【特集|阿部好世さんとpetite robe noire】第1話:一日が変わるようなアクセサリー。
編集スタッフ 二本柳
聞き手・文:スタッフ二本柳、撮影:鍵岡龍門
本日より、当店で新しく『petite robe noire(プティローブノアー)』というブランドのアクセサリーをお取り扱いすることとなりました。
すでにブランドをご存知の方も多いかもしれませんが、今回あらためてプティローブノアーのこと、そして、デザイナーである阿部好世さんがものづくりへ込める想いについて、2日間にわたりご紹介していきたいと思います。
私自身、見ているだけで胸が高鳴るような、他のどこでも見たことのないプティローブノアーの世界観に魅了されている者の一人。
今回の取材を通じて、これまで感じていたドキドキワクワクの正体が分かったような気がしています。
それではどうぞおたのしみくださいね。
petite robe noireのデザイナー
阿部好世さんに話を伺いました。
今回お話を伺ったのは、『petite robe noire(プティローブノアー)』を手掛けるデザイナーの阿部好世さんです。
阿部さんは高校卒業と同時に、ファッションを勉強するため単身渡米。
約2年間のニューヨーク滞在中に出会った、古いコスチュームジュエリー(※)の魅力に一気に惹きつけられたそうです。
でも当時、コスチュームジュエリーは日本ではまだ特別感のある高価な存在。そこで「もっと身近な存在として楽しんでもらえたら…」という想いから、2008年に同ブランドを立ち上げました。
※コスチュームジュエリーとは、天然石を使わないアクセサリーのこと。
ブランド名であるプティローブノアーの意味は、フランス語で「黒の小さなドレス」。
なんともかわいらしい名前ですよね。
この名前は、とある美術館で見かけた、古い黒のドレスの上に重なったジュエリーがあまりに美しく、そこからインスピレーションを受けて決まったのだそうです。
お店に並ぶアイテムの1つ1つは、その名の通り、黒のシンプルなドレスに映えるような美しいものばかり。
クラシックな要素を持ちながらもどこか遊び心が感じられる、「ここにしかない」と思わせるデザインに思わず目を奪われます。
阿部好世さん:(以下敬称略)
「服飾とか『着飾るもの』って、少なからずワクワクドキドキしたいじゃないですか?アクセサリーってそういうものだと思うんですよね。
だからプティローブノアーでも、私たちのアイテムを身につけたその人の、“1日が変わるような” ワクワクを感じてもらえるものづくりがしたいと思っています」
阿部さんが作るアクセサリーの魅力。
古いものの中へ
ひとさじのモダンを。
2年間のニューヨーク滞在中、毎週末のように蚤の市へ通っていたという阿部さん。
今でもプティローブノアーの店内には、阿部さんが自ら蚤の市で買い付けた、古く美しいものたちが置かれています。
でもその一方で、自身がデザインするときにとても大切にしていることが「今」を意識することなんだそう。
阿部:
「私は古いものが好きですが、ヴィンテージの焼き増しがしたいわけではないんです。古いものが、今どう新しく映るか?『新しいって何だろう?』ということをいつも考えています」
「今」を意識したプティローブノアーのデザインは、現代美術からの影響も受けながら形作られていきます。
(インスピレーションを受ける現代アートの書籍たち)
クラシックな上品さのなかに、どこかモダンを感じる阿部さんのアクセサリー。
古いようで新しい。見たことがない。
だからこそ、私たちもトキメキを感じます。
そんな女心をくすぐるプティローブノアーの魅力の背景には、“古いもの” と “新しいもの” を掛け合わせた、阿部さんの遊び心が隠されていました。
とにかく「自由に!」楽しんでもらいたい。
阿部さんが作るアクセサリーの魅力で、もうひとつ見逃せないのが「自由」であるということです。
ファッションは、時として「この格好にはこれでないと」「これはこういう付け方が正しい」などといった、一種の窮屈さを感じることもあるかと思います。
何がトレンドなのか、どんな組み合せが適当なのか…。そんな「こうでなきゃいけない」という制限を払拭するものづくりが、阿部さんの目指すところでした。
阿部:
「プティローブノアーのアイテムは、とにかく自由に!楽しんでいただきたいと思っています。
こうしなきゃいけないという考えから、もっと自由になれるきっかけを私たちが作れたらいいなって。だからプティローブノアーでは、これまでの概念にないような重ねづけの提案ですとか、『自由に楽しんでください』というメッセージも一緒に発信しています」
そう言いながら、自身が身につけていたアクセサリーに目を落とす阿部さん。
阿部:
「このアクセサリーは、今はネックレスにしていますけど、ブレスレットにしたって可愛いんですよ。
ここにイヤリングを引っ掛けてみても面白いですし、他のネックレスと繋げて一連にして使うこともあります」
阿部さんの頭の中で次々に繰り広げられる「自由」なアクセサリーの提案を聞きながら、私の胸もいつのまにかワクワクドキドキ高鳴っていたのでした。
パールはもっと自由になる。
コットンパールとの出会い。
今回当店でお取り扱いさせていただくアクセサリーは、プティローブノアーの代名詞的存在である「コットンパール」を使ったもの。
コットンパールとは、綿を圧縮し、特殊な技法でパール加工をほどこしたもののことです。
今でこそ日本でも普及したコットンパールという素材ですが、実はそこには、再生産に向けてゼロから動き出した阿部さんの存在がありました。
工場の倉庫にデッドストックとして眠っていたコットンパールにたまたま出会った阿部さんは、その軽さとあたたかみのある艶感に一気に魅了されます。
阿部:
「捨てられそうになっていたコットンパールでしたが、『絶対に使いたいです!』と言って工場主の方に譲っていただいたんです」
そうしてコットンパールのアクセサリーは、たちまち大きな反響をもたらすことになりました。
しかし、当時日本ではコットンパールを生産している工場がありませんでした。
そこで阿部さん自らが、職人たちと手を取り合い、再生産に向けて一歩を踏み出すことになったのです。
軽さが可能にするデザイン。
ゼロからスタートさせるという、長い道のりを経てまで再生産を実現したかったコットンパール。
それは、「身につけたその人の、1日が変わるようなアクセサリーづくりを」という阿部さんの想いを実現してくれる素材だったからでした。
阿部:
「コットンパールは本当に軽いので、見た目ほどの重量なく身につけることができるんですよね。
だから何連にも重なったボリュームあるデザインも可能にしてくれる。そんな自由さが魅力のひとつだと思います」
大粒のパールピアスや、連の重なり合ったネックレス。
重量という制限から解き放たれた、自由なパールのデザインは、まさに「プティローブノアー」らしさを物語っているように思います。
私もこの日、6連のコットンパールネックレスを持たせていただきましたが、その軽さに思わず「わー!」と声を上げてしまうほどでした。
そしてコットンパールならではの、温かく放たれた光のやわらかさに、しばしうっとりとしていたのでした。
ぜひ実際に手にとっていただき、このドキドキワクワクの高揚感を感じていただけたら嬉しいです。
★本日から発売開始のアクセサリーは、こちらからご覧いただけます。
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