【今日も明日も、洗濯しよう】前編:洗濯機をまわす日に「小さな楽しみ」を

ライター 片田理恵

日々の暮らしから切っても切り離せない家仕事のひとつ、「洗濯」。

毎日繰り返すこの時間を、もっと心地いい、自分だけの小さな楽しみの時間に変えられたらどんなにいいだろう。そんな思いを込めて、この洗濯特集を企画しました。

協力してくださるのはイラストレーターのまるやましのさん。「商店街の小さな家」特集でもご紹介したことのある、リビングに隣接したすてきなランドリールームでの洗濯タイムにお邪魔しました。

 

洗濯は「暮らしの句読点」になれるかもしれません

そもそも洗濯って、暮らしの中でどんな位置付けなんだろう。まずはそんなおしゃべりから取材がスタートしました。

「毎日やらなければいけないけど、実はちょっと苦手な家事」というのが私たちの総意。だからこそ「どうせやるんだから、自分にとって楽しいひとときにする」ためにアイデアを考えたいものです。

と、思いついたのがコインランドリー。洗濯が終わるのを待ちながら、コーヒーを片手に雑誌を読む。あのひとときってちょっと楽しいかも、と気づきました。

まるやまさん:
「洗濯機のスイッチを入れてしまえば、終わるまではやりたいことに使える。そんなふうにとらえると感じ方が変わるかもしれませんね。洗濯の場合、あと何分で終わるとあらかじめわかっているからこそ、その限られた時間だけは自分のために使っていいことにする、とか。そうすると洗濯が楽しみになるし、暮らしにメリハリが生まれそうです」

 

洗濯も、仕事も、生活のパーツのひとつ

まるやま家は夫婦ふたり暮らし。夫の晶崇(まさたか)さんはデザイナー、しのさんはイラストレーターとそれぞれに仕事を持ち、普段から家事も分担しながら行っています。

洗濯に関しては「洗って、干す」がしのさん、「たたんで、しまう」が晶崇さんの担当。

まるやまさん:
「私がたたむのが苦手なんです。だからつい、他の家事よりも優先順位が後回しになってしまって。いつまでも干してある状況を見かねて、いつしか夫がやるようになりました(笑)。衣類は決まった形がないというか、どのようにでもたためてしまうので私には扱いが難しいんですが、夫は上手。役割を分けてからは洗濯がスムーズにまわるようになり、助かっています」

お住まいは、3階建にロフトがついた一戸建て。ランドリースペースがあるのは、リビングのある3階です。すぐ隣にある扉を開けるとバスルームにつながっているため、脱ぐ→洗う→干すといった洗濯動線はスムーズだそう。

洗濯機は中古で手に入れたというMiele(ミーレ)のドラム式を愛用しており、リビングに置いても違和感のないデザインが空間にうまくなじんでいい雰囲気をつくり出していました。

洗濯に必要なアイテムはカウンター上の棚にまとめ、脱いだ衣類を入れるランドリーボックスとハンガーやピンチは洗濯機の横に。選び抜かれたひとつひとつの道具がなんともすてきです。

まるやまさん:
「ランドリースペースの前には、私が仕事をするデスクがあります。洗濯も仕事も生活のパーツだと考えているので、切り分けることなく同じ空間に共存させました。気持ちのよい絵や雑貨を飾って、洗濯の時間が楽しくなるように心がけています」

 

自分のために「洗濯機まかせの洗濯」を

では、本日もさっそく洗濯スタート。まずは洗濯物の仕分けに取りかかります。工程をシンプルにして洗濯を洗濯機まかせにするため、そして衣類を元のきれいな状態に仕上げるためには、この仕分けがとっても大切。基本は「素材」と「色」で4つに分けます。

①やさしいデリケート洗い(白)
下着、シルク、リネン、ウール素材の衣類や小物

②やさしいデリケート洗い(色柄もの)
①と同じアイテムの色柄もの

③しっかりじゃぶじゃぶ洗い(白)
コットン、ナイロン素材の衣類や小物、タオル

④しっかりじゃぶじゃぶ洗い(色柄もの)
③と同じアイテムの色柄もの

⑤そのほか
土や泥など特に気になる汚れがついたもの、繊維が抜けやすいもの(特に新品のタオル)

 

仕分けが済んだら、①と②の「やさしいデリケート洗い」をネットへ。洗濯物同士の摩擦で衣類が傷むのを防ぎます。

 

次は洗濯物にあった洗剤と運転モード選び。せっかく洗濯をしたのに汚れが落ち切らなかったなんてことのないよう、適切なものを選びましょう。衣類を傷めたくないからと、しっかり洗えるものまでデリケート洗いにしてしまうのはおすすめしません。

やさしいデリケート洗い
マイルドな中性洗剤を使い、おしゃれ着コースやデリケートコースで洗う

しっかりじゃぶじゃぶ洗い
汚れを落とす力の強い弱アルカリ性洗剤で、通常モードで洗う

 

⑤の「そのほか」には、洗濯機に入れる前に別個のケアが必要です。

たとえば……
・ガーデニングをして土汚れがついたもの
・子どもの体操服などの泥汚れ
・大掃除で埃汚れがついたもの
まずしっかりと土や埃をはたいて落としてから、ほかの衣類とは分けて洗います。その際、水量は多め、洗濯物量は少なめ、すすぎは1回追加を基本に「じゃぶじゃぶ洗い」を。

・焼肉やバーベキューで煙のにおいがついたもの
はたく工程をのぞいて、上記と同様です。

・汗をかいたスポーツウェア
弱アルカリ性洗剤を使えば、「じゃぶじゃぶ洗い・色物」と混ぜてしまって大丈夫。ただし事前に色落ちしないかどうか確かめてから洗うようにしましょう。特に初めてその洋服を洗濯する時には色落ちのチェックを忘れずに。

色落ちチェックのやり方は、洗濯洗剤の原液(粉洗剤の場合は水で薄める)を目立たないところに少しつけて数分後に白い布で軽く叩き、色がつかなければOK。

また、おろしたてのタオルはほかのものと混ぜずに単体で洗いましょう。これはパイルの毛が抜けてほかの洗濯物につくのを防ぐため。3回目以降はほかの衣類と一緒に「しっかりじゃぶじゃぶ洗い」に移行してOKです。

 

きちんとしたやり方がわかるって、楽しい

正解がわからないまま、見よう見まねで始める。洗濯だけじゃなく「家事」って案外そんなものかもしれません。でも、だんだん「これでいいのかな?」と感じるようになる。「もっと楽しくやるにはどうするといいだろう」と考えるようになる。

それって、きっとすごくいいチャンスだと思います。今まで自分なりのやり方を考えて実践してきたからこそたどり着いた、次のステップだから。

後編では、仕分けした洗濯物を洗うひとときをお届けします。洗濯機のスイッチを押したあと、まるやまさんはどんなふうに「自分だけの時間」を楽しんでいるんでしょうか。

(つづく)

【写真】小林キユウ

 

もくじ

 

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まるやましの

季節や花鳥を描くイラストレーターとして、紙媒体を中心に活動をする傍ら、和食店での勤務を通じ、日本料理を学ぶ。自宅スペースのHOMEBASEを拠点に、お弁当販売など料理活動も行っている。夫、猫2匹と暮らす。Instagram:@ki_gi_si

 

監修 平島利恵

洗濯研究家。布ナプキンと洗剤の開発・販売を手がける「Rinenna」代表。株式会社リクルートなどを経て起業。洗濯のプロとしても活動中。Instagram:@rinennanewyork
https://rinenna.jp

 

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ライター 片田理恵

編集者、ライター。大学卒業後、出版社勤務を経てフリーランスに。暮らし、食、子育て、地域などをテーマに取材・執筆に取り組む。


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