【連載】あの人の暮らしにある「北欧」のこと。no.10:風通しのいい家
2年前、池田さんがこの家に越してきた理由のひとつが、二方に開いた窓でした。
外と中の境界線を曖昧にし、つながり合う。住まいには、そんなふうに感じられることを大切にしてきました。
カーテンはつけていません。ブラインドもほとんどいつも開けっぱなしです。
大きな窓からの風と光が存分に行き渡るよう、より開放感が生まれるように、家具は高さを抑え、壁の余白を大切に。リノベーションでは、個室の壁や扉は取り払い、ひと続きの空間を広くとりました。
北欧にも、外の景色を室内に取り込む文化があると知ったのは、デンマークに暮らす友人を訪ねるようになってからです。
与えられた自然を生かして暮らすこと。ちいさな工夫で日々を楽しむこと。北欧の文化には、自分たちの大切にしてきた価値観と通じるエッセンスがたくさんありました。
南の窓辺には、外の景色に向けてラウンジチェアを置きました。この家の風通しの良さを堪能できる特等席。これもまた北欧からやってきた、ブルーノ・マットソンのミナチェアです。
ここで食後のコーヒーを飲んだり、夜にはウイスキーをちびりちびりとやることも。家族それぞれに、好きな過ごし方があります。
ゆったりとからだを預けるように座っていると、大きな窓からは光がたっぷりと入り、部屋のすみずみにまんべんなく満ちていくのがわかります。
やがて西の窓から差し込むオレンジの光が部屋を染め、国道を走る車のランプが連なり流れていきます。
風向き、光の色や角度、影の落とし方。時間や季節の移ろいを感じられるのもまた、大きな窓のあるよろこびです。
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Text : Akari Fujisawa
Photo: Ayumi Yamamoto

池田 宏実(いけだ ひろみ)
料理人。川崎市中央卸売市場北部市場内にある〈調理室池田〉を営む。2018年にオープンした店は、夫である講平さんが全体のディレクションと2階ギャラリーのアンティークの買い付けを、宏実さんが1階カフェを受け持つ。
Instagram:
@ikeprox
HP:
https://chourishitsu.tumblr.com/
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