【はじめての入学準備】第1話:学習机は買わない?焦ったときこそ、完璧を目指さなくても大丈夫
編集スタッフ 小林
桜も満開、もうあと数日で4月を迎えます。お子さんの小学校入学を間近に控え、不安を抱えている方もいらっしゃるかもしれません。
この特集ではそんな不安を和らげたいと、小学生のお子さんを持つ先輩ママに、入学前後の体験談を伺います。
訪ねたのはご自宅でソーイング教室「laetoli(ラエトリ)」を主宰されている、井田ちかこさん。小学校5年の息子、小学校3年の娘の二人の子どもの母親です。
日頃から、子どもたちとの心温まる日常の一コマを切り取った井田さんのinstagramを楽しみにしていたわたし。
自分だったら小学生の子どもたちがいる中で、こんなに穏やかな暮らしぶりや心持ちになれないかも……。どうしたらそんなふうに穏やかにいられるんだろう、不安はないのかな? そんなことを知りたくて、お話を伺わせてくださいとお願いしました。
「いろいろ失敗もありましたよ〜!」と笑いながら、当時のことを話す井田さん。その言葉に、新しい季節を前にしてどこか肩に力が入っていた私の気持ちも、だんだんと緩んでいきました。
たくさんの「はじめて」。失敗もありました
はじめての入学準備。何が大変なのか想像できず、漠然とした不安があります。井田さんはどんなことが大変でしたか?
井田さん:
「大量の書類をまとめて提出しなくてはならなくて、初めての経験で慌てたのをよく覚えています。
息子のときにとても苦労したので、娘が入学するときは『あれがやってくるぞ……!』と思いながら心構えをしてましたね(笑)。
あと、ランドセルの検討が甘くて一般的なものよりも重いものを選んでしまっていたり、必要だと思っていたクーピーは結局いらなかったり……。プリントにちゃんと書いてあったのに勘違いで間違えたこともありましたね。
やっぱりはじめてのときは、いろいろ失敗してます」
名前つけも学習机も……。最初から「完璧」にしようとしなかった
▲リビングに子どもたちがよく使う学習道具をまとめている。
反対に、何かやっておいてよかったことはありますか?
井田さん:
「持ち物の『名前つけ』は、一気に書くと大変そうだから、ちょっとずつ、日にちをわけて書いていったんです。
それぞれ必要な日に、必要なぶんだけ間に合えばいいかなと思って。実際、それでも十分でした」
▲二人兄妹だけど、机はひとつだけ。
井田さん:
「あと、学習机は買いませんでした。きっとリビングでやるだろうという予想と、大きくなって使わなくなったときに、どうすればいいか分からなかったのもあって。
子どもたちは普段リビングで勉強しているのですが、集中できない時だけは、子ども部屋に置いた私のソーイング用デスクを使っています。
もう学習机は買わずに、中学生になっても、このままやってもらおうかなと思っています(笑)」
井田さん:
「マイペースな性格も影響しているかもしれませんが、最初から完璧にしようとは思いませんでした。
大変そうだなと思ったときこそ、少し肩の力を抜いて。迷ったら、焦らず無理せずで。それでも、意外となんとかなるもの。
今考えれば、この心持ちでいて良かったなと思っています」
心配の反対側で。新しい環境へ期待したこと
井田さん:
「はじめての入学前にとにかく不安だったのは、長男がとても恥ずかしがり屋で、『ちゃんとやっていけるのかな』ということでした。
おうちではおしゃべりなのに、幼稚園での発表や人前で話すときになると、極度に緊張してしまって。
周りには、はきはきと話す子達も多くて。このままだと自分の意見が言えないんじゃないかと心配していました」
井田さん:
「それに、同じ幼稚園から一緒に進学する子も少なくて、そのことを心配されている方も周りにはいましたね。
ただ、私は心配する一方で、『それも実はいいんじゃないか』とも思っていて。
知っている友達がいるってことは、最初は確かに安心するし、心強いと思うんです。
だけど幼稚園の頃の印象のまま、『あの子はこんな子だよね』って思われるより、もう新しい環境で、そこで出会った友達と、新しい生活を迎えるのもいいんじゃないかなって。
前からの友達がいなくても、きっとその子なりに、なんとかなるような気がしました。
結局小学校ではじめたサッカーをきっかけに、新しい友達もできて、本人も『自分はこれが得意かも?』と自信につながったみたい。
おとなしいままではあるけど、今は発表も彼なりにできるようになりました」
新しい環境を目の前にすると、どうしてもわからないことが多いから、不安や心配が心の中に芽生えてしまうもの。
けれど、最初から完璧じゃなくてもいい。そこから始まるいいことも、きっとたくさん待っているはず。
大人である私たちと一緒で、子どもにとっても、新しい場所でスタートを切ることは自分が変わるきっかけになるのかもしれませんね。
次回は「子どもの成長で、家族の暮らしかたはどう変わる?」というテーマで、引き続き井田さんにお話を伺います。
(つづく)
【写真】鍵岡龍門
もくじ
井田ちかこ
学生時代に洋服作りの基礎・染色や織りを学び、会社員として働きながら洋裁学校に通う日々を過ごす。その後北欧の織りに魅せられて北欧織りの先生に師事し、2年間学ぶ。出産を経て、日々の暮らしの中のささやかなものづくりを提案しながら、一緒に愉しめるソーイング教室「laetoli(ラエトリ)」を2016年より主宰している。
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