【お坊さんのお悩み相談室】第7回:自分の料理に飽きてきました。どうしたらやる気がでますか?
編集スタッフ 松浦
家事や子育て、日々の仕事。私たちのくらしには、小さなことから大きなことまで「悩み」がつきものです。
連載「お坊さんに聞く、くらしの悩み相談室」は、日々のモヤモヤを、お坊さんに答えていただく新連載。
クラシコムのオフィスに「くらしのお悩み箱」なるものを設置し、スタッフのくらしの悩みを集めました。
お答えいただくのは、著書『お寺ごはん』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)なども人気の、浅草・湯島山緑泉寺 僧侶の青江覚峰さん。優しい笑顔が印象的な、3児の父でもあります。
自炊がいいと分かっていながらも、なかなかやる気がでません。献立が思い浮かばなかったり、食べたいものが思いつかなかったり、自分の料理にもだんだん飽きてきました。ただ新しい料理にチャレンジするのは、面倒。どうしたらやる気がでますか?(スタッフM)
人間だれしも「なんでもいい」となると、途方に暮れてしまうものです。
思えば学生時代などは、「髪の毛は伸ばしてはいけない」「何時までに帰らないといけない」「お小遣いはいくらまで」など、細々としたルールの中で反発しながらも、その枠のギリギリのラインを攻めるスリルとともに、頭を使い、様々に工夫することを楽しんでいたものです。
やがて大人になって仕事を持ち、お金も時間もある程度自由に使えるようになると、もはや髪型や服装もルールに縛られることはありません。自由なようで、何もかもを自分で考え、選択を強いられることに不自由さを感じてしまう。そんな矛盾は、誰にでも身に覚えのあることではないでしょうか。
さて、今回は仏教の智慧というよりも私自身の生活の知恵からのアドバイスです。私自身、料理僧として日々食育にも取り組んでいるのですが、献立に迷ったときは、使う食材や調理法を日替わりで変えてみています。
例えば、月曜日はきのこ、火曜日は根菜、水曜日は葉物、木曜日は豆腐、といった具合。ある程度の不自由さを与えることで、反対に自分で設けたルールの中で考えればよいという自由を感じることができるはずです。この枠をもう少し大きくしてもいいでしょう。
例えば月曜日は和食、火曜日はパスタ、水曜日は中華、木曜日は・・・精進料理とか?
人間とはわがままなもので、自由がほしいと言っていても、実際に「ご自由にどうぞ」となるとどうしたらよいのかわからなくなってしまいがちです。結果として同じことを繰り返し、飽きてしまう。
物事はすべて、それと対になるものと一緒にするとその性質が際立ちます。自分の好きにしていいはずなのに、どうすればいいのか、どうしたいのか考えが浮かんでこないときは、少々の不自由を加減してみることをおすすめします。こうしよう、と思うアイデアがひらめけば、やる気も自ずとついてくるというものです。
青江覚峰
もくじ
僧侶 青江覚峰
浄土真宗東本願寺派 湯島山緑泉寺住職。米国カリフォルニア州立大学にてMBA取得。料理僧として料理、食育に取り組む。「暗闇ごはん」代表。超宗派の僧侶によるウェブサイト「彼岸寺」創設メンバー。
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