【きっかけシネマ Vol.01】誰かと深く話しをするって、すてきなこと。「ビフォア・サンライズ」
ライター 新田まるむ
文 ライター新田まるむ
みなさま、はじめまして。そして、こんにちは!
「きっかけシネマ-プロローグ」で店長の佐藤さんからご紹介いただきましたライターの新田まるむです。
今まで観てきた映画は数え切れず、まさに「きっかけ」をいっぱいもらって生きてきました!
落ち込んでは「タクシードライバー」の孤独なトラヴィスに共感して慰められ、ギルバートグレイプが銀色に輝くトレーラーハウスに乗り込むラストは、いつも一歩前へ踏み出すきっかけをくれます。
私にとって「映画は人生の友」。
そんな宝物のような映画に出会いに、素晴らしき映画の世界へ参りましょう!
『ビフォア・サンライズ/恋人までの距離』(1995年)
【監督】
リチャード・リンクレイター
【キャスト】
イーサン・ホーク
ジュリー・デルピー
【ストーリー】
アメリカ人のジェシーと、フランス人のセリーヌは、ユーロトレインの車内で偶然出会う。互いに一人旅、何か惹かれ合うものを感じ、ウィーンの見知らぬ駅で一緒に途中下車する。翌朝の飛行機の時間までの14時間、美しい街を歩きながら二人は話し続ける。他愛のない話から人生の哲学まで、会話を通して次第に心の距離を近づけていく二人。やがて別れの朝を迎えるが。
(公開時のタイトルは「恋人までの距離(ディスタンス)」、後に「ビフォア・サンライズ」となる。)
誰かと深く話しをするって、
すてきなこと。
この映画は、私の今も良きソウルメイトたちとの関係を育ててくれた、「きっかけ」映画です。
公開当時はインディーズなんて言葉が流行っていた90年代なかば、シンプルなストーリーと会話で人生の寓話を綴る、リチャード・リンクレイター監督によるちょっと実験的な映画でした。
私がこの映画を観たのは(しかもビデオで!)、確か21歳の頃。
一緒に観ていた友人たちと、この映画のジェシー(E・ホーク)とセリーヌ(J・デルピー)に影響を受けまくって、その晩は延々と感想を語り合ったのを覚えています。
観た後、好きな誰かと話がしたくなる。
この映画を観ていると、会話するということ自体が何か知的でおしゃれで魅力的に感じられるんです。
何気ない日常の行為がファッションになる。映画が素晴らしいのはこういうところですよね。
(映画を観るたび印象に残ったシーンや感じたコトを書き綴ってきたノートの一部です)
人生、愛、親のこと、結婚、生と死。不安と楽観を漂う、若い二人の会話の数々が時にきらりと光り、心に残ります。
特に映画のなかで印象的なのが、セリーヌのこの台詞。
「この世界にマジックがあるとすればそれは、人と人とが理解し合おうとする力」
-ビフォア・サンライズ/恋人までの距離(1995年)リチャード・リンクレイター監督
カメラが追い続ける二人の背景にはいつも、会話する人々が映し出されます。カフェテリアで、バーで、街中で、人々は会話し、関係を築いている。理解し合おうと話し続け、すれ違い葛藤しながら関係を育てていく。
この映画を観ていて強く感じるのは、会話はまさに人生であるということ。
誰かと深く話をすること。
人を愛し、愛されること。
これって人生の素敵な瞬間(とき)ですよね。
この世界の限りある時間の中で、「かけがえのない出会い」という人生の輝く瞬間を紡ぐ二人の物語は、この後「サンライズ」「サンセット」「ミッドナイト」と続く三部作となっていきます。
同時に映画の中の二人は、当時の私たちの等身大の姿でもありました。
20年前、この映画を一緒に見た友人たちは今も良き私のソウルメイト。
それぞれ仕事や結婚を経て、会う機会が少なくなっても、たまに必ず会って話したくなる。
ジェシーとセリーヌのように、スターダストのごとく交わしてきた会話の数々。この映画がいわば共通言語のようになって、私たちを繋いできたような気がします。
聞くところによると、この映画のロケ地巡りの旅行サイトがあったりして、世界中の恋人たちが二人の歩いたウィーンの街を歩きながら話をしようと訪れるそうです。
すてきですね。
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