【わたしのコンディションづくり】前編:追求するのは基本形。増田さんの「元気」をつくるシンプルな習慣
編集スタッフ 糸井
長い連休や非日常なイベントが続くと、気持ちの変動も忙しくなるもの。そんな時期も心地よく乗り切るためには、「こうすれば大丈夫」と思える自分なりのメンテナンス法を身につけておくと安心です。
特集「わたしのコンディションづくり」では、いろいろな方に心身のコンディションの整え方をうかがいながら、人それぞれの「整え方」を見つけるお手伝いができればと思います。
今回お話を伺ったのは、三浦半島の海沿いに建てた一軒家で暮らす、72歳の増田美奈子(ますだ・みなこ)さん。
初めて増田さんを誌面でみかけたとき、遊び心が溢れているその暮らしぶりに釘付けになりました。なによりも惹かれたのは、凛々しい立ち姿の増田さんから伝わってくる、パワフルな人間力みたいなもの。
実際にお話をしながらたびたび感じたのは、程よく力を抜きながら、等身大の自分ができることをたのしむ身のこなし。どうやらそれが、増田さんのコンディションづくりの源になっていそうです。素敵なインテリアを眺めながら、日々の習慣や、コンパクトな暮らしの整え方について、2話に分けてお届けします。
いくつになっても「自分らしさ更新中!」という魅力
「虫愛ずる姫」と断言するほど、昆虫や生き物が大好きで、常に生き物に囲まれながらの暮らし。72歳になる現在も、都内の高校で海洋生物の市民講師をしている増田さんですが、20~30代はデザイナーとして、国立競技場などのモザイク壁画を作ったり、広告制作をされたりしていました。その後、偶然出会ったダイビングにのめり込み、「海」にまつわる仕事が本業に。
前編では、メンテナンスの基礎である普段の習慣について教えていただくことに。それらは、とてもシンプルなものでした。
追求するのは、基本形
身体の声をきく、シンプルな習慣
日の出とともに「おはようございます」
猫の出勤にあわせて、窓を全開に
増田さん:
「目覚まし時計は、もう何十年も使っていません。もともと早起きが得意なわけじゃないけれど、いつしか日の出とともに起きる身体になっていて。夜寝る前に『明日は何時くらいに起きよう』と、頭に浮かべておけば、だいたいそのくらいに起きれるの。冬だと6時頃に目が覚めます。
隣に寝てる猫たちが、外に出たいとニャーニャー言いだすから、家中の窓とカーテンを全部あけて、空気を入れ替えます。
寒いけれど、外の空気はやっぱり気持ちいいからね。天窓と三角窓から朝日が差してくると、体のスイッチも入ります」
ノルマは120段の階段!
足腰ストレッチ&30分のウォーキング
増田さん:
「ラジオをつけて、コーヒーを入れたら、ベッドの上に寝っ転がって、ストレッチ。足をあげたり、曲げたり、足裏で拍手をしたりして、股関節をほぐします。2年前にロフトから落ちて両足首を骨折しちゃったから、以来欠かせないんです。
それが終わると、着替えて30分のウォーキング。コースは決めずに、天気や気分、あと、ゴミ出し日によって少しずつ変えてるの。海辺に沿って歩いたり、近所の神社にある120段の階段を登ったり。
昔どこかで、『階段を見たら薬だと思え』って聞いたんです。だから駅でもどこでも、階段があればなるべく登るようにしてます。ジムに行くことなく、普段のシーンで体を鍛えられるのが一番気楽で、いいじゃない? 」
「お・さ・か・な・す・き・や・ね」で
基本の栄養は朝のうちに
増田さん:
「『おさかなすきやね』は、栄養バランスの語呂合わせで、『お茶、魚、海草、納豆、酢、キノコ、野菜、ネギ』を差します。何を中心に食べるかがある程度決まってると、変に考えなくて済むから楽ですね」
増田さん:
「まず、一年中食べているのが、麹漬けした人参を酢の物にしたもの。細切りした人参を、生のまま麹に1日漬けたあと、塩を一振りし、お酢に浸すだけ。昔、知り合いに麹をたくさんもらって、試しに野菜をつけてみたらそれがおいしくて。
ほら、おひとつどうぞ。酸味も強すぎず、人参の生臭さもないでしょう? 」
▲お椀は琉球漆器。沖縄が大好きで、行くたびに漆器を買ってしまうとのこと。
増田さん:
「岩のりは、直接お椀にたっぷりのせます。そこに、小鍋で作ったお味噌汁のベースを注いで、出来上がり。食後の『お(お茶)』で、口をさっぱりさせたら朝ごはん完了です。
朝に摂れなかった『な(納豆)』と、『ね(ネギ)』は昼や夜に。朝のうちに基本の栄養素を押させておけば、あとは好きなように食べます。ステーキが好きでお肉もよく食べるし、ピザも大好きだから、冷蔵庫にいつもピザをストックしてるのよ」
言葉通り、増田さんの冷凍庫には、パンパンに詰め込まれたジェノベーゼのピザが覗いていました。
カーテン・ラグを季節に合わせて衣替え
増田さん:
「カーテンは手作りして、衣替えを楽しんでいます。夏までは、障子と竹ひごでつくったものを使っていました。11月から3月までは大体、緑の布でつくった冬バージョンにして過ごします。これは、タヒチの布かな。
この敷物も冬バージョン。下には、ホットカーペットを入れるのが定番です。こうすると、猫が動かなくなるのよね。夏にはイグサのマットを敷いています」
レスキューアイテムはありますか?
増田さん:
「うがいが大好きだからか、あまり風邪は引かないんです。でももし体調が危ないなと思ったら、ニンニクをひとかけ、すりおろして味噌汁に入れるの。次の日に仕事がある時はできないですけど。発汗作用もあるので、初期の風邪ならこれで治るかな」
こうして今日も続く、増田さんの暮らしの習慣。基本形を整えることで、そこからはみ出す出来事が起きても、楽しむ余裕ができる、それがコンディションを整えるコツのようです。
明日は、増田さんのコンパクトな暮らしをつくる、愛用品やこだわりについて、おうかがいします。
(つづく)
【写真】木村文平
もくじ
増田美奈子さん
三人兄弟の末っ子として生まれ、20〜30代では、岡本太郎の原画を用いたモザイク壁画や、広告のデザイナーとして活躍。たまたま営業先だったダイビングショップにのめり込み、いまでは都内の高校で海洋生物の市民講師をつとめる。国際水中映像フェスティバル実行委員会日本事務局の広報担当。特定非営利活動法人 ディスカバーブルーの理事。ダイビングのインストラクターとして、この40年間で潜ったその数1000本以上。
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