【きっかけシネマ最終回】失敗だらけの日々をやさしく包んでくれる映画「パーフェクト・ワールド」
ライター 新田まるむ
最終話の作品は『パーフェクト・ワールド』
失敗だらけの日々なのにパーフェクトを願うわたしたち。
昨年の夏から連載させてもらってきた「きっかけシネマ」。
いよいよ今日が最終回となります。
「きっかけシネマ」の締めくくりは私にとってどうしても外せないクリント・イーストウッドの映画を!と佐藤店長に強引にお願いした結果、「パーフェクト・ワールド」です。
誰もが抱いている「自分の信じる世界」
終始やさしい陽光に包まれた映像が、まさに平和で美しい「パーフェクトな世界」を思わせるこの作品。
この映画の登場人物たちはそれぞれ、自分の「パーフェクト・ワールド」に生きています。
刑務所を脱獄したブッチ(ケビン・コスナー)が目指すのは父親がいるというアラスカ。彼が思い描くのは父親と幸せに暮らしたいという、かつて実現しなかった「パーフェクト・ワールド」です。
一方、捜査官レッド(クリント・イーストウッド)は、ブッチを追い詰めていく自分たちのやり方に疑問を抱いていきます。それもまた、彼が長年信じて生きてきた「パーフェクト・ワールド」なのです。
そして誘拐された少年フィリップの母親も、自らの信条の世界「パーフェクト・ワールド」に生きています。
わたしたちの思い描くさまざまな願いや生き方の中で、果たしてどんな判断が正しいのか。誰にも分かりません。
選択や判断に完璧なんてことはあり得ない。でも…
このパーフェクトではない世界で、パーフェクトではないわたしたちが「パーフェクト・ワールド」を望むこと。
それはきっと失敗だらけのわたしたちが、それでも生きるために毎日していること。
仕事で、人間関係で、子育てで。完璧な判断じゃないことは知っているけれど、できることならば「パーフェクト」であってほしいと選択し、決断して生きている。
この映画の登場人物たちのように「完璧!」とつぶやきながら、より良い世界を目指して……。
クリント・イーストウッドは、テキサスの広大な風景美を背景に、わたしたちがそれぞれの「パーフェクト・ワールド」を信じて生きているサマを批判することなく優しく描いています。
こんな映画を撮ってくれるから、わたしはイーストウッドの映画を愛してやまないのです。
最後になりましたが、私のつたないコラム連載を毎回うまぁく編集してくれた佐藤店長、そして読んで下さった読者の皆さまに心からの感謝をこめて。ありがとうございました!また会う日まで。
ビバ!きっかけシネマ!
今日の「きっかけシネマ」情報
『パーフェクト・ワールド』(1993年)
【監督】
クリント・イーストウッド
【キャスト】
クリント・イーストウッド
ケビン・コスナー
ローラ・ダーン
T・J・ローサー
【ストーリー】
テキサスの刑務所を脱獄した凶悪犯ブッチ(ケビン・コスナー)とそれを追うテキサスレンジャーのレッド(クリント・イーストウッド)。人質に取った子供フィリップとブッチの心を交流を描くロードムービー。「ミリオンダラーベイビー」「グラントリノ」など、イーストウッド調の丁寧な人間ドラマが光る作品。
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