【お坊さんのお悩み相談室】第16回:やらなきゃいけないことをどうしても後回しにしがち……
編集スタッフ 松浦
家事や子育て、日々の仕事。私たちのくらしには、小さなことから大きなことまで「悩み」がつきものです。
「お坊さんに聞く、くらしの悩み相談室」は、仕事や子育てなど、日々のモヤモヤを、お坊さんに答えていただく連載。 クラシコムのオフィスに「くらしのお悩み箱」なるものを設置し、スタッフのくらしの悩みを集めました。
お答えいただくのは、著書『お寺ごはん』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)なども人気の、浅草・湯島山緑泉寺 僧侶の青江覚峰さん。青江さん自身も、3児の父として、子育てにも奮闘中ということもあり、お坊さん目線、そしてひとりの親目線でお話ししていただきます。
テスト勉強の前に掃除をはじめてしまうようなことです。目の前にあるやらなきゃいけないことをどうしても後回しにしてしまいます。どうすればすぐに取りかかれるのでしょうか。(スタッフK)
ありますね、そういうこと。僕にも、ものすごく心当たりがあります。
それこそ学生時代はしょっちゅうでした。普段は掃除なんてろくにしないのに、テスト期間になると急にがさごそし始めたり、古いアルバムを引っ張り出してきたり。完全に現実逃避ですね。自分でもわかっているけれど、現実に向き合う気力を奮い起こせない。
けれど、ちょっと考えてみてください。
例えば学校においては、この時期はテスト期間などと決められていますが、だからといって勉強なんてしてもしなくても、テストは始まりますし、終わります。やりたくないのならやらない。そんな選択があったっていいじゃないですか。
仏教ではよく「いま、何を為すかによって次の瞬間が決まる。これの繰り返しなのだ」と言います。因果の考え方です。
種をまくから芽が出る 芽が出るから花が咲く 花が咲くから種がとれる これは即ち、「いま、何を為さなかったかによって次の瞬間が決まる。これの繰り返しなのだ」とも言えます。
人間は誰も、ある日突然この世界に発生したわけではありません。両親がいて、先祖がいて、あなたが生まれる。近所の人、学校の先生、友だち、職場の人。交わした言葉。訪れた場所、そこで見た景色。出会った音楽や絵画。様々な出会いと経験、それらが今のあなたをつくっています。 どれが一つ欠けていても、今のあなたではありません。
同時に、逃した出会い、退けた決断、実行しなかった計画、それらとの縁が結ばれていたとしても、やはり今のあなたにはたどりつきません。 やったことも、やらなかったことも、全て自分に返ってくるのです。
そして仏教では縁起という考え方も説いています。因果の因と果の間にあるものです。先の例で言えば、種をまいたからと言って全ての種が発芽するわけではない、全ての芽が育つわけではない、ということです。同じような状況で種をまいても、現れる結果が同じとは限らないのです。
試験勉強だって同様です。勉強したからといって、テストがうまくいくとはかぎらない。テストがうまくいったからといって、その後の人生が順風満帆とはかぎらない。
ただ、勉強するもしないも、自分の行動を決めるのは自分自身であることを弁えていなければいけません。 やらなければいけないことを後回しにしたっていいんです。考え、行動し、あるいは行動せず、その結果を受け入れる。ただそれだけの単純な話です。
青江覚峰
僧侶 青江覚峰
浄土真宗東本願寺派 湯島山緑泉寺住職。米国カリフォルニア州立大学にてMBA取得。料理僧として料理、食育に取り組む。「暗闇ごはん」代表。超宗派の僧侶によるウェブサイト「彼岸寺」創設メンバー
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