【台所でおつかれさま】第7話:リビングと地続きのキッチンに流れる、日々の時間(スタッフ高山)
編集スタッフ 糸井
台所ではどんな時間が流れているでしょうか。料理はもちろん、ラジオを聴いたりドラマを観たり、椅子を置いて仕事をする人もいるかもしれません。
そこには、無意識のうちに自分をケアする習慣が隠れていることも。台所に立つ自分をちょっと俯瞰して見ると、日々大事にしていることが見えてくる気がします。
この連載ではスタッフ宅にお邪魔し、そんな「台所」にまつわるエピソードをきいていきます。今回訪ねたのは、スタッフ高山宅です。
#07
スタッフ高山の台所
1SLDKに、夫と2人暮らしの高山。リノベーションをした家は、晴れているといっぱいの自然光が入ってきます。キッチンは、リビングダイニングと同じ空間にあり、団らんしながら台所の風景がすっぽり見えます。
高山:
「昨年フルリノベーションをしました。元々あった壁をほとんど壊し、間取りをイチから作り替えてもらって。キッチンは、壁付けにすることに決めていたんです。
私は片付けが得意ではないので、キッチンが家の少し奥まったところにあると、洗い物を溜めていてもリビングからは見えない分、後回しにしちゃうくせがあり……。今の間取りになってからは、ちょっと気軽に立てるようになった気がします」
高山:
「一番気に入っているのは、キッチンのタイルですかね。薄いグリーンで、キッチンで使われているのはあまり見ない色。とはいえ主張もしすぎなくていいね、と夫と即決。
水が飛んでもあまり気にならない色で、汚れも取りやすいので気に入っています。『toolbox』で見つけました」
シンクなどの作業スペースをできるだけ広く取りたかったからと、収納は台所奥のパントリーを活用。ここには炊飯器やかき氷機などのキッチン家電、ストック食材をひとまとめに収納していました。
飾り棚には、好きなものだけ
▲中央下にあるのは、ふきんを吊るすのに良いスペースが欲しいねと、DIYしたステンレスのバー。
反対に、好きなものを飾る場所にしているのが2段の飾り棚だそう。
高山:
「下段には、日々使うコップ。上段は、元々持っていた思い出のものを置き、その隙間に、新入りを追加しながら楽しんでいます。最近加わったのは、先日の台湾旅行で買って帰ったグラス。おいしそうな文字が入っていて、お気に入りです」
▲お気に入りのアイテムは、4年選手の黄色いミルクパンと、KINTOのガラスマグ。目に映ると柔らかな色合いは、キッチンも可愛げに。
高山:
「キッチンのすぐ横には窓があって、土曜日は夫と植物の水やりをする日。キッチンだけど、植物を育てる場所にもなりつつあります。
日当たりが良くなって、植物も育てやすくなりました」
身支度も、水やりも、料理も、この場所で
▲食器棚は『MOMO NATURAL』で購入。引き出しにはキッチン用品以外にも、植物の肥料や剪定バサミも入れている。
取材中気になったのは、姿見がシンクのすぐ隣りにあること。
高山:
「元々寝室用だった鏡が思うように収まらず、他に置けそうな所を探してみた結果、ここが空いていることに気がついて(笑)。日々の身支度はここでしています。
今回、台所の時間を考えてみたのですが、わが家は台所らしさというものをあまり求めていないことに気が付きました。
それよりも、リビングの一部に近いというか。料理もするけれど、植物の水を汲む場所や、歯磨き、身支度もする。その方がリビングの専有面積も広くなるし、料理や洗い物をしているときも、開かれた場所にいる気がして。
家族とも話しやすく、友達が来た時も、飲み物やお皿を取りに行くにも軽やかです」
高山:
「自分は、料理が楽しい時期と面倒な時期の波が激しいんです。
忙しいと、正直平日の朝はシリアルをかきこむくらい。昼はパスタをさっと茹でて終わり、まともに立つのは夜ご飯を作るときだけに。
その分、台所が日常のいろいろな動きと地続きになっている方が、居心地がいいんだと思います」
高山:
「だから食器棚にも、食器だけでなく植物の道具などを入れて、用途を曖昧にしています。
ちなみに食器棚は、少しずつ素敵なお皿を集めて、普段からそれらが見えるようにと、ガラス戸の食器棚を選びました。扉はスライド式。この方が、つい開けっ放しにしていてもズボラ感が薄まるかなと期待しています」
憧れワンシーンを思い出したら「朝は私のもの!」
高山:
「そんなわが家の台所での、一番好きな時間……は、休日の朝、まだ私しか起きていないときの時間かもしれません(笑)。
朝の光が入ってくる時間が好きで、それが晴れた日の休日だと一層『天気がいいなぁ』と陽の光を横目に、ブラインドを上げ、パンを焼き、牛乳を飲んで。
動画や音楽までかけ出すと、『この朝は私のものだぜ』って感じが、いよいよ増してきます」
高山:
「たとえぼさぼさ頭でも、そんな時間にちょっと音楽をかけるだけで、どこかで観た憧れの映画のキッチンシーンみたいなあの空気、ちょっとわたしも真似できているなという『ごっこ感』が出る気がしていて。
そんな憧れの空気感を真似できるのは、キッチンだからこその力かもしれません。キッチンだけに漂うオリジナルな気持ちに、日々癒やされている気がします」
そんな高山と台所との関係でした。
さて次は、どのスタッフの台所を訪れましょうか。次回の更新もお楽しみに。
【写真】濱津和貴
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