【アンティークを日常に】第2話:家具やカトラリー、ファブリックのお手入れどうしてる?

編集スタッフ 寿山

昔からアンティークに憧れはあっても、選び方がよくわからなかったり、使いこなせる自信がなかったり、なかなか踏み込めない世界のひとつ。新しくてシンプルな現行品を選びがちです。

そこで今回の特集では、公私ともにアンティークのある暮らしを楽しむ「sajilo cafe」店主、川井加世子(かわい かよこ)さんにお話を伺います。

第1話では、アンティークの家具を買うときのポイントを。つづく2話では、買った後のお手入れはどうしているか、聞いていきます。

 

アンティークは “放ったらかし” が基本

本格的なアンティークに囲まれて暮らしている川井さん。日常的にどんなケアをしているのだろうと思って、お手入れ方法について伺ってみました。

川井さん:
「自宅で使う家具は、お手入れというほどのことは何もしていなくて。どれも放ったらかしなんです。

アンティークって、長年生き残ってきたものばかりなので、そう簡単には壊れませんから。古いものほど造りもしっかりしているので、気を遣うというより、むしろ何も気にせずガシガシ使っています」

 

壊れたら「木工ボンド」で簡単リペア

川井さん:
「お店で使っている椅子やテーブルなんかは、使い方が激しいので壊れることはあります。そのときは『木工ボンド』でくっつけるんです。

家具だけでなく、木製品は何でも木工ボンドで修理するのが一番だと、大工さんに教わった事があって。それから私も木工ボンド一筋です。

くっつけてもまた外れたりするんですが、その時は固まったボンドの部分をいったん剥離して、またボンドでくっつければいいだけ。この方法なら誰でも簡単にリペアできますよ」

 

アイアンは、さびてこそ美しい

私は気に入っていたアイアンの雑貨がさびて、ショックを受けた経験があるのですが、川井さんはそんな経験はないのでしょうか?

川井さん:
「これは私の主観ですが、口に入れるカトラリーでなければ、さびも味わいだと思っているんです。

あまりにさびて気になったら、塗装します。

ちょうど庭のフェンスがアイアンで、経年変化でさびが進行してきたのでペンキを塗ったところ。塗りたてはピカピカになってガッカリするのですが、すぐに下からまたサビが現れて、ちょうどいい感じになるんです。

さびたら塗装しての繰り返しでまた、一層深みのある表情になるんですよ」

 

真鍮や銅のカトラリーは “磨かない”

それでは、真鍮や銅のものはどうなのでしょうか?

川井さん:
「お店のスタッフが気を遣って、真鍮のカトラリーや銅鍋などをピカピカに磨いてくれることがあるのですが。せっかくの味がなくなってしまったと、個人的にはショックを受けるんです。

もちろん不衛生なのは嫌なのでしっかり洗いますが、磨く必要はないと思っています。

好みもあるとは思うのですが、真鍮や銅も手入れをしない方が、味が深まっていいなと感じます」

 

リネンのシミやほつれは、洗濯すれば「味」に

ヴィンテージのリネンやコットンも好きで、たくさん集めているという川井さん。ファブリックの保管はどうされているのでしょうか?

川井さん:
「布もとくに保管に気を遣ったり、お手入れしたりはしていません。

たまに引っかけてほつれたり、シミがついたりしてしまうことはありますが。洗濯すれば傷や汚れも馴染むというか、またそれが味わいになるなと感じています。

フレンチリネンの布をカーテンがわりに窓に吊るしていますが、日差しで少し黄ばんできていて、そうするとアンティークの家具とより馴染むようになるんです」

アンティークの家具も雑貨も、丁寧に扱わないといけないものだとばかり思っていました。だから川井さんがガシガシ使って、お手入れもしないという話にびっくり。

妙な思い込みから、自分でハードルを上げていただけなのかもしれません。

つづく3話では、ストレスを感じずに古いものと暮らすコツを伺います。

 

【写真】川井加世子

 

もくじ

 

川井加世子

東京と軽井沢でネパールとインドの料理を供する「sajilo cafe」を夫と営む。一部店舗でアンティークの家具や雑貨も販売しており、建築士として店舗や住宅の設計も手掛ける。Instagramのアカウントは@sajilo_kayo


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