【ダイニングテーブルを探して】第1話:家でどんな時間を過ごしたいか、考える
編集スタッフ 津田
おととしの冬、築40年以上のこじんまりとした1LDKのマンションを買いました。インテリアにもがぜん熱がはいるようになり、暇さえあれば、雑誌をながめてネットサーフィンに明け暮れています。
なかでも気になるのが、ダイニングテーブルです。
引っ越してすぐテレワークが始まり、長いことレンタル家具のお世話になっていたのですが、やっぱり自分のものが欲しい。けれど、それなりに長く使うものだし、インテリアの方向性を決定づけてしまいそうで、なかなか一つに決める勇気が出ない……。
そこで企画したのが本特集です。ひとくちにダイニングテーブルといっても、天板の色や形、サイズなどたくさんあるなかから自分にぴったりの一台を見つけるには。そのヒントを全3話でお届けします。
北欧ヴィンテージ家具のhaluta tokyoを訪ねました
訪ねたのは、東京・神宮前にあるhaluta tokyo instock showroom(ハルタ・トーキョー・インストック・ショールーム、略してhaluta tokyo)。
halutaは長野県の軽井沢を拠点に、北欧の主にデンマークから届く家具のリペアや販売をするほか、パンの製造販売や住宅設計業務など、 “引き継ぐ暮らし” をテーマに幅広い事業を手がけています。
ここは都内の店舗として、ヴィンテージの家具や器、小物など、オンラインストアで紹介しているアイテムの一部を展示販売しています。
*神田にショールームを構えていましたが、今年2月に神宮前へ移転しました。
▲お店の一角には北欧のヴィンテージ食器がたくさん!
すこし前に、こちらで椅子を購入したことがあり、今回も相談に乗っていただくことに。
取材を申し込むと「ちょうどいろんな種類のダイニングテーブルを、いま展示しているんです。こんなに数があるのは珍しいので、ぜひ早めに見に来てください」とのお返事でした。
ひょっとして、運命の出会いがあるかもしれない。はやる気持ちを胸にお店に駆けつけました。
なにより「家でどう過ごしたいか」が大事です
お店に足を踏み入れると、北欧のヴィンテージ家具がずらり。三段くらいの小さなチェストや一人掛けのゆったりとしたソファなども展示されており、通路を進むごとにワクワクしてきます。
ダイニングテーブルは10台ほどが展示されていました。
長方形のもの。円形のもの。小ぶりなもの。たっぷり広さがあるもの。ヴィンテージだから当たり前なのですが、ひとつとして同じものはありません。それぞれが魅力的で、それぞれにほかでは代替できない個性があり、ここから一つを選ぶのは至難のわざに思えます。
「う〜ん。悩んじゃうな〜。やっぱり円形もいいけど、長方形も使いやすそうだよなぁ」なんて独り言をつぶやいていたら、案内してくださったhaluta tokyoの所さんから「津田さんは、どうしてダイニングテーブルを買おうと?」と投げかけられ、ええと、あれ、そういえばなんでだったっけ、と答えに詰まってしまいました。
▲Niels Otto Moller model.62 アームチェア
haluta tokyo 所さん:
「ダイニングテーブルを探しにいらっしゃる時は、買い替えか、新しく買うか、大きく分けると、このどちらかがほとんどです。それによってご案内する内容は多少変わってくるのですが、共通してお聞きしているのが『なぜ欲しいのか』ということ。
たとえば、こんなお答えがあったりします。
お子さんが独立されたからコンパクトなものに買い替えたい。いま長方形のものを使っていて、ちょっと飽きてきたから円形のを探している。一人暮らしだけど家で仕事もするようになってテーブルが欲しい。北欧のデザイナー家具に憧れがあって、自分の暮らしに取り入れたい。などなど。
どんなライフスタイルなのか。その人にとって、ダイニングテーブルで過ごす時間はどんなものなのか。具体的にイメージできると、どういうテーブルが欲しいのかも分かるはず。デザインやサイズも絞れるので探しやすくなると思います」
▲Borge Mogensen model.6284 ダイニングテーブル。ダイニングチェア4脚とセットで展示販売されてます
haluta tokyo 所さん:
「先ほどの、お子さんが独立したというケースでは、幅は小さくするけど、年末年始は家族が揃うからエクステンション付きで広くできるほうがいい、となるかもしれませんね。
一人暮らしでたとえば食事はソファでするのであれば、とにかく仕事用のテーブルはコンパクトで部屋を圧迫しないものがいい、それならヴィンテージだとサイズのバリエーションが少ないので現行品も見てみよう、と探し方が変わるかもしれません。
北欧のデザイナー家具でと決めている場合、まず置く場所とサイズを決めてから、デザイナーや型番を絞って出合えるまで気長に待つ、それまではレンタル家具にお世話になろう、という可能性だって出てきます。
ご来店いただいた時にお話をしながら、家具選びのお手伝いができればと思います」
この小さな家を居心地良くするために
▲Borge Mogensen J39 ダイニングチェア。私がhalutaで購入したのと同じものです
「あなたはどんな時間をダイニングテーブルで過ごしたいですか」。
この質問にすぐ答えが出せなかったとき、すこしハッとしました。とびきりのダイニングテーブルを迎えたい、せっかくならば一生モノに出合いたい、と思いすぎて、最近では探すこと自体に躍起になっていたのかもしれません。
私はこの小さな家を、自分の手で居心地のいい場所にしていきたい。誰かにすてきと思ってもらうためではなくて、自分がのんびりできること。それがいちばん。そんなふうに考えていたことを思い出しました。
つづく第2話は、より具体的なテーブル探しについて。円形と長方形のちがいとサイズのことを教えていただきます。
【写真】上原未嗣
もくじ
haluta tokyo instock showroom
長野県の軽井沢にあるhalutaの都内拠点。北欧ヴィンテージ家具のショールームとして、北欧の美しく、引き継ぐ暮らしを体現した家具を軽井沢の倉庫より一部、移動展示している。ヴィンテージ家具のほか、器や小物も常時展示販売。関西では神戸にショールームがある。
Instagram: @haluta_tokyo @haluta_kobe
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