【好きなものに囲まれて】第3話:散らかさない工夫は、寝室とクローゼットにありました

ライター 大野麻里

お気に入りのものに囲まれた暮らしのヒントを探りに、インテリアショップIDÉE(イデー)で家具や雑貨のディスプレイを担当している小林夕里子(こばやしゆりこ)さんの自宅を訪ねています。

リビング&デスク編の第1話、キッチン編の第2話に続き、第3話では寝室とクローゼットを拝見。インテリアに興味をもったきっかけや、部屋をきれいに保つ工夫も教えてもらいました。
第1話から読む

 

壁とすきまを使った、飾るコツ

夫婦ふたり暮らし、1LDKの小林さんの自宅。ナチュラルで明るい雰囲気のリビングダイニングとは変わって、寝室は落ち着いたトーンで揃えています。

小林さん:
「この部屋にはあまり強い色を入れないようにして、全体的にくすんだ色や、やわらかめのトーンで。グリーン系を中心にまとめています」

ベッドの足元側に置かれたのは、横にして2段重ねたりんご箱。ここには古い雑誌などを収納しています。りんご箱の上に並べたのは、作家さんの作品やアンティークなど。

小林さん:
「取り出しくい場所ですが、どうしても捨てられない古い雑誌ばかりで、ほとんど取り出さないのでいいかなと。最近読んでいるものや、よく取り出す雑誌や本はここには置かず、ダイニングの収納棚にしまっています。

シーツと布団カバーは通年同じ白のリネンですが、上にかけるファブリックは年2回、意識的に変えています。その方が季節感があって楽しいですからね。とくに時季は決めていなくて、そろそろかなっていうタイミングで」

▲春夏のファブリック。秋冬(1枚目の写真)バージョンと見比べると、ファブリックで部屋全体の雰囲気も変わるのがよくわかる

小林さん:
「インテリアに興味があったのは幼少期から。小学生で初めて自分の部屋を与えてもらって、ああしたいなこうしたいな と想像して。赤いギンガムチェックのカーテンと、白地に赤が入ったベッドカバーにしてうれしかったことを覚えています。

もう少し大きくなると、雑誌を参考に模様替えをしたり、壁を塗ってみたり。当時、雑誌『an・an』でインテリアスタイリストの岩立道子さんの特集や、雑誌に『F.O.B COOP』の益永みつ枝さんが出ているのをワクワクしながら読んでいました」

小林さん:
「一人暮らしを始めた頃は、全体を赤茶っぽい色のデンマーク家具で揃えていたのですが、次第にそれだけでは物足りなくなってきて。北欧のもの以外にも加えるようになって、ここ数年はいろいろ混ざったミックステイストが好きですね。

このベッドサイドに置いているのチェストはその名残り。目黒通りのkarf(カーフ)で買ったもので、一人暮らしをしたときに初めて買った思い出の家具です」

 

クローゼットはあえて扉をつけない

寝室の横に設けたのは、縦長のウォークインクローゼット。扉はあえてつけず、出入りしやすくしています。

小林さん:
「入り口を布でカバーしようかなとも思ったのですが、オープンにしておいた方が自分がきれいに使うだろうなと思ってそのままに。寝室のドアの角度で、廊下からは見えないようになっています。

アウターはハンガー、インナーは引き出しに。下のキャスター付きの箱にはかばん類。防災グッズや、掃除機、アイロンなどもここにまとめています」

小林さん:
「洋服が好きなので、少しでも着なくなったらフリマアプリで売って循環させています。時間のないときは買い取り査定サービスなどを利用して、衣類の量が一定を超えないようにしていますね」

小林さん:
「乾いた洗濯物は、椅子の上のカゴに。夫婦でそれぞれ衣類のしまい方にこだわりがあるので、とりあえずここに置くのがルールです。それを、お互いに自分の分をクローゼットにしまっています」

 

リモートワークで散らかさないための工夫は?

▲右端のクマが置かれた袋には…

ここ数年、リモートワークが増え、おうち時間が増えたと話す小林さん。

ノートパソコンや仕事の資料、PC関連のグッズなど、家に持ち込むものも増えました。けれども生活感がないのは、それらのアイテムは寝室に片づけることを日課にしているからなのだとか。

▲リビングの一角にある書斎スペース

小林さん:
「じつは私の勤め先は、帰宅時には机の上をまっさらにして帰らないといけない規則があるんです。そのおかげで、仕事が終わったら一旦全部をロッカーにしまうという習慣が身につきました。

自宅にはロッカーがないので、仕事が終わったらまとめてガバッと入る口の大きなバッグにしまいます。それを寝室に置いているんです。もともと、帰宅したらカバンを寝室に置くようにしていたので、その流れですね」

家具の配置の仕方や、部屋の飾り方はもちろんですが、見えない部分ではものの量を管理して、散らからない動線をつくっているのが印象的でした。限られたスペースを最大限に生かす工夫が詰まっています。

最終話の4話では、インテリアの達人である小林さんに教えてもらう、壁や棚を素敵に見せるディスプレイのレッスンをお届けします。

【写真】木村文平

 

もくじ

 

小林夕里子

こばやし・ゆりこ/大学卒業後、就職したのちインテリアコーディネーターの資格を取得。2007年に株式会社イデーに入社。ショップ副店長を経て、VMD(ビジュアルマーチャンダイザー)担当に。全国の店舗ディスプレイ監修や、ウェブやカタログのスタイリング、VMD講師も務める。個人名義の著書に『暮らしを愉しむお片づけ』(すばる舎)がある。
Instagram:@yuricook


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