【親子で取りくむ収納】第3話:子どもが自分でラクに身支度できる服のしまい方って?

ライター 嶌陽子

子どもの収納について整理収納アドバイザーの水谷妙子(みずたに・たえこ)さんに教わる特集。

第1話では水谷さんが考える「無理をしない収納」の話、第2話ではおもちゃの整理収納について聞きました。第3話の今回は衣類の整理収納術をお届けします。

親だけで決めず、子どもの意見を聞きながら整理収納に取り組んでいる理由についても話を聞きました。
第1話第2話

 

 “浅い引き出しに重ねず収納” が散らからないためのコツ

▲衣類収納にはIKEAの “トロファスト” を使用。左から長女、長男、次男と、ひとり1列ずつ。中身を書いたラベルを貼って。

Tシャツ、ズボンなど、ジャンル別に分けて引き出しにしまってはいるものの、気がつくといつも引き出しの中身がぐちゃぐちゃに……。そんな悩みはどうやって解決すればいいのでしょう?

水谷さん:
「引き出しが深いと服が重なってしまったり子どもの手が届きにくかったりして出し入れしにくく、その結果散らかるということに。我が家では子どもの服は深さ10cmの引き出しにしまっています」

Tシャツやズボンなど、ジャンルごとに分かれた引き出しを開けると、それぞれの服が上から全部見渡せる状態に。取り出す際はもちろん、洗濯物をしまう際もストレスがなさそうです。

水谷さん:
「収納ケースを買う際、たくさん入るからという理由でつい深い引き出しを買ってしまいがち。でもたくさん入る=良い収納とは必ずしも言えないんですよね。誰がどんなふうに使うかを考えて選ぶと、よりぴったりの収納グッズを選べると思います」

▲下着は畳まずぽんと入れるだけ。「小さくて畳みにくいし、畳んでいないほうが子どもも着替えやすそうなので、これでいいと思っています」

 

1軍服は子どもが選びやすいよう、ゆったりと入れる

▲週1回以上着る “1軍” の服。少ない数がゆったり入っているので出し入れの際にストレスゼロ。

服が片づかないという悩みを話している時、水谷さんから「たとえばTシャツだったら何枚ありますか?」との質問が。すぐには答えられず、しばし考え込んでしまいました。

水谷さん:
「すぐに答えられないということは、服の量が管理能力を超えているのかもしれません。これも散らかる原因のひとつです。

週1回以上着るものを1軍、それ以外のシーズンオフの服やこれから着るサイズの服などを2軍にして、分けて収納するのがおすすめ。

1軍は引き出しにゆったり入る量にするのがポイント。子どもの年齢や洗濯頻度、ライフスタイルにもよりますが、目安としてTシャツ、ズボンともに10枚くらいが、子どもが選びやすく、親も管理できる上限だと思います。

一方、2軍はいくら入れてもOK。我が家では蓋つきの箱に入れて別の場所にしまい込んでいます」

▲2軍のボックス。シーズンオフの服、サイズが大きくてこれから着る服などはTシャツとズボンをまとめて蓋つきのケースにぎゅうぎゅうに入れて、クローゼット上段にしまいこんでいる

 

収納は “観察” から。子どもの動きを見て置き場所を決める

自分で身支度できるようになったものの、忘れ物が多かったり、脱ぎっぱなしになっていたりしている我が家の子ども。どんな収納にすれば、こうした悩みを解決できるのでしょう。

水谷さん:
「我が家でもそういうことはあります。たとえば娘が小学校に持っていくハンカチとティッシュ。以前は一番下の引き出しに入れていたんですが、よく忘れがちだったんです。

娘がスルーしない場所はどこか、娘の動きをよく観察して考えた結果、靴下と一緒の引き出しに入れることに。

朝、靴下を履くために必ず開けるので、ハンカチとティッシュも忘れないようになりました」

水谷さん:
「娘の上着も前は玄関に置いていました。でも、上着の上にランドセルを背負っているので、順番としてはランドセルを下ろしてから上着を脱ぐんですよね。それに気づいてからは、ランドセルの近くに上着置き場を作るようにしました。

水谷さん:
「日々トライアンドエラーを繰り返しながら、忘れ物をしない&ラクに片づけられる収納システムを探っています。

置きっ放しがある、特定のものをよく忘れるという場合、何かしら収納の仕組みに問題がある可能性も。どこに問題があるのか、家族の動きやものの置き場所をよく観察することでより良い方法が見つかるはずです。

たとえば “いつもこの場所に置きっ放しにする” という場合、その場所を定位置にするのがいいのかもしれません。

一度でうまくいくと思わず、とりあえず試してみるのがいいと思います。失敗してみないとわからないことがほとんどですから」

 

片づけは、子どもの問題解決力を育てるための身近な手段

水谷さんは新たに収納場所を決めたり、ものを買い足したりする際には、必ず家族に「どう思う?」と聞くようにしているといいます。

水谷さん:
「ひとりで決めてしまったほうがラクですよね。でもそれだと家族はいつまで経っても自分で考えないし、整理収納が自分ごとにならない。

子どもが忘れものをした時も、忘れないためにはどうしたらいいと思う?と聞くようにしています。最近は子どもの方からなるほど!と思うような収納アイデアを提案してくれることも。

私のゴールは子どもが “片づけができるようになること” ではなく、 “困ったら自分で考えて工夫し、解決できるようになることと” 。整理収納や片づけは、それを暮らしの中で学ぶための身近な手段なんです」

単に家を整えるためだけではなく、子どもにとって必要な力を育てるための大切なプロセス。整理収納や片づけをそんなふうにとらえると、子どもと一緒に前向きに取り組めそうです。

最終話では学用品やプリント類の整理収納について聞いていきます。

 

【写真】大森忠明

 

もくじ

 

 

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水谷 妙子

整理収納アドバイザー。夫、8歳の娘、5歳と3歳の息子の5人暮らし。無印良品で生活雑貨の商品企画・デザインを13年間務める。手がけた商品は500点超、調べた他社商品は5000 点超。2018 年に起業し、雑誌やテレビなどで活躍中。著書に「水谷妙子の取捨選択 できれば家事をしたくない私のモノ選び」(主婦の友社)など。WEBサイト:「ものとかぞく」http://taekomizutani.com/ Instagram:monotokazoku

 

ライター 嶌陽子

編集者、ライター。大学卒業後、フリーランスでの映像翻訳や国際NGO職員を経た後、2007年から出版社での編集業務に携わる。2013年からフリーランスで活動を始め、現在は暮らしまわりの記事や人物インタビューなどを手がける。執筆媒体は『天然生活』『クロワッサン』『日経ウーマン』など。プライベートでは1児の母として奮闘中。


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