【週末は美術館へ】甲斐みのりさんと、わたしの「好き」を見つけに出かけました
ライター 藤沢あかり
五感に触れるすべてが新鮮に感じる旅。その充実感と余韻が、日常の景色すら変えてくれたという経験はありませんか?
旅のように特別な気分をもっと気軽に、そして身近に味わえる場所があります。長い休暇も、大きなトランクもいりません。必要なのは、少しの時間と一枚のチケットだけ。
今回、わたしたちが足を運んだのは、東京・丸の内にある三菱一号館美術館。ご一緒したのは、文筆家の甲斐みのりさんです。
甲斐さんいわく、美術館は「ときめきの宝庫」。美術館というとアートに触れる場所ですが、甲斐さんの楽しみ方はそれに留まることなく、もっと軽やかで自由です。
旅のような充足感に包まれながら、日常のしあわせなページを増やす。そんな甲斐さんの楽しみ方をご紹介します。
(この記事は、「三菱一号館美術館」の提供でお届けする広告コンテンツです)
美術館は、自分の「すき」に出会える場所です
全国のかわいいお菓子や地元パン、さらにはクラシカルな名建築など、きゅんとときめく「かわいい」を見つけ、発信している甲斐さん。美術館を楽しむことも、日常の「かわいい」や「すき」を楽しむ延長線上にあるのだといいます。
甲斐さん:
「美術館は建築物としての魅力もいっぱい。建築といっても難しく考えるのではなく、手すりのモチーフや照明のデザインが素敵だとか、床のタイルの柄がかわいいとか、インテリアや雑貨と同じように楽しめます」
三菱一号館美術館は、1894年に建てられた姿を可能な限り忠実に復元した、クラシカルで趣きたっぷりの建築です。東京駅の丸の内南口から徒歩5分。丸の内のビルを背景にたたずむ赤レンガの外観が、非日常な気分を誘います。
甲斐さん:
「『すき』って、ときめいて気持ちが揺れ動く、すごくしあわせな衝動です。じゃあどうやって『すき』を見つけるのかというと、まずはたくさんのものに出会うこと。新しいものに触れることです。
美術館は作品だけでなく、建物の魅力や歴史、グッズや食べ物、その道すがらに目にするものまで、出かけるだけでたくさんの刺激にあふれた一日を過ごせます。『すき』を見つけるのにぴったりの場所です」
色とりどりで自由なファンタジーの世界へ
この日の赤いワンピースは、展示の世界観に合わせ、クラシカルなイメージで選んだそう。朝、袖を通した瞬間から特別な一日になるような、甲斐さんのアイデアです。
三菱一号館美術館では、現在「上野リチ:ウィーンからきたデザイン・ファンタジー」展が開催中(〜2022年5月15日まで)。学芸員の阿佐美淑子(あさみよしこ)さんと一緒にまわりながら、その魅力をお聞きしました。
阿佐美さん:
「リチの名で親しまれたフェリーツェ・リックスは、ウィーン生まれのデザイナーです。建築家の上野伊三郎と結婚し、1926年に来日してからは京都とウィーンを行き来しながらデザイン活動を続けていました。
テキスタイルだけでなく、七宝焼や織物のような日本の工芸を取り入れた作品や、食器やマッチ箱カバーといった日用品まで、幅広いジャンルでデザインを手がけてきましたが、実はその名はほとんど知られていません。今回は約370件にのぼる作品からリチの全貌をたどる、初めての大規模回顧展です」
▲教育熱心な実業家の家庭で育ち、当時の女性としては珍しい正規の美術教育を受けていたリチ。「ハンドライティングの美しさからも、教養の高さがうかがえます」と阿佐美さん。
甲斐さん:
「いま見ても魅力的なデザインばかりで、初めて知る世界に驚きと興奮でいっぱいです。もっと知りたい、もっと見たいと、ときめきが止まりません!
テキスタイルも雑貨もデザインした人というと、日本では竹久夢二が思い浮かびますが、それとはまた違った作風。モチーフも花や果物、お菓子、生き物など、見ているだけできゅんきゅんするものがいっぱいです」
▲展示は5章にわかれ、説明パネルや順路案内、さらにはこんな壁面の一角まで、あらゆるところにリチのデザインを添えた、遊び心ある構成も見どころ。
リチの世界とわたしの暮らしを重ねて想像しながら
甲斐さん:
「カラフルなものから、ちょっとシックなものまで、ただかわいいだけでなくタッチもいろいろで見ごたえがありますね。鉛筆の跡やサインの筆致、絵の具の濃淡など、印刷では見られないような風合いをそのまま味わえるのは原画ならではの楽しみです。
大胆なデザインも好きですが、ちょこちょこと書き込まれた細かい部分をじっくり見られるのもわくわくしました」
▲壁紙作品「そらまめ」(1928年)。リチの作品が現代も魅力的に映るのは、時代や流行に迎合せず、芯の通ったオリジナリティを貫いたからこそ」と阿佐美さん。
▲1930年代に作られたかごやカトラリーなどの竹細工に、甲斐さんも思わず「これほしい!」
甲斐さん:
「こけしや竹かごまで! このかごも、いまもお店に並んでいたらと思うほど。夢に描いたようなピクニックができそうです。ハンカチやアクセサリーケースなど、わたしだったらどれを選ぶかな、こんなシーンに使いたいなと想像を巡らせるのも楽しいです」
▲七宝焼のマッチ箱カバー(1950年頃)。アイテムそのものにも当時の文化がうかがえます。
阿佐美さん:
「リチのデザインのクロスを広げて、かごをのせて……なんて想像したくなりますよね。
たとえばグラスやハンカチなど、世の中にかわいいデザインはたくさんあっても、そのデザイナーの名前がわかるようなものは現代でもごく一部。リチのアイテムも、デザイン画は残っていても現物は見つからないものが多いんです。
それだけ生活に根ざしたデザインだったということなのでしょうか。展示を見に来た方が『これ、おばあちゃんの家にあった!』というものがあるかもしれません」
▲日生劇場にあったレストラン「アクトレス」を飾っていた壁画の前で。
甲斐さん:
「上野リチってどんな女性で、どんなふうに日本と交流していたのだろうと、どんどん知りたいことが膨らんできました。ウィーンで上野伊三郎と出会い、その2年後には日本に来ているのですから、どんなに好奇心旺盛な女性だったのでしょう。
こうして『かわいい』というときめきを入り口に、深掘りしていく楽しみが増え、自分の『すき』の世界が広がっていくのがうれしいです。
作品数も多いので、1度目はまっさらな気持ちで、2度目は図録を読み込んでまた違った視点で、といろいろな楽しみ方ができますね」
阿佐美さん:
「平日の夕方から夜にかけては、作品を独り占めするような気持ちでゆっくり見ていただきやすいです。会期後半の4月13日からは作品の一部が入れ替わっていますから、ぜひまたいらしてくださいね」
ときめきを暮らしのなかへ持ち帰る、オリジナルグッズ
▲甲斐さんが選んだグッズ。左から時計回りに、包装紙セット(3種入り)、缶バッジ、オリジナルボックスに入ったキャンディ2種。このほかマスキングテープや一筆箋、がま口など100点を超えるラインナップが ※。
美術館に行くと、オリジナルグッズも楽しみのひとつ
甲斐さん:
「お菓子の箱や缶が大好きなので、美術館に行くと必ず買います。期間限定のものも多いので、少し先のギフトとして買っておくことも。包装紙は、ブックカバーにしたいです。
ポストカードは送るだけでなく、保管用にも必ず求めます。部屋に飾るだけでなく、図録に挟んでおくと、ふと見返したときに『あ、このデザインを選んだんだな』って、ときめいた自分にもう一度出会えるようで、それも小さな楽しみです」
※ 色・柄違いを含む。アイテムによっては品切れの場合があります。
展示の世界が続く、おいしい寄り道
▲「宝石箱を開けたような気分ですね。陶器の小箱が添えられているのもたまらないですし、キャラメルの包みの模様までリチの作品と同じ!」
甲斐さんが三菱一号館美術館に来ると、必ずセットで楽しみにしている場所があります。それが併設のカフェ「Café1894」。
会期中は上野リチ展とのタイアップメニューも楽しめるということで、今回はデザートプレートを選びました。テーブルに運ばれた瞬間、甲斐さんからはため息と歓声が。
▲1894年に建てられた三菱一号館の銀行営業室として使われていた空間を復元したという店内は、古い洋館に招かれたような高揚感が。
カフェの建築も、ここを訪れる理由です。甲斐さんのお気に入りは、店内全体を見渡せる窓際の席だそう。
甲斐さん:
「高い天井や柱の細工、床の質感など、すみずみまで圧倒されるようなすばらしさ。
買ったばかりのポストカードで、この展示を気に入りそうな友人に宛てて手紙を書くのも楽しみのひとつです。作品を見た直後の興奮や空気がそのまま伝わるようで、その後『わたしも見てきたよ』と言ってもらえるとうれしいです」
「すき」を集めるたびに、楽しい明日が増えていく
▲オリジナルグッズには、定型のほかダイカットタイプのポストカードも。
甲斐さん:
「すばらしい作品をたっぷり見て、すてきな空間で余韻に包まれながらお茶を楽しんで。いい体験をした、という充実感でいっぱいです」
甲斐さんの「すき」を見つけるちから。特別な才能のように思っていましたが、トレーニング次第で誰でも身につけられるのだと教えてくれました。
甲斐さん:
「加点方式で世の中を見ると、どんどんすきなものに気づける『ときめき体質』になれると思います。身近なものの、いいところを拾い上げながら、どんどん集めてみてください。
そうやって繰り返していくうちに、どんな環境のなかでも、いいところや自分の好きな部分をパッと見つけられるようになりました。そのほうが断然楽しいし、人生もお得に過ごせます!」
甲斐さん:
「日常は楽しいことばかりではないかもしれません。でも、すきなものに触れている一瞬が、苦しい時間を越えさせてくれることもありますよね。
美術館は、ときめく気持ちを見つけに行くのにぴったりの場所。美術館に行って落ち込むことって滅多にないですから」
知らなかった「すき」に出会うことは、自分の未来をもっと楽しく、色鮮やかに彩っていくということ。そんな視点で美術館を歩いたら、わたしはどんなときめきに出会えるんだろう? 新しい「すき」の予感に、次の休日が待ち遠しいわたしがいます。
「上野リチ:ウィーンからきたデザイン・ファンタジー」展
・三菱一号館美術館(東京・丸の内)
・会期:2022年2⽉18⽇(⾦) ~ 5⽉15⽇(⽇)
※月曜日と展⽰替えの4月12日(火)は休館(ただし、4月25日、5月2日、5月9日の月曜日は開館)
・開館時間:10:00〜18:00
※⼊館は閉館の30分前まで(祝⽇を除く⾦曜と会期最終週平⽇、第2⽔曜⽇は21:00まで)
▼オリジナルグッズや詳しいアクセス方法など、「上野リチ展」の詳細はこちら
【写真】鍵岡龍門
甲斐みのり(かい みのり)
文筆家。旅、散歩、手みやげ、クラシック建築、暮らしや雑貨などを主な題材に、書籍や雑誌に執筆。著書は、『歩いて、食べる 京都のおいしい名建築散歩』(エクスナレッジ)、『くらすたのしみ』『たべるたのしみ』(ともにミルブックス)など40冊以上。
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