【模索するふたり】後編:多分ずっと、「慣れる」ことはないのだと思います(田中 × 澁谷)

ライター 長谷川賢人

ふだんはせわしなく、仕事と向き合うクラシコムのスタッフたち。ゆっくり、じっくりと、お互いのこれまでを振り返って話す時間は……実はそれほど多くありません。

でも、あらためて話してみると、人となりがもっとわかったり、新鮮な発見が得られたりするもの。そこで、スタッフ同士でインタビュー(というより、おしゃべり?)してみる機会を持ってみることにしました。

今回は、当店で販売する商品に関するページを作る「ストア編集グループ」の田中と、当店の公式YouTubeで公開している動画などを制作している「コンテンツ開発グループ」の澁谷が登場。

実はふたりとも、それぞれのチームを立ち上げていく「初期メンバー」としての共通点があります。さらに仕事のことも、自分自身のことも、どこか探しながら考え続けているそう。

そんな“模索するふたり”ですが、クラシコムで働いていくなかで、あらためて自身に「変わったこと、変わらないこと」もあるのでしょうか?

後編は田中が主に聞き手となって、澁谷に色々と質問してみました。

 

「好きでいたい方向や考え方」が似ている人が多いなって

田中:
澁谷さんのことは入社した時から見てきたから、なんだか今日は「親戚のおばちゃん」みたいな気分(笑)。入社の経緯も、ちょっと違ってましたよね?

澁谷:
そうなんです。大学を出て、新卒で入った映画関係の会社で、初めて担当したのが当店オリジナルのドキュメンタリー番組「うんともすんとも日和」でした。それをきっかけに、クラシコムのメンバーとして働いてみたい、と感じるようになりました。

田中:
コンテンツ開発グループも出来立てで、メンバーが増えていくタイミング。私も「編集チーム」としては2人目の社員だったから、形も何もない頃に仕事をしていかないといけない大変さや不安みたいなものも、あったんじゃないかなって。

澁谷:
そうですね。でも、入社してみたら「話せそう」と思える人が周囲にいて、安心したのを覚えています。どこか「自分と近いもの」を持っていそうな人たちが、クラシコムにはたくさんいるなぁ、と。

田中:
「自分と近いもの」って、たとえば、どういうことですか?

澁谷:
暮らしのことをはじめ、自分も興味を持っていることが共通している感覚ですね。私自身はそれほど詳しいわけではないですが、雑貨のように好きになれるものがいっぱいがある。もともと、当店のお客様であるスタッフが多いこともあってか、自分の「好き」を大事にしてきているところも、「この人たちをもっと知りたい!」と思わせてくれるのかもしれません。

田中:
でも、結構、キャラクターみたいなものはそれぞれ違ったりしません?

澁谷:
あっ!わかります。前職や経験も、みなさん違いますし。

田中:
「クラシコムには似た感じの人が集まっている」と思われがちでも、実は中に入ってみると全然違う人ばかり、というのが面白いところなんですよね。

澁谷:
そうそう。好きなものが近いというより……「好きでいたい方向や考え方」が似ている、というほうがしっくりきます。仕事は淡々と進めているところはあるけれど、根っこには日々のさまざまに流されないようにしたい、という「揺るぎなさ」もあって。

たぶん、それが保たれているからこそ、クラシコムの空気があるんだと思うんです。そういう環境は、私にとっても居やすいところでした。

 

誰かの「何か」を解決するような映像表現もいいな

田中:
澁谷さんは、もともとお客さまだったんですか?

澁谷:
私は買い物をしたことはなくて、実は後から知ったんですが、母がお客さんだったんです。どうやら実家には「北欧、暮らしの道具店」で買ったものがいっぱいあったらしくて。転職が決まって報告したら喜んでいて、「私が行きたいくらいよ!」って(笑)。

田中:
すてき! 暮らしのなかで、お店のものや空気にも自然と触れていたんでしょうね。

前職は映画関係の仕事でしたけど、もともと何を志望していたんですか?

澁谷:
映像はずっとやりたいと思っていて、音楽バンドのミュージックビデオを見るのが好きでした。高校生で買ってもらったスマートフォンがiPhoneで、写真や動画を手軽に編集できるアプリもあって、自分の身近なことを編集して動画にまとめるのが好きだったんです。

映像をもっと勉強するために、美術大学へ進みました。本当に学びたかったのは芸術表現としての映像で、主には映画に関すること。でも、受験で落ちてしまって、同じ美大の違う学科に入ったんです。そこはCMなどの広告映像を主に扱うところでした。

田中:
本当は行きたい学科が他にあったのは、私も一緒ですね。意外な共通点!(笑)

澁谷:
ただ、学ぶうちに何かしらの目的を持って、人へわかりやすく伝えることの面白さを感じられるようになっていきました。それを仕事することを考えたときにも、体の内側から湧き出てくるような作品というよりは、誰かの「何か」を解決するような映像表現もいいな、と。

 

この会社にいると、「慣れる」ことはずっとないのかも?

田中:
クラシコムに入ってみて、どうですか? 人物ドキュメンタリーの動画を担当することが多いから、自分も影響を受けたりするものですか。

澁谷:
あっという間で、もう4年目です。クラシコムで仕事をして思うのは、この会社にいる限りは何かに「慣れる」ということは、きっとずっとないんだろうなって(笑)。もう毎回のように異なるテーマや内容に向き合いますし、取材させていただく方によっても作り方や撮り方が変わってきます。毎回、必ず何かしらで悩むことが起こりますし。

田中:
最近だと、どんなことで悩みました?

澁谷:
「型」があるようで、本当にないものだなぁ、としみじみしました。担当している「うんともすんとも日和」は、人には光と陰の部分があるとしたら、陰を聞くのがテーマです。人によって悩みの深さは違いますし、今と昔で考え方も変わってきます。お話いただけるエピソードは自分が経験してないことだったりもします。センシティブな内容もあります。

作る側としての届ける責任を常に考えてしまいますし、どこまで話していただけたら十分なのか、あるいはもっと深掘りするべきなのか……その場ごとに判断すべき出来事が毎回降ってきます。

 

わからないことに、わからないまま向き合う

田中:
自分の経験とはかけ離れたところにあるエピソードとは、どう向きあって決めるんですか?

澁谷:
それで言うと、わからないままで向き合うしかないと思っています。私の視点で聞けることも限られてきますし、コンテンツ開発グループのメンバーは20代後半から30代と年齢も近いので、みんな同じように、それぞれで悩んでいますね。

ただ、ある時に、一緒に作っているメンバーから「すべてをわからなくてもいいんだよ」と声をかけられて、それも一つの姿かな、と考えました。わからないことに、わからないまま向き合う。

この前もメンバーと「相手からもらった言葉が今、まさにピンと来ていなくても、後になって助けられることがあるよね」と話していて。それを信じるしかないと思っています。

あとは、事前取材でラフな気持ちでお話を聞くと、興味が惹かれるテーマが一つなりとも掴めてきます。それを持って取材当日に挑んでいく、という感じですね。

 

私たちは、決める練習をしているのかもしれないね

田中:
入社したときにコンテンツ開発グループができていって、マニュアルも何もない中で始まっていくことの難しさもありますよね。私も入社したとき、似たようなスタートだったから、共感できるところもあるんです。

澁谷:
客観的な目が少ない、というのも難しかったところかなって思います。メンバーの世代が近いこともあって、共感できすぎちゃうことが多いから、自分の違和感はしっかり話さないと意見が広がらないんです。最近は、チーム内でも「作る側」ではなく、「見た側」として意識的に伝えたいと考えていて。自分もそれで助かったから、お返しをしたいんですね。

田中:
いいですね。そういうやり方も、自分たちで見つけていかないといけない。さっきの「慣れることがない」という話は、私も今でも感じています。

社歴が長くなって、一緒に働くスタッフやクラシコムという場には安心感があるけれど、仕事にはずっと慣れない感覚があって。でも、そこで「自分ひとりだけで考えなくてもいいんだよ」というのが、私の支えでもあるんです。ちょっと迷ったらすぐみんなに相談したり、自分よりずっとプロの方に頼ったり。そういないと、むしろ独りよがりになりそうで。

澁谷:
確かに、そうですね。

田中:
前に、スタイリング写真の選択で迷っているときに、あるスタッフに相談したら「私たちはいろんなことを決める練習をずっとしているんだな、と私は思っているよ。だから疲れるよね」って声をかけてくれて、すごく和んだんです。それで、お客さまの反応も見て、その「決める」の基準がちょっとずつ自分でも変わっていく。

澁谷:
わかります。決める練習、いい言葉ですね。クラシコムは「これをこの通りにやりなさい」みたいな依頼は全く来ないじゃないですか。それよりも、みんなで話している時間がすごく多いですよね。取材して帰ってきて、「どの言葉を選んで編集に使うか」を話す時も、誰も「これが良い」とは決めたりはしなくて。あくまで決めるのは自分で、それを続けている。

でも、私は写真みたいに、その場で一枚に決めきるよりも、たくさん取った映像から「選び取る」編集作業が好きなんです。時間はかかりますけど、そのほうが気が楽ですね。

田中:
面白いです。静止画と動画の違いでもあるし、クラシコムに感じる「得意と苦手」の話にも通じているようで。澁谷さんは、これからやってみたいことはありますか?

澁谷:
まだはっきりは、やっぱり言えないですけど……いつかミュージックビデオを撮る機会があったらいいですね。

田中:
いや、ぜんぜんありそう! 急に言われるかもしれない。

今日は、年代も全然違うのに、意外な共通点や悩んでいたことの近さもあって、びっくりしちゃいました。とはいえ、澁谷さんが知りたいであろう、自分の中の「散らばった何か」のつなげ方とかにアドバイスはできないまま、ですけど……(笑)。

澁谷:
でも、ずっとこのまま続けていくのもいいんだ、とも思えました。ありがとうございます。これからもお話しましょう。

 

(おわり)

【写真】土田凌
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