布団を干せるのが気持ちよくて!」そう語る西野の顔を見ると、布団生活が今の暮らしに “ちょうどいい” ことが窺い知れました。
これだけは。ゆずれない、なくせないものって?
定期的に道具や習慣を見直しているという西野は、ベッド以外にも「台ふきん」をなくしてキッチンペーパーでのアルコール消毒に切り替えたそう。
そのほかにも、重曹やセスキ水を使った汎用性のあるせっけん水作りにも興味があるのだとか。
自然と「ない暮らし」をするなかで、どうしてもなくせない、代わりがきかないものを聞いてみました。
スタッフ 西野:
「ソファ上のブランケットは絶対になくせません!週に一度の昼寝を思いきり満喫するために、これからの季節にぴったりなリネン素材のものを新調したばかりです」
西野にとって、土曜日のお昼に設けているリラックスタイム。
それは絶対になくせない、一週間を乗り切るために必要なエネルギーチャージの時間でした。
きっと、誰かにとってはなくてもいいもの。
けれど、自分にとっては絶対に必要なもの。
ベッドを手放した代わりに、一生ものの家具を探す楽しみや、より住みやすい家に近づける工夫が「ある暮らし」へと変化していたようです。
「ない」を受け入れたら、「ある」が生まれた。
当たり前を見直す面白さに気づいたところで、次回はスタッフ筒井の「ない暮らし」をお届けします。
(つづく)
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