【インテリアを、もっと楽しく】 第2話:上手に隠すのも大事? 見た目よく、使いやすいキッチン作り
ライター 本城さつき
整理収納アドバイザーでインテリアスタイリストの村上直子さんのご自宅を訪ね、心地いいインテリアのヒントをうかがっています。
12年前に購入しリノベーションした築26年の二階建て一軒家に、夫婦と20歳、16歳の息子たちの4人家族で暮らしています。第2話は、キッチンについて。すっきりした見た目と使いやすさを両立させるコツをお聞きします。
見せる収納、見せない収納
▲キッチンの眺め。植物柄の壁紙も素敵。
村上さん宅のキッチンは、リビングダイニングとひと続きになっているLDKタイプ。ドアがなく広々としている反面、1階のどこからでも視界に入ってしまうため、いつもすっきり整えておくことが欠かせません。そのために実践しているのが、見せる収納と見せない収納を分けることです。
村上さん:
「よく使うキッチンツールは、必要なときにサッと手に取りたいので見せる収納に。そのため、出しておいても気にならないルックスのものを選びます。キッチン家電も同様で、機能もデザインも納得いくものをできるだけ探すようにしています」
たとえば、フライパンはコンロ前の壁にS字フックで吊り下げ、朝ごはんによく使うスキレットはコンロ横の窓辺に。料理の作業動線を考えた実用的な収納であると同時に、ひとつひとつのアイテムがきちんと選ばれていることで、インテリアのアクセント的な役割も果たしています。
▲スキレットとホットサンドメーカーは窓辺に。
形や素材が同じもの、似たものを集めてゆるやかなまとまりをつくることも、見せる収納を成功させるコツ。
家族の人数分を重ねたスキレットや、カップハンガーに掛けたマグカップ、棚の上に積んだトレイなど、あちこちにさりげなくつくられたまとまりが、気持ちのいい空間を生み出します。
村上さん:
「好きなモノは見ているだけで気分が上がるので、キッチンで過ごす時間が楽しくなる。そんなところも、見せる収納のいい点です」
▲見せたくないものはこの壁沿いに。水切りかごは掛けて収納。
その一方で、見せたくないものはとにかく隠します。
村上さん:
「キッチンとダイニングの間に奥行き浅めの壁があるので、炊飯器や掃除用のスプレー、水切りかごなどはすべてこの場所に。ダイニング方向からの死角をフルに活用しています」
さらに、取材スタッフが感嘆したのが家電の背面隠し。せっかくルックスのいい家電を選んでも、背面が見えたとたん生活感が出てしまうからと、さりげなく花びんを置いてコードなどが見えないようにカモフラージュしています。
見せて、隠して。このメリハリをつけるだけでも、キッチンはすっきり整い、そして使いやすくなるのですね。
「◯◯専用」にこだわらず、柔軟に
ところで村上さんのキッチンには、キッチン用の収納用品がほぼ見当たりません。
村上さん:
「◯◯用、と用途が決まっているものはあまり使いません。
カトラリーを立てた容器や、常温で保存できる野菜(取材時は玉ねぎとじゃがいも)を入れたかごはガーデングッズですし、トングやフライ返しなどのキッチンツールはジャグにまとめています」
用途を決めない発想は、キッチンに限らず家じゅうに見られる村上さんルール。野菜を入れたかごを乗せたスツールも、息子さんが小さいころに使っていたものだそう。
村上さん:
「子ども部屋ではもう小さくて使えない、となったモノも、発想を柔らかくすればほかの場所でまだまだ使える。
逆に、欠けてしまってコーヒーを飲むのにはもう使えないマグカップを、危なくないように処理をしてから子ども部屋の机のペン立てにしたり。
使い方を考えるだけでなく、何かを買うときも“モノの循環”を意識して、居場所が固定されすぎないモノを選ぶようにしています」
そうして「これはここに使ってみよう」と考えたことがピタッとはまったときのわくわく感ときたら! これこそ、自分らしいインテリアづくりの醍醐味です。
「ふとした思いつき」を逃さない
▲ゴミ箱の下に平かごを敷くだけで移動がラク。
すっきりと整って使いやすいキッチンのヒントは、ほかにもありました。
存在感が気になりがちなゴミ箱は、隠す収納でフル活用しているダイニングとの間の壁際にそっと配置。レトロな雰囲気のふたつきバケツを選び、「いかにもゴミ箱」なルックスを回避しています。そして、その下に敷いた平たいかごも、じつは小さなひと工夫。
村上さん:
「何となく思いついて敷いてみたのですが、掃除のときにサッと動かしやすいし、キャスターのようにゴロゴロと音も立たない。思った以上に使いやすくて大ヒットでした」
窓に貼ったシートも、ふとした思いつきから。
村上さん:
「シンクの前にある窓が、お隣の家の勝手口に面していて。何か目隠しが欲しいなと思ったのですが、コンロからも近い位置なのでカフェカーテンは油汚れがつきそう。そこで、ガラスに貼るシートはどうだろうと思って試してみました。
水だけで貼れるので手軽ですし、汚れたら取りはずして水洗いできるので、カーテンよりお手入れも楽ちん。実際に貼ってみたらチェッカーガラスのようになって、予想以上のすてきな仕上がりに大満足でした」
こうした数々のアイディアは、もちろん、村上さんのスタイリストや整理収納アドバイザーとしての知識があってこそというものも多いですが、参考にしたいのは、その軽やかさ。
「これはどうかな」と思いついたら、気負わずに頭と手を動かすことで、思った以上の楽しい変化が生まれています。家電の背面を隠すことも、ゴミ箱の下に平かごを敷くことも、今日から真似できそう!
次回は、第3回。家の内外をつなぐスペース、玄関を素敵に使いやすく整える方法をお聞きします。どうぞお楽しみに。
【写真】千葉 充
もくじ
村上直子
整理収納アドバイザー、インテリアスタイリスト。アフタヌーンティーリビング事業部でディスプレイを担当後、独立。現在はフリーランスで活動中。カタログスタイリングや装飾美術も手がける。20歳と16歳の2人の息子をもつ母でもある。Instagram:@kikiuchireset
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