【なりたかった職業】第1話:子どもの頃、夢みた仕事ってありませんでしたか?
編集スタッフ 田中
子どもの頃になりたかった、あの職業は
子どもの頃に、なりたかった職業って何でしたか?
ふとそんな雑談を、他のスタッフとしていたら、みんな全然ちがって楽しかったんです。パン屋さん、漫画家、プロ野球選手……何故かライブ会場の係員という人や、FBIになりたかったなんて人も(笑)。
興味のひかれるものは、人それぞれ。さて、私はといいますと「学芸員」という職業でした。
学芸員とは、おおまかにいうと、美術館や博物館などに勤務し、作品の管理をしたり、展覧会を企画してお客様に見てもらう場を作ったりする仕事のことです。
私は古いものが好きです。遺跡も歴史小説も大好物。だから博物館などに行くのが、好きでした。大学受験前くらいでしょうか、そんな職につけることを夢見ていた時期があったのです。
どうしたら、興味あることのそばにいられるだろう?
久しぶりに憧れの仕事のことを思い出したきっかけは、ある博物館を訪れたこと。こじんまりとした地域の遺跡を展示する場所に、たまたま行ったその日。年配の男性がボランティアで学芸員をしており、熱心な解説を受けました。
そのとき「あれ? そういえば私こういうこと好きだった」と、ふと思い出したのです。
忘れていた理由も思い出しました。考古学や文化人類学などを学べる大学を第一志望にしていたのに、受験に失敗。その後違う学部に進み、学生生活を謳歌するうち、すっかり記憶から消え去っていたのでした。
いま、子どもの頃になりたかった職につけている人は、どのくらいいるのでしょう?
夢が叶っている方もいるのでしょうが、純粋に100パーセント好きなことだけをして、食べている方はきっと一握り。私自身も夢とは違う職業についています。
もちろん、今の仕事に満足していないわけではありません。取材をして記事を書いたり、販売する商品をどう紹介しようか悩んだり。やりがいのある仕事だと思っています。
これから考古学の研究者になろうなどとは思えないけれど、せっかく興味を持ったことなのだから、もっと楽しむ方法はないだろうか?と思い始めていました。
学芸員の仕事を知るため、「東京ステーションギャラリー」を訪ねました。
大人になってからでも、好きなものの近くにいられるようにするには、どうしたらいいんだろう?
そもそも、学芸員がどんな仕事なのか、実をいうと冒頭で述べたくらいしか知らない、ということに気づいた私。
そこで今回、まずは学芸員という仕事の内容から知りたいと思い、私が訪れたのは「東京ステーションギャラリー」。東京駅の昔ながらの駅舎を利用した美術館です。
折しも展覧会「シャガール展」が始まったところ。この展覧会を企画した学芸員の方に、お話を聞かせてほしいとお願いしたところ、快く引き受けてくださったのです。
この仕事について教えてくれたのは、館長の冨田章さん。
お話を聞かせてくださったのは、「東京ステーションギャラリー」の館長・冨田 章(とみた あきら)さん。学芸員でもある館長自ら、展覧会の企画をおこなっているそう。
初めて伺う「あこがれの職業」の現場のお話は、予想と違うことがいろいろあって驚きました。
第2話からは、私が「子どもの頃なりたかった学芸員」ってどんな仕事なの?という素朴な疑問を追求してみようと思います。
また、展示のおすすめの見方や美術館の楽しみ方なども教わりました。普段あまり美術館を訪れない方にも、気軽に読んでいただけたら嬉しいです。
(つづく)
【写真】岩田貴樹
もくじ
冨田 章さん
学芸員。美術史家。東京ステーションギャラリー館長。1958年、新潟県生まれ。慶應義塾大学、成城大学大学院卒。財団法人そごう美術館、サントリーミュージアム「天保山」を経て、現職。専門は、フランス、ベルギー、日本の近代美術史。http://www.ejrcf.or.jp/gallery/ 場所/東京駅丸の内北口 開館時間 /10:00から18:00(入館は閉館の30分前まで)
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