【暮らしのサイズダウン】〈後編〉45年ぶりの一人暮らし。たくさんの物を手放したけれど、今も手元に残る大事なものって?

編集スタッフ 岡本

久々に実家に帰ったとき、長年使っていたソファが買い替えられ、小さくなっていることに気が付きました。思えばここ最近の両親は、家具を見直したり、軽自動車への乗り換えを検討したり、暮らしを小さくしていく変化が続いているように思います。

自分自身がその最中にいることもあり「家族の歩みを進める=サイズアップしていく」という感覚を持っていたけれど。

長年の子育てを終え仕事も落ち着いてきた両親は今、二人暮らしへとサイズダウンしながらこれからの心地よさを模索しているようです。

そんな気付きを感じていた頃に出合った、イラストレーターの本田葉子さんは、現在68歳。これまでに2度のサイズダウンを経験し、小田原で一人暮らしをしています。

暮らしを小さくしたきっかけや、物を手放すステップなどについてお届けした前編に続き、後編では、手元に残したお気に入りやこれからの暮らしへの思いについてお届けします。

▲本田さんが綴っているファッションエッセイのイラスト

前編から読む

 

カゴ、パール……ひとつも手放さなかった愛用品

「部屋の広さも家賃も半分にすること」を目標にした2度の引越し。もともと5人家族だったところから今の1人住まいに移るまで、家具や家電など大きなものから、器や洋服といった細々したものまで、たくさんのものを手放してきました。

そんななかでも、ひとつも手放すことなく手元に残したいお気に入りのものがあったのだそう。

本田さん:
「カゴバッグ、パールのアクセサリー、帽子。この3つは、部屋がコンパクトになっても変わらずに持ち続けています。

かごはおしゃれのワンポイントとして、季節問わず使うし、出したままでもカッコがつくから収納としても優秀。お買い物バッグにちょうどいいので、いろいろなサイズを持っています。

パールのアクセサリーは、若い頃から大好き。カジュアルな服装にも合うし、大ぶりでも上品さがあって悪目立ちしないからつけやすくて」

本田さん:
「趣味の裁縫に使うハギレもどんなに小さくても捨てません。トートバッグやクッションカバーを作って余ったものを繋ぎ合わせると、ソファカバーになるんですよ。

小さなハギレをいくつか縫い合わせたら、座ったまま縫い足していくんです。ソファを半分覆えるくらい大きくなりました」

本田さん:
「どんなにスペースが限られていてもずっとそばに置いておきたい家具もあります。

雑貨を並べている足踏みミシンは母の嫁入り道具。体温計など日用品を入れている小さな引き出しは、父からのお下がりで、その上に夫から誕生日プレゼントでもらったアクセサリーボックスを乗せています。

こういう思い出がつまっているものは、これからも持っていたい。どこで使えるかな、別の使い道はないかなと、この部屋でのベストな使い方を模索しました」

▲写真中央にあるのが足踏みミシン、その右隣に映るのが父譲りの引き出し、その上にあるのが夫からもらったアクセサリーボックス

本田さん:
「新しく買い足したものもちらほらあります。

雑貨はリサイクルショップや、フリーマーケットで探すことが多いですね。新品も並んでいるし、掘り出し物を探すのが楽しいんです。

確かにたくさん物を減らしたけど、今の暮らしに必要だな、これがあったらもっと良くなりそうだなと感じたら我慢しないで買うようにしています」

 

早起きが日課。仕事もその日の気分も大事にして

本田さん:
「今の暮らしのモットーは、一生懸命仕事してたくさん遊ぶ。

毎朝6時過ぎに起きて、朝食をとったら30分くらい散歩するのが日課です。

イラストの仕事が月に数本あって今は書籍の執筆も進めているので、基本的に平日は働いています。でもお天気がいいと出かけたくなっちゃうのよね。

そういうときは潔く外出して、夕方に戻ってから作業することもあります。

ずっと海のそばに住んでみたいと思っていたから、気軽に海沿いを歩けるのは嬉しいですね。東京に住んでいた頃とは違う気持ちよさを感じられます」

 

ズボラになりきらないことが、生活を楽しむコツ

旬のものを食事に取り入れたり、季節行事をインテリアで楽しんだり。日常を彩るのが上手な本田さんに、日々の心がけについて聞いてみました。

本田さん:
「朝昼晩と自炊をしているけれど、夜は晩酌がメイン。お刺身など簡単なおつまみで済ませることが多いです。

作ったご飯はインスタグラムにあげるようにしています。一人暮らしだと気が抜けて、器に盛らずに食べちゃおうかなと思う瞬間もあるけれど、誰かに見せることを意識すると『フチをきれいに拭こう』とか、『サラダは真ん中を高く盛り付けよう』とか、少し見栄えを気にするでしょう。

そうすると、今日も自分のためにきちんとできたって、食べるときの気持ちも変わるんです」

ホームページを含めて、いくつかのSNSを更新している本田さん。約20年前にパソコンを購入して教室に通い、使い方をマスターしたのだと話します。

本田さん:
「一番気軽にアップできるのはインスタグラムですね。友人との交流や、子どもたちへ『お母さんは元気にしてるよ』という報告の代わりでもあって。

制限するものがないから、ズボラで楽しようと思ったらいくらでもできちゃいます。でもそうした先の暮らしが、自分にとって心地よいものではないような予感がするんです。だからSNSは自分を律してくれる存在かな」

▲カーテンレールが見えないように板を貼って隠したのだそう。今よりもちょっとよくなる工夫が、部屋のあちこちに散りばめられていました

本田さん:
「今の暮らしは、なんでも自分のペースでできる良さはあるものの区切りがありません。

なので季節行事は、自分の暮らしに点を打つつもりで手軽に楽しんでいます。お正月には鏡餅を飾って、2月半ば頃から雛飾りを出してってすると、部屋の景色が少し変わりますから」

 

大変なこともあるけど。今、毎日楽しいと思えるから

本田さん:
「一人暮らしで大変なことも、やっぱりあります。家電の接続に困ったり、車の免許も返納したので大きなものを運ぶ手段がなかったり。

でもいろいろ試行錯誤してくと、どうにかこうにか方法が見つかるものだなとも実感しています。

それにね、私が小田原に住んだのがきっかけで娘家族も海沿いを気に入って、数年前に茅ヶ崎に越してきたんです。それぞれ暮らしは独立しているけど、車で30分程度で会える距離にいるのは安心感がありますね」

本田さん:
「最近は、地元の公民館でやってるヨガに通い始めました。

そこで出会った友人がきっかけで、小さな畑を借りれるかもしれないという話になって。以前やっていた家庭菜園をまた始めたいなと思っています」

取材終わりに、いつも散歩でとおる道を一緒に歩いてみました。

海まで20分。やわらかい日差しのなか、歩調を合わせてたわいもない話をしていると、じんわりと心が満たされていくのを感じます。

暮らしを小さくしていく過程には寂しさを覚えるものと思っていたけれど、本田さんの毎日には、想像以上に穏やかであたたかい時間が流れていました。

本田さん:
「私は今68歳で団地で1人暮らしをしているけれど、日々が楽しいって思っています。この先の未来を考えてシュンとしている人が、そんな私の姿を見て元気になってくれたら、それってすごく嬉しいことだなって思ってね。

これからも一生懸命働いてたくさん遊ぶをモットーに、楽しく暮らしていけたらと思っています」

(おわり)

【写真】松村隆史

 

もくじ

 

本田葉子

1955年、長野県生まれ。イラストレーター。武蔵野美術大学 造形学部を卒業後、地元長野の印刷会社に勤務。25歳で結婚し東京へ移り住み、2児を育てる。2017年、2023年と2度暮らしのサイズダウンを経験。現在は、神奈川県・小田原にて1人暮らしをしている。日々を綴るイラストエッセイはこちら

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