【いそがない部屋づくり】第3話:住みながら完成させる、動線のいいキッチン

ライター 長谷川未緒

設計士の友人と一緒にプランを立てながらリノベーションしたという料理家の柚木さとみ(ゆぎ さとみ)さん宅を訪問している、特集「いそがない部屋づくり」。

第1話では、築47年の古家との出会いからリノベーションについて、第2話では、リビング・ダイニングについて、お話を聞きました。

続く第3話では、使いやすい収納術やDIYであつらえたパントリーなど、真似したい工夫がいっぱいのキッチンを拝見します。

第1話から読む

 

壁付けキッチンで、風通しのよい空間

リビング・ダイニングと同じ1階スペースにある柚木さん宅のキッチン。壁の白や家具のブラウンなどの落ち着いた色合いの中で、ひときわ目を引くのがキッチン壁面のグリーンのタイルです。

じつは設計士(柚木さんの高校時代からの友人でもある)からは、難色を示された色なのだとか。

柚木さん:
「ショールームに一緒に行ってもらったのですが、『白のほうがいいんじゃない? グリーンはけっこう目立つよ」と。

でも一目惚れだったので、直感を信じて選びました。このタイルの色は廃盤になっているのですが、同じタイルの色違いを使ってキッチンをリノベーションした知人もいるくらい、評判がいいんですよ」

キッチンは、壁付けタイプを選びました。

柚木さん:
「仕事場として使っているアトリエはアイランド型で、動きやすく開放感があっていいのですが、匂いが広がりやすく、油はねの掃除が面倒なんです。

住まいのほうはキッチン主体じゃなくていいと思ったので、掃除がしやすい壁付けキッチンにしました」

素材は、木やステンレスではなく、石です。

▲家具や建具同様、「グリーム」に依頼。

柚木さん:
「掃除がラクで、鍋敷きを使わなくても熱々の鍋を置けるところがいいな、と思って。木やステンレスより、石のほうがローコストだったのはうれしい驚きでした。

壁付けキッチンなので引き締まるように黒を選びましたが、アイランド型だったら白を選んだと思います」

 

動線を軸にした、プロの収納アイデア

▲一般家庭より火力の強いガスを使った4口コンロ。

キッチンをつくるときには、いままでの経験から動線を考え抜いたそう。右奥にあるパントリーに置かれた冷蔵庫から食材を出したら、シンクで洗い、調理スペースで調理、そしてガスコンロで加熱、と直線で動けるようになっています。

柚木さん:
「向かって左側にコンロを設置しています。これがパントリーのある右側にあると、動きやすさが全く変わってきます。

ほんのちょっとしたことですが、行ったり来たりしなくていい、動きを最小限にできる配置にしています」

ボウルやザルなどのキッチンツールはシンクそばに、鍋やフライパンはガスコンロそばに、と道具置き場も動線に沿っています。使用頻度の高いものは、しまいこまずにオープンに収納するのも、使いやすさの工夫です。

柚木さん:
「オープン収納は棚にほこりがたまりやすいというデメリットがありますが、使うときに道具をどけたついでに、さっと拭くようにしています。

カラフルなものではなくステンレスなどのスタッキングできる道具を選べば、うるさく見えることも少ないと思います」

▲『ストウブ』の鍋や、『中尾アルミ製作所』の雪平鍋は、厚みがあって熱伝導が安定しているので、料理がおいしくつくれるお気に入りです。

誰でもいますぐ真似できる、収納の技も教えてくれました。

 

ツールは素材別で、見た目よく使いやすく

柚木さん:
「バラバラに見えやすい、ヘラや菜箸、スプーンなどのキッチンツールは、種類別ではなく、ステンレス、木、シリコンなど、素材別に収納するとすっきり見えます。

洗ったあとしまうときも、種類別より素材別のほうが、色合いで感覚的にしまえるので、おすすめです」

こまごましたものは、すぐに混ざり合ってしまい、整理し直すリセットタイムが必要なものと思い込んでいましたが、素材別なら混ざりにくいというのは、すっきり見える以上にうれしいポイントです。

グリーンのタイルの壁面には、最近になって飾り棚を付けました。

柚木さん:
「作業台のほかにちょっとものが置ける場所がほしくなったので、棚を付けました。最初からつくり込まずに、変えられる要素を残しておくと、生活の中で出てくる変えたくなることに対応できます」

 

キッチン感を出さない、スマートな作業台

▲「グリーム」にオーダーした作業台。

壁付けキッチンとダイニングのあいだには、作業台を置いています。いざとなったらここで料理教室が開催できるようにと考えてのことでした。

柚木さん:
「ほんとうはフルオープンではなく、ダイニング側には背板をつけて閉じたかったのですが、そうすると圧迫感があるよ、とデザイナーに言われまして。

背板があったほうが、思い切り入れられるので安心感がありますが、オープンにしたことで抜け感が出たのでよかったです」

▲「グランデコランダー」のざるは、持ち手がリーフ型。場所を取らずに持ちやすい柚木さん愛用の道具。

作業台のサイズは向かい合って料理ができるよう、まな板2枚を並べられる縦56.5cm、横は部屋の広さに合わせて186cm、高さはキッチンと合わせて85cm。

柚木さん:
「ザ・キッチンというふうにならずに、リビング・ダイニング感を大切にしたかったので、できるだけスマートなサイズにしています」

キッチン側とダイニング側と、両方に引き出しがついています。キッチン側にはラップなどを、ダイニング側にはエアコンのリモコンなどが入っていました。

 

DIYで実現した、使いやすいパントリー

▲当初、変形だった入り口を出入りしやすくカットしたところ、切りすぎてしまいリビングから丸見えに。収納棚はリビングからの目隠しにも。

食品庫としてあるとうれしいパントリーも、リノベーションでつくりました。入り口を試行錯誤した結果、作ってもらった棚と、それに合わせてDIYでつけた棚には、封が空いている日常使いの調味料やジャム、お茶などを置いています。

棚板の奥行きは、ワンバイフォー材のサイズそのまま、たった8.9cmとかなり浅め。

柚木さん:
「このくらいの奥行きがあれば、たいていのものは入りますよ。壁面についているからか、地震のときも意外と揺れず、ものが落ちたこともないですね」

ストックや乾物などは奥の棚へ。奥行きがあるため、かごにしまってから収納し、取り出しやすくなっていました。

▲動線を考えて、シンクの近くに配置された食器棚。

動線や収納法、お気に入りの道具に、パントリーなど、工夫がつまったキッチンは、真似したい技もあふれていました。

続く最終話では、くつろぎスペースとなる第2リビングや寝室、コインランドリーのようなランドリースペースを拝見します。

 

【写真】MEGUMI

 

もくじ

 

柚木さとみ

料理家。大学卒業後、カフェの総括店長を務め、カフェのプロデュースやメニュー開発、大手料理教室の講師などを経験。現在は古民家をセルフリノベーションしたアトリエで料理教室「さときっちん」を主宰しながら、企業やメディア向けのレシピ提供のほか、を含んだ暮らし方の提案を行っている。https://yugisatomi.com


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