【スタッフコラム】混沌って、心地いい? 実家でみつけた不思議な光景

編集スタッフ 松浦

連休明けの月曜日。どんな朝よりも足が重いですね。

今年は、間の2日を働いたせいか、前編・後編に分かれていて、なんだかいつもより長かったように感じます。みなさんいかがお過ごしでしたか?

私は、前後編の両方をごろごろ、のほほんと、千葉の実家で過ごしました。

実家は、祖父が生まれる前から今の場所にあるので、築およそ100年といったところ。昔からある「裏」と、私の母が高校生くらいの時に、増築した「表」に分かれています。

私がこの家に暮らしていた、小学生から高校生までの12年の間にも、リフォームや模様替えを繰り返し、いろんなところが少しずつ変化していきました。

土間があった台所は、システムキッチンになり、深い浴槽が少し怖かった昔のお風呂場は、ピカピカのユニットバスに。そうやって、それぞれの時代に少しずつリフォームしていたからか、いろんな要素が重なり合った、なんとも不思議な形に仕上がりました。

そして、そんな不思議なポイントは家の随所にも溢れています。

玄関を入ってまず出迎えてくれるのは、猫(の置き物)。帰省するたびに少しずつ増えていて、ドアを開けた瞬間に、全部の猫と目が合って、苦笑い。

あまり使われていない和室の床の間には、キジの剥製や木彫りの熊と並んで、母や私が小さかった頃の写真たちが置かれています。

他にも、ひとつひとつの部屋にカレンダーが貼ってあったり、3人暮らしなのに、誰のものかも分からないパステルカラーの箸がたくさんあったり……

自分が暮らしていたときは気にもならなかったはずなのに、離れてみると、とにかくそんな光景が気になってしまいます。

「なんとかしたい」いつもそう思っていました。

しかしそんな私に、決まって祖母は「これでいいのよ」というのです。

今回の帰省でも、そんなことを思いながら、いつものように和室の畳でごろごろ。

すると、床の間に置かれた小さい頃の自分の写真とふと目が合いました。そのまま横に目をやると、小学生の時に妄想世界旅行を楽しんだ地球儀がぽつんと置かれ、その隣には、いつも少し怖くて見れなかった、こけしが並んでいます。

「まったく、どんなインテリアよ」と、心の中で突っ込みをいれながら、ホコリの積もった地球儀をくるくる回していると、真顔でキジの剥製がじーっとこちらを見ています。

「……」

しばらく見つめあっていると、なんだか、ちょっと笑えてきて、不思議とすべてが愛おしく見えてきました。

「これでいいのよ」そんな祖母の言葉も、ほんの少しだけ自分の中にはいってきました。

もしかしたら、この一言で表せない、混沌とした光景が、実家独特の「心地よさ」を作っているひとつの要素なのかもしれない。実家に染み込んだ匂いや、柱に残る傷のように、いろんなものを思い起こさせてくれるものなのかもしれない。

そう思うと、混沌をつくる一つひとつが愛おしく、大切なものに思えてきました。

東京に戻って、久々にみる自分の家。部屋の隅に小さな混沌をみつけて、「あ、ここにもちゃんとあった」と、なんだか嬉しくなったのでした。


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