【選びとる人、そのカタチ】転職・出産・今によりそうモノ選びのルール(当店スタッフ・齋藤)
編集スタッフ 長谷川
さまざまな場面や立場で選びとっている人は、何を見つめ、何を考え、選択をしているのでしょう。シリーズ「選びとる人、そのカタチ」では、人それぞれにある「選ぶときのよりどころ」をお届けしています。
vol.6に登場するのは、当店スタッフの齋藤です。2011年7月に「北欧、暮らしの道具店」の3人目のスタッフとして入社しました。
齋藤にはこの数年、3つの転機が訪れています。入社を決めてスタッフになったこと。第一子を出産して産休に入ったこと。復帰をして編集チームのマネージャーとして働く今です。
転機を経ながら、商品と向き合い、お客さまと接する中で、もの選びの基準に変化はあったのでしょうか。話を聞いてみると、いちばん大切にしているシンプルなルールに変わりはないようでした。
気分転換にもなる、キッチンタオル。
クラシコムに勤める前は建築設計事務所で働いていた齋藤。保育園の設計などを担当していましたが、「もっと暮らしまわりのこと、その人の半径1mが良くなるお手伝いがしたかった」と転職を決めます。
齋藤:
「北欧、暮らしの道具店のスタッフになって、始めて買ったのはアルメダールスのキッチンタオルと、イリス・ハントバークのベジタブルブラシでしたね。そこから少しずつそろえていきました。
キッチンタオルを買い出したら可愛さと使いやすさに魅了されてしまって(笑)、今でも気分転換がてら1年に2枚ずつくらい増えています。ベジタブルブラシも2代目です」
クラシコムで働く中で、他のスタッフに勧められて愛用品になったものも数多くあるといいます。
たとえば、スタッフ青木から教わって「そのまま同じものを買った」というダンスクのバターウォーマーとカイボイスンのソースレードル。この2つの組み合わせがあまりにもぴったりで、すっかりキッチンの定番となっているそう。
(※現在、写真の「ブラウン」は当店では取り扱っておりません)
「それがあること」の暮らしをイメージする。
齋藤にはものを選ぶ時のルールがあるのだと言います。「毎日ずっと使うものは、いつも目にするからこそ納得のいくものを」と潔く決めています。
齋藤:
「自分でも『ちょっとなぁ……』って感じるのを毎日使っていると、その気持ちが積み重なっていって、大きなダメージになってしまう気がしているんです。
だから、家具みたいに長く使うものは、一生使う覚悟で買ったり作ったりします。テーブルも天板と脚を別々にそろえて作りましたし、知り合いの家具屋さんにお願いした本棚もあります。変えにくいものは『これだ!』とバシッと決めて、中のアレンジを楽しんでいる気がします」
今のテーブルに決めるまでは、間に合わせの机どころか、ダンボールを代わりにしていた時期もあるのだとか。だからこそ、結婚をしてから二度の引っ越しを経ても、家具を変えることなく使い続けています。
本棚に目をやると、同じ本が2冊並んでいました。松山巌『建築はほほえむ』は、夫婦ともに持っていたお気に入りの本。「建築は人に寄り添うもの」というやさしさを教えてくれたといいます。
齋藤:
「ものを買うタイミングは、ほしいなぁと感じた時の出会いを大切にしています。いいものを見て、『これいいんじゃないかな?』って思ったら家族会議! その『これいいよね』と言い合う感性は夫とも似ているんだと思います。
だから比較検討はそこまでシビアにしない方かもしれません。あとでもっと安くなっていたのを見ても、その時にはそれが一番だったのだから、後悔ってあまりしませんね」
後悔するよりも選んだ時の気持ちを大切にする。それがあることの暮らしにフォーカスするというのは、齋藤なりの習慣ともいえそうです。
リビングだけは心地よく「守る」。
「出産して、子育てをするようになってから、もの選びの基準は変わりましたか?」と聞いてみました。
齋藤:
「買わないといけないものは増えましたけれど、『買おうとしているもの』へのピンとくる感じは変わっていません。『この家にあって嬉しい』と思えるか、くらいです。
息子のイスは黒いものにしたのですが、それもテーブルで向かいあうベンチが黒だったから。あとは、曲げ木のデザインがきれいで気に入っています。このリビングだけは好きなものだけを置くように……それこそ死守しています(笑)。この毎日の景色が安心感にもつながっていて、自分を助けてくれています」
そう言われてリビングを見回してみると、子どもの遊び道具などが目に入りません。それらはすべて別室にまとめられていました。
長男の食事で役立ったというロールストランドの「クリナラ」ボウル(SS)2個セット。その光景を思い浮かべると、大人も子どもも使えるデザインだからこそ、「これだ」と思える家具と道具に囲まれた、心地よい空間づくりに一役買っているといえそうです。
他にも「植物由来の成分で口にしても安全だから」とリビングの掃除に愛用しているのがマーチソンヒュームのフードセーフスプレー。
子どもができたからこその選択と言いますが、洗練された見た目のスプレーであればリビングの景色を邪魔しません。ここでも齋藤の「もの選びのルール」が生きていました。
齋藤:
「それからKINTOの木のトレーは、朝ごはんになくてはならないですね。キッチンがテーブルと離れているので、これでどんどん食卓に運んでいくんです」
▲イッタラ/Origo/デザートボウル、ロールストランド/Kulinara/ボウル(SS)2個セット、KINTO/木のトレー(L)、スプーン私物
斎藤家の朝ごはんは「ご飯派の夫、パン派の私、それから息子のもの」と分かれるそうですが、トレーを同じにするだけでも、ふしぎと「一緒に食べる」という感じが伝わってくるようです。
齋藤:
「ごくごくたまに、息子が朝に長く寝ていると、夫とふたりだけの朝ごはんになります。そうすると、日常なのに、ちょっぴり非日常的になったりもして」
ほんのひとさじの非日常は、 家具や道具を長く使い続けるからこそ楽しめることもあるようですね。
今はファッションアイテムに惹かれています。
長男とつきっきりになる日々を経た今、齋藤はファッションアイテムが気になりはじめたとか。
齋藤:
「ベジバッグは出産前から使い続けていますが、最近はアクセサリーも惹かれます。私は新商品が出る度にすべてのページをチェックしていることもあって、すっかり買い物目線で影響を受けていますね(笑)。
とにかく子どもにつきっきりという日々ではなくなった分、自分自身のことも見られるようになって、おしゃれに意欲が出始めたのかも!」
そんな齋藤家のクローゼットには愛用のMAWAハンガーがずらり。当店での取り扱いが始まったことをきっかけに数年前から愛用中といいます。
トップス用からベルト用まで、さまざまに使い分けていました。従来のハンガーよりスペースを使わずに済むMAWAハンガーを使い始めてから、「クローゼットがすっきりしていると、おしゃれを楽しみたい!という気持ちにもつながることを発見しました」と齋藤。
今回、思い入れのあるものを聞いてみたら、どれも当店の定番商品になっているものが多かったことに気づきます。
「毎日ずっと使うものは、いつも目にするからこそ妥協をしない」
齋藤の選び取るカタチは、言い換えれば「積み重ねを大切にする」ということなのかもしれません。だからこそ、人々から愛され、愛せるものたちを少しずつでもそろえていく。齋藤なりの「フィットする暮らし」の作り方に触れ、自分の身の回りを見なおしてみたくなったひと時でした。
今回登場したアイテム
・Iris(SRF) Hantverk/イリス・ハントバーク/ベジタブルブラシ
・Rorstrand/ロールストランド/Kulinara/ボウル(SS)2個セット
・Murchison Hume/マーチソン・ヒュームフード/フードセーフスプレー
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