【雨あがりの日まで】後編:梅雨のむくみや不調をふせぐセルフケア術

編集スタッフ 寿山

しとしとと雨が降りつづける6月は、心も体もなんだか重たく感じる瞬間がありますよね。湿気は下にたまりやすく、足元がむくんで冷えるということもよくある季節。

そこで今回は、アーユルヴェーダのセラピスト・ヨーガ講師として活躍する林亜希(はやし あき)さんに、全2話で梅雨を心地よくのりきるアイデアを教わっています。

1話目では、心も体も元気になる「自分じかん」の過ごし方を。つづく2話では、梅雨どきにおすすめのセルフケア術をお届けします。
前編:心も体も健やかにする
「自分じかん」の過ごし方

 

梅雨どき、健やかに暮らすポイントとは

アーユルヴェーダでは、人の体質を「ドーシャ」と呼ばれる体のエネルギーのバランスでみきわめるそう。

ドーシャは「ヴァータ(風)」「ピッタ(火)」「カパ(水)」と3つのタイプに分けられ、どの要素が多いかによってその人の体質も違ってくるといいます。

さらに季節によって強くなるエネルギーがあり、梅雨はとくに「カパ(水)」が増えやすい季節なのだとか。どのドーシャも増えすぎると不調につながるため、食生活や生活習慣で調整することが大切と林さん。

そこで今回は、梅雨に増えがちな「カパ(水)」を減らすセルフケア術を教わります。

 



林さん:
「長雨の湿度は下にたまりやすいため、足元がむくんだり冷えたりすることも。そんなときおすすめなのが、朝のうちに、下から上へと毛並みに逆らうように手足をマッサージすること。

慌ただしい朝もありますから、1分間でもいいんです。シャッシャッと刺激を与えることで、足のむくみがやわらいで、気持ちも軽やかになりますよ。

絹の手袋やボディタオルでマッサージするのがおすすめですが、なければ素手でやってもOKです」

 

林さん:
「湿度があると頭もぼんやりしがちですが、ペパーミントの香りが思考をクリアに。フレッシュハーブにお湯を注いで、蒸気をスーッと吸い込むと、すっきりします。

さらに鼻や喉などの粘着をやわらげ空気も通りやすくなるので気持ちがいいですよ」

 

林さん:
「梅雨どきは足元に重さがたまるので、朝のうちにお散歩するのもおすすめです。

アクティブに足を動かして下から上へとエネルギーの流れを促すことで、足の重さを減らすイメージです。

1分間マッサージと同じ考え方で、むくみや重だるさを取り除きたい時は、下から上へと流れを促すことがポイント。代謝をあげて、エネルギーの滞りを軽減します

 

もう1つ、鍵となるのは「消化力」

ここまでご紹介してきた「カパ(水)」を減らすセルフケアに加えて、梅雨シーズンの養生の鍵となるのが「消化力」だといいます。

林さん:
「6月は誰しも消化力が弱くなりがちなので、胃腸の働きを高める習慣を取り入れることで、健やかに梅雨を乗り切ることができますよ。

まずは家で簡単にできるアイデアをご紹介します」

 

林さん:
「起き抜けに、白湯を1杯飲むだけでも消化力が高まります。白湯でなくても、お水でもいいんです。

アーユルヴェーダでは、寝ている間に、体内の未消化物が口腔内に上がってくるといわれています。なので、私は起きたらまず舌と歯を磨いて、1杯の白湯を飲むことを習慣にしています。それだけでも未消化物をためないので、胃腸のケアになっています

 

林さん:
消化力を高めるための代表的な処方は、スライスしたショウガに塩とレモン汁、クミンを振りかけたものを、食前に食べること。揚げ物などを食べる前にも、このショウガを食べておくと胃もたれしにくいですよ。

それから人肌ほどの温度の白湯に、ショウガの絞り汁大さじ1杯と同量のハチミツを加えたり、レモン汁やブラックペッパーを振ったりして飲むのもおすすめです

胃腸が弱っていると感じたら、食事の量を減らしたり、週に1回はスープやお粥、白湯だけで過ごすのもおすすめだそう。弱った消化力が自然と立ち直るといいます。

林さん:
アーユルヴェーダにはたくさんの養生法がありますが、やりたくないことは、やらなくてもいいというスタンスなんです。知識は与えてくれるけど『誰だって自分のタイミングがあるから、あなたのタイミングでやればいい』と、各自の知性が動き出すのを待ってくれる、包容力があるところも気に入っています。

自分の意志ではなく、外から無理に誘導されると、どうしても人って反発したくなったり、長続きしなかったりするところがあると思うんです。

でも、体の中から湧いてくる気持ちよさや体感に沿って素直に選ぶことができると、すごくスムーズでやりやすい。自由があるから主体的に続けられる。自分で続けたいと思うことを、選ばせるためにいろいろな知識があるので、気になったものを試してみてください

 

自分の体を知るためのアプローチとして

健やかに暮らすための知恵を授けてくれたり、決して強要はしない懐の深さがあったり、本当に母のような包容力をはしばしで感じるアーユルヴェーダ。

林さんのお話を伺いながら「自分で選びとれるっていいな、自由があるっていいな」と、惹かれた理由が少しわかった気がしました。

体のことは、自ら把握しないことにはどうにもならないなあと年々実感していることもあって。アーユルヴェーダは、自分の体を知るためにもいいアプローチになってくれそうだなと感じています。

 

【写真】鈴木静華

 

参考書籍『新版インドの生命科学 アーユルヴェーダ(農文協)』

 

もくじ

 

林亜希さん

東京にある「 atelier asha 211-Appartement Montparnasse 内 」(@asha_aki)と、軽井沢にある元修道院「アネモネ院」(@anemonein_karuizawa)の2拠点にて、アーユルヴェーダセラピー、ヨーガプライベートレッスン、セラピスト養成講座などを開催している。https://atelierasha211.com/

 

 

 


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