【小さくはじめる梅しごと】後編:献立づくりがラクになる。万能たれとアレンジ術

梅漬けを使ったレシピをご紹介します。梅漬けを使用した万能たれは、めんつゆ感覚で冷しうどんや素麺など、麺類によく合う「梅の調味料」。また、ごはんを炊いて、材料を混ぜるだけの楽チン混ぜご飯レシピもお届けします。

編集スタッフ 松田

家にある材料でカンタンに。手間いらずの梅漬けレシピ

興味はあるけれど、これまで一度も梅を仕込んだことがありません。そんなめんどくさがりの私でも、手間をかけずに梅を楽しめる特集をお届けしています。

前編で、料理家の中川たまさんが教えてくれたのは、梅を塩に漬けておくだけで干さなくていい「梅漬け」のレシピ。

つづく後編では、その梅漬けを使ったさっぱり料理をお届けします。

 


麺やおひたし、刺身にも
何にでも使える「梅の調味料」レシピ


江戸時代から、お醤油代わりにしていた梅をつかった調味料を教わりました。味わいは、梅風味のやさしいお出汁といった感じです。

中川さん:
「夏の定番、冷しうどんや素麺など、麺類によくかけます。まさに、めんつゆ感覚です。おひたしや、焼きなす、煮魚にも。それと、白身魚のお刺身にもとっても合うんですよ。

今回は去年漬けた小梅の梅漬けを使いましたが、青梅の塩漬けでも作ることができます」

作る手順はとてもカンタン。

梅漬けをお酒でひと煮立ちさせ、削りぶしで出汁をとるだけなんです。

◎分量
梅漬け…小梅20個(青梅や完熟梅なら4つ)
純米酒…2カップ
削りぶし…20g

 

Step1 梅漬けと純米酒を、中火にかける

小鍋に梅漬けと純米酒を入れ、一煮立ちしたら弱火で10分ほど煮て、梅漬けをいったん取り出す。

 

Step2 削りぶしを加え、火をとめ2~3分おく

削りぶしを加えたら、すぐに火を止め、そのまま2〜3分待つ。

 

Step3 ザルでこし、あら熱をとって出来上がり

ザルでこし、あら熱がとれたら、取り出していた梅漬けも一緒に瓶へ入れて保存する。

中川さん:
「味見をしてみて、もう少し酸味がほしい場合は梅漬けの液(白梅酢)を最後に加えても、さっぱりとした仕上がりになっておいしいですよ」

▲冷蔵庫に入れて、約1ヶ月保存可能です

冷しうどんにかけていただいたのですが、あっさりと飽きのこない美味しさに、つるつる〜っとあっという間に完食してしまいました。甘ったるさのない味わいも、食欲が落ちるこれからの季節にぴったり。

ひと瓶あれば、マンネリになりがちな冷やし麺の味つけにバリエーションが増えそうです。

▲冷たい麺類に輪切りしたすだちと梅漬けをのせて

 


おかずがなくても大満足!
干物とキュウリの混ぜご飯


続けて教わったのは、「あじの干物ときゅうりの混ぜご飯」。

中川さん:
「ごはんを炊いて、材料を混ぜるだけの楽チンレシピなのに、豪華な見た目で、夏のおもてなしにも使えます。

こちらも小梅の梅漬けを使いましたが、青梅の梅漬けで作ってもOK。青梅の場合、果肉がややカリッとしているので、食感のアクセントになりますよ」

◎分量(2人分)
堅めに炊いたごはん…1合
焼いたあじの干物…1枚
きゅうり(※)…1本
青じそ…3枚
塩昆布…適量
梅漬け(※)…小梅4つ(青梅や完熟梅なら1つ)
梅漬けの液(白梅酢)…大さじ1
白いりごま…少々

※きゅうりは薄切りにし塩揉みして、5分ほどおいておく
※梅漬けは種をのぞいて、刻んでおく

 

Step1 干物は、骨と皮をのぞき身をほぐす

 

Step2 ごはん、白梅酢、刻んだ梅漬け、塩昆布を混ぜ合わせる

白梅酢は、梅漬けをつくる際に出た液のこと。味を馴染ませるため、ごはんが温かいうちに白梅酢をまわしかけ、一緒に刻んだ梅漬け、塩昆布を混ぜ合わせる。

 

Step3 器に盛りつける

器を用意し、Step2のごはん、その上に水気をよく絞ったきゅうり、ほぐした干物、ちぎった大葉を盛りつける。

最後に、白ごまをひねりながら散らして完成。

食卓で混ぜ合わせて「いただきます!」

中川さん:
「あじの干物は、梅漬けのさっぱりとした爽やかな風味と相性ばっちり。混ぜ込む食材は自由に、魚はいわしやさば、鮭などでも美味しいです。きゅうりの代わりに、みょうがを入れてもいいですね。

梅漬けで出てくる液(白梅酢)も入れました。美味しいので、ぜひ捨てずにお酢として料理に使ってみてくださいね」

 

まずは一袋、買ってみよう

スーパーの梅売り場をみては、「時間がないからできない」と諦めていた梅しごと。いざ教わってみると、こんなにカンタンでいいんだと嬉しい驚きがありました。

季節の果物である梅。この特集の撮影時には、まだ梅が出回っておらず、急遽中川さん宅の庭の青梅を収穫して使わせていただいたんです。改めて、一年でいっときの旬のものなのだと感じました。

今しか手に入らないものだからこそ、まずは一袋買ってみよう。小さくてもいいから、人生初の梅しごとをはじめてみたいと思いました。

(おわり)

【写真】木村文平

 


もくじ

 

中川たま

料理家。神奈川県・逗子で、夫と大学生の娘と暮らす。自然食品店勤務後、ケータリングユニット「にぎにぎ」を経て、2008年に独立。季節の野菜や果物を活かしたレシピ、洗練されたスタイリングを書籍や雑誌などで提案している。逗子を拠点にイベントにも精力的に参加し、ジャムなどの保存食を提供するほか、伝統を受け継ぎながら今の暮らしに寄り添い、季節のエッセンスを加えた手仕事に日々勤しんでいる。

 


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