【好きなものに囲まれて】第4話:壁や棚はどう飾ればいい?ちょっとしたコツを知ってディスプレイ上手に
ライター 大野麻里
お気に入りのものに囲まれた暮らしのヒントを探りに、インテリアショップIDÉE(イデー)で家具や雑貨のディスプレイを担当している小林夕里子(こばやしゆりこ)さんの自宅を訪ねています。
最終話の4話では、壁や棚の上を素敵に見せるディスプレイのコツを紹介。センスのままに無造作に置かれているように見える小林さんの自宅の壁や棚には、じつは私たちにも真似できるテクニックが隠れているそう。
「ちょっとしたディスプレイのセオリーを知っておくと、バランスよく配置することができると思います」と小林さん。
聞けば「なるほど!」な、飾り方のポイントを教えてもらいました。
第1話から読む
01.
壁を飾るときは
「十字ライン」を意識して
壁にフォトフレームやアートを飾るときは、十字の線を意識して配置するとまとまりがよくなります。
小林さんの自宅の場合、壁の主役にしたいのは井上陽子さんのコラージュの作品(写真右下)。そのななめ左上に大きなサイ・トゥオンブリーのポスターを配置しています。
このとき、フレームの質感やテイストが異なるものだとちぐはぐな印象に。使う色の数を抑えることで、統一感が生まれるそう。壁にマスキングテープ を十字に貼って、イメージしてみるのもいいでしょう。
小林さん:
「個人的には、何かをひとつ飾るよりも、複数をミックスして飾る方がバランスがとりやすいと思います。1個をポツンと飾ると、妙にこじんまりして寂しく見えてしまうことも。ベストな位置に飾らないと、高すぎ・低すぎも目立ちやすいです。
まずは大きなポスターやフレームを買ってみるのも手。それだけで、お部屋の印象がだいぶ変わります」
02.
サイズ違いのものは
「左から右へ」大きく並べる
オブジェや花器など、こじんまりしていてサイズがバラバラのものは、左から右に向かって大きくなるように並べましょう。
小林さんの自宅にある棚も、一見、無造作に置かれているように見えますが、じつはディスプレイのセオリーが隠されているそう。
小林さん:
「一般的に人間の目の動きは左から右に動く習性があるので、左から右にものが大きくなる配置だと心理的に落ち着いて感じると言われています。
わが家のこのコーナーは、白くてざらっとした質感のものをまとめてみました。ここにつるつるした質感のオブジェや、強い色のものが入ると浮いてしまいますよね。並べるときは、質感や色も意識してみてください」
03.
中央を高くして
三角形を意識する
効果的に見せる並べ方で、代表的なのが「三角形」のシルエット。
正面から見たときに、中央に背の高いものを置いて、両サイドに背の低いものを置くディスプレイのテクニックです。難しく考えなくてもバランスがとりやすく、失敗が少ないので、挑戦しやすいのも◎。最初は3つなど少ない数で組み合わせてみましょう。
小林さん:
「お花を生けていることでわかりにくいかもしれませんが、この棚の上にゆるやかな三角形をつくっています。
三角形の中が、ゆるく3つのグループになっているのがわかるでしょうか(左:花器が2つ/中央:本の上/右:花柄のピッチャーと手前の石)。真ん中のグループが一番背が高くなるように、下に本を2冊重ねて、高さを出しています」
「生活必需品じゃないもの」がある豊かさ
全4話でお届けした、小林さんの「好きなものに囲まれた暮らし」。
小林さんとお話をしていると、家具や雑貨が本当に好きで、部屋づくりをめいっぱい楽しんでいるのが伝わってきました。
小林さん:
「ある程度の年齢になると、必要なものは揃っているんですよね。年齢を重ねてきたいまでこそ、“生活必需品じゃないもの” を楽しむ余裕ができているのかもしれません」
小林さん:
「暮らしのなかに “生活必需品じゃないもの” がある豊かさって、言葉ではうまく表現できないのですが、すごくいいものだと思います。『眼福』なんて言ったりしますけど、見てるだけで幸せな気持ちになるというか。
そういう暮らしをしたいなと思って家を買ったわけですし、毎日、家にいるだけで楽しいと思って過ごしています」
私自身、最近はものを減らすことに意識が向いていて、部屋に楽しみを増やす気持ちを忘れていたような気がします。だからこそ、 “生活必需品じゃないもの” をたくさん所有して、好きなものに囲まれて暮らす小林さんの部屋がとても魅力的に見えました。
新生活を始める方も多いこの時季。ぜひ部屋づくりのヒントにしてみてください。
(おわり)
【写真】木村文平
もくじ
小林夕里子
こばやし・ゆりこ/大学卒業後、就職したのちインテリアコーディネーターの資格を取得。2007年に株式会社イデーに入社。ショップ副店長を経て、VMD(ビジュアルマーチャンダイザー)担当に。全国の店舗ディスプレイ監修や、ウェブやカタログのスタイリング、VMD講師も務める。個人名義の著書に『暮らしを愉しむお片づけ』(すばる舎)がある。
Instagram:@yuricook
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