【スウェーデンに移住して】第1話:仕事をやめて留学からリスタート。大好きな北欧での暮らし。

ライター 長谷川未緒

特集「スウェーデンに移住して」では、自ら行動を起こして好きな国に移住した方に、お話を伺います。

今回は、スウェーデンで暮らしながら、Skantique(スカンティーク)の屋号で北欧アンティークの品々を展示会や企画展などで販売されている松崎由貴子(まつざき ゆきこ)さんです。

わたし・長谷川は、松崎さんが東京で販売会をされるときには、必ず足を運びます。彼女が選ぶものは、センスの良さもさることながら、ひとつひとつに物語が感じられ、誰かが慈しんだ歴史ごと受け継ぐようで、ものという存在を超えてエネルギーをもらえる気がするからです。

昨年、お迎えしたお花のレリーフを家の壁に飾ったとき「部屋が喜んでる!」と感動したことは、忘れられない体験となっています。

素敵なもの選びをされる松崎さんが、単身スウェーデンに渡った理由や、いまのお仕事をはじめたきっかけ、インテリアのヒントが溢れているに違いないお住まいのことなど、気になっていたことをたっぷりと伺いました。

 

スウェーデン・ダーラナ地方で暮らしたいと思った

松崎さんは、2012年からスウェーデンで暮らしています。きっかけは何だったのでしょうか。

松崎さん:
「父の仕事の関係で、7歳までスウェーデン南部のルンドという街で暮らしていました。生まれ育った場所だからか、スウェーデンはずっといちばん好きな場所です。爽やかな空気や美しい光り、素朴で優しく、平等に接しようとしてくれる人が多いところなどが、自分に合っているのだと思います。

大学卒業後は東京でアパレル関係の仕事をしていたのですが、いつか戻りたいと子どものころから心の奥深くで想い続けていたので、移住の足がかりとして留学することにしました」

インターネットで見つけた留学先は、手工芸の学校でした。

松崎さん:
「せっかく行くのだから、きれいなものに囲まれた空間にいたいと思いました。スウェーデン中部に位置するダーラナ地方にあるその学校は、サイトを見た瞬間、ピンときたんです。ここなら、美しい手仕事に囲まれて生活できる、と。

手工芸学校ではソーイングを学び、ミシンを使う授業と、手縫いで民族衣装などを作る授業を受けました。ほかにも麻を育てて糸を紡ぐまでの工程を実践したり、学校で飼っている羊の毛を刈ったりと、手仕事にまつわるさまざまなことを学びました。

学校に通っていた2年間は寮で暮らしていましたが、卒業してからの6年間は、学校の隣町、レクサンドでアパートを借りて住んでいます」

 

移住先で、理想の住まいを見つけるまで

伝統と文化が継承され、自然が豊かで美しいダーラナ地方は、スウェーデン人の心の故郷といわれているそう。その地にあるレクサンドは、ちいさな町ながら古くから文化人が集ってきたといいます。松崎さんがここで暮らせることになったのは、積極的な働きかけがありました。

松崎さん:
「学校に併設された手工芸店のスタッフに、マルガレータという学校中から愛される素敵な女性がいました。

私も彼女のことが大好きで、あるとき拙いスウェーデン語で『学校を卒業してもスウェーデンで暮らしたいけれど、住む場所はどうやって探したらいいだろう』と相談したんです。すると、レクサンドに住むマルガレータのご両親が家の2階部分をアパートとして貸していて、私が学校を卒業するころ、いま住んでいる人たちが退去すると教えてくれました。

手工芸学校の1年目と2年目のあいだにある3ヶ月の休み中、たまたまそのアパートを借りられることになりました。1920年代に建てられたその家は、好きな要素がたくさんあり、近くには森と湖があって、ここで暮らせるのは夢のようだと思いました。

マルガレータに会うたびに、『卒業後は絶対にあのアパートに住みたいけれど、いい?』と言い続け、いつも『いいよ』と答えてくれました。そして、学校終了の日には鍵を渡してくれたんです」

 

スウェーデンの賃貸住宅は、家具も家電も備え付け

▲玄関に置いているハリネズミの入れ子の置物。中には、鍵などを入れている。

松崎さんが暮らしているのは、地下1階、地上2階の戸建ての2階部分です。もとは2DKにベランダがついていましたが、大家さんのリフォーム好きが高じて、去年ベランダに窓がつきサンルームもできました。

寮を出て、外国でひとり暮らしをはじめるにあたっては、いろいろと物入りで大変そうですが、家具や家電が備え付けだったといいます。スウェーデンでは、そういう賃貸が多いのだとか。

ありがたいことではありますが、趣味が合わないということはなかったのでしょうか。

▲キッチンの棚の扉の裏側には、レシピを貼っている。

松崎さん:
「大家さん一家は、とてもセンスのいいご家族なんです。この家を建てたおばあちゃん(マルガレータさんのおかあさんのこと)のお父様は、このあたりでは有名な金工職人でしたし、おばあちゃんも、織物や陶器の絵付けが趣味でした。

マルガレータはアンティークショップを経営していましたし、そういう一家の、先先代からの家具が倉庫や物置にしまってあるので、サイズや色など、使いやすいものを選ばせてもらいました。

家具選びより最初に悩んだのは、そもそもの部屋づくりです。海外ではじめてのひとり暮らし、部屋もふたつあり広すぎてどうしたらいいのかわからず、毎日、模様替えをしていました」

 

家で心地よく仕事ができるインテリアとは?

松崎さん:
「ああでもない、こうでもないと悩んでいたのですが、あるとき、私は自営業で家で仕事をするのだから、部屋の役割を決めて、オンとオフを区別できるようにしようと思いつきました。

2部屋あるうちのひとつを寝室に、もうひとつを仕事部屋にして、寝室は休む場所なので買い付けてきた商品は置かないように。仕事部屋に入る廊下を渡るのを出勤と考えて、気持ちの切り替えをするようにしたら、自然と家具の配置も決まりました」

▲裂き織りのマットが敷かれたこの廊下を隔てて、寝室と仕事部屋を分けることに。

さらに、水回りには頭を向けたくない、寝室には鏡を置きたくないなど、松崎さんなりのこだわりが。そのあたりをクリアし、寝室にベッドを置いたら実際に寝て、寝心地のいい場所を探したといいます。

仕事部屋ではデスクがいちばん長く居る場所だから、そこからの眺めを優先して、心地よく家具を配置しました。

松崎さん:
「どの部屋も窓が大きくとられているので、光が気持ちよく入ります。その気持ち良さを邪魔しないように、空気の流れが停滞しないように、少しでもいやだなと思うところがあれば、微調整しながら整えていきました。

いまでは、どこにいても居心地のいい部屋になったと思います」

外国でアパートを借り、ひとりで暮らしはじめた松崎さん。大家さんのおばあちゃんは残念ながら他界してしまいましたが、この家が好きだし、大家さん一家と親しくおつきあいしていることもあり、できるだけ長くここで暮らしていきたいといいます。

2017年には永住権を得て、ようやく地に足のついた暮らしができるようになったのだとも。それまで買うことなど考えていなかった家具も買い揃えはじめました。

続く2話では、スウェーデンでのお仕事ぶりや、好きなものに囲まれる住まいづくりのヒントなどを伺います。

 

【写真】松崎由貴子

 

もくじ

松崎由貴子

2012年よりスウェーデン在住。Skantique(スカンティーク)の屋号で、北欧のアンティークをイベント等で販売している。もの選びの確かさにファンが多い。http://www.skantique.net


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