【春を待つドーナツ】01:揚げたてのおいしさは格別。ふんわり歯切れのいい「基本のドーナツ」

編集スタッフ 藤波

ふんわり軽くて、たっぷり砂糖がかかった、穴のあいたお菓子。ドーナツには、子どもも大人もうきうきしてしまう不思議なパワーがある気がします。

まだまだ寒いけれど少しずつ春の足音が聞こえてくるこの季節。休日においしいドーナツを作ってみたくて、料理家の星谷菜々(ほしや なな)さんのアトリエを訪ねました。

「私自身ドーナツが大好き。家で食べる揚げたては格別ですよ」と話す星谷さん。今回は、とっておきのドーナツレシピとそのアレンジを教えてもらいました。

色んな種類がある中で、今回教えてもらったのはイーストを使ったふんわり、さっくりとした食感のドーナツ。

生地をこねる工程があるレシピは難しそうなイメージもありますが、普通のパンと比べると必要な水分が少なくこねる時間が短く済むので、初心者も挑戦しやすいのだとか。

発酵の待ち時間こそ長くても、慣れれば生地を触っている時間は15分ほど。家事の合間にあっという間に出来上がりますよ。

第1話では、イースト生地の「基本のドーナツ」のレシピを詳しくご紹介します。

 


ふんわり、さっくり、程よい甘さ。
休日おやつの定番にしたい「基本のドーナツ」


材料(ドーナツ8個分)

水…50g
牛乳…80g
インスタントドライイースト…3g
きび砂糖…大さじ2

A
強力粉…150g
薄力粉…50g
塩…3g

バター(無塩でも有塩でもOK)…20g(室温に戻しておく)
打ち粉(強力粉)、サラダ油、きび砂糖各適量

※油と砂糖はお好みの種類で大丈夫ですが、油は香りのないものがおすすめです

◎ あると便利な道具4つ

・霧吹き
・ふきん(サラシなど毛羽立ちの少ないもの)
・温度計
・スケッパー

星谷さん:
「今回のドーナツをおいしく仕上げるコツは、『乾燥を防ぐこと』『揚げ油の温度』です。

イースト菌は乾燥が苦手で湿度が大好きなので、発酵をうまく進めるために濡れふきんと霧吹きを使います。

100円ショップでも手に入るスケッパーは、生地をまとめたり切ったりするのに便利なのでぜひ用意してくださいね」

 

作り方

1. 生地を混ぜる

耐熱ボウルに水と牛乳を入れて600wの電子レンジに30秒かけて人肌に温める。イースト、きび砂糖を加えてよく混ぜる。

Aも加えてゴムベラで混ぜる。

▲後からこねるので、粉はふるわなくてOKです

 

2. 生地をこねる

水分が行き渡ったら台に出してこねはじめる。

▲手の付け根を使って、手前から奥へと生地を台にこすりつけるように転がす。片手にスキッパーを持ち、台についた生地をこまめに集めると良いです

バターも少しずつ加えてなじませるようにこねる。台や手に生地がつかなくなり、生地の表面がつるんときれいになったらOK。

▲バターは5回ほどに分けて少しずつ加え、その都度しっかり生地に馴染ませます

▲室温によっても変わりますが、この日は8分ほどこねて写真のようにつるっとひとまとまりになりました

星谷さん:
「ドーナツ生地は水分が少なくベタベタしづらいので、楽しくこねられます。

はじめは片手で、生地が一つにまとまってきたら両手でやると楽ですよ」

 

3. 一次発酵〜ベンチタイム

生地を2重にしたポリ袋に入れて、35度くらいの場所で倍にふくらむまで60分ほど発酵させる。

▲ご自宅のオーブンやレンジに発酵機能がない場合は、暖房の近くなど室内のあたたかい場所に置いておきます。その場合も目安は倍の大きさになるまで

粉をつけた指で生地の真ん中に穴をあけ、穴がふさがらなければOK。

▲穴がふさがってしまう時はまだ発酵が足りていないので、追加で5分ずつ発酵させます

生地を丸め直し8等分にしたら、1個ずつ表面のきれいな面を張らせるようにして丸める。乾燥しないように濡れふきんをかけて、15分ほど休ませる。(ベンチタイム)

▲切り口を内側に入れ込み、きれいな面を張らせます。反対側はキュッとつまんで閉じます(写真3)

星谷さん:
「生地は触る時間が長いと引き締まってしまうのですが、休憩時間(ベンチタイム)を挟むことで生地がゆるんで成形しやすくなります。

この時もこまめに濡れふきんをかぶせて、生地が乾燥しないようにするのがポイントです」

 

4. 成形〜二次発酵

打ち粉をした手で生地の真ん中に穴をあけ、すこしずつ広げてゆく。(発酵すると穴は小さくなるので大きめに)

▲無理に広げると生地にダメージを与えてしまうので、穴が広がらなかったら5分ほど追加で休ませましょう

オーブンシートの上に並べ、霧吹きをたっぷりかける。35度くらいの場所で倍にふくらむまで30分ほど発酵させる。

▲大雨に打たれたくらい、たっぷりと。発酵の途中で表面が乾燥しすぎていたら追加で霧吹きします

 

5. 揚げる

鍋やフライパンに油を入れて165度に熱し、生地をそっと手に取って入れる。165〜170度を保ちながら、4〜5分かけて両面こんがりと揚げる。

▲揚げ油は温度が上がりやすいので、170度を超えてしまったらいったん火を消し、165度を下回ったら火をつけるようにすると温度キープしやすいです

持ち上げてみて軽くなったら揚げ上がりのサイン。網に取り出して油を切る。

 

6. 仕上げ

袋にきび砂糖を入れ、ドーナツが温かいうちにまぶしたら完成。

星谷さん:
「このドーナツは生地自体の甘さが控えめなので、まぶす砂糖の量でお好みの甘さに調整してくださいね。

家族に甘いものが苦手な方がいたら、砂糖をまぶさずに、カレーと一緒に食べるのもおすすめです。これがまたカレーパンみたいですごくおいしいんです」

じっくりとドーナツが色づくにつれて、部屋いっぱいに広がる甘い香り。油にぷかぷか浮いている様子が可愛くて、こんな休日最高だなあと思いました。

揚げたてをひと口食べてみると、ふんわりしているけれどさっくりと歯切れが良くて、これはまさに理想のドーナツ! 思わず頬がほころぶこと間違いなしです。

続く第2話では、基本のドーナツをアレンジしたバレンタインにもおすすめのレシピをご紹介します。お楽しみに。

 

【写真】濱津和貴


もくじ

 

星谷菜々

自身のアトリエ「apron room」にて毎月お菓子教室を開催するほか、不定期でお菓子やオリジナルグッズ、作家とのコラボアイテムのweb shopも。おもな著書に『BAKE 焼き菓子の基本』(成美堂出版)、『フルーツスイーツダイアリー』(グラフィック社)ほか多数。Instagram:@apron_room


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