【気長な家づくり】第2話:まいにち使う場所だから。こだわりが凝縮されたキッチンと水まわり
編集スタッフ 野村
賃貸住宅やマンションなど、自分の今の家と近しい環境の人たちが、居心地よく過ごすためにどうやってインテリアを作っていったのだろう? そしてどんな工夫があるのかを見てみたい。
そんな思いを持って、以前から気になっていた方のご自宅を訪ねた本企画。
訪ねたのは、グラフィックデザイナー・立古尚子(りゅうこ なおこ)さんのお部屋。3LDKマンションに、夫と娘さんの家族3人で暮らしています。
1話目では、白やグレーが基調になったリビングとワークスペースを案内していただきました。今回は、特に使い勝手にこだわったというキッチンと洗面室を見ていきます。
1話目を読む
3畳のキッチンを最大限使いやすく
リビング奥につながる立古さん宅のキッチン。コンパクトなキッチンだからこそ、使い勝手のよさにはかなりこだわったそうです。
立古さん:
「広さ3畳ほどのキッチンなので、私はなんだかコックピットみたいだなと思っていて。なんとか使いやすくするために、時間をかけていろいろ工夫してきました。
入って右手にある食器棚はもともと、ガラス扉付きのキャビネットラックを置いていたのですが、このキッチンの広さだと扉も開けづらくて。さっと取り出せるオープン収納棚をいくつか検討して、今はIKEAで購入した棚に落ち着きました」
L字のブックエンドを活用
立古さん:
「ちょっとしたことなんですが、食器棚の使い勝手がよくなればと思って、L字のブックエンドをいろいろ活用しています。
棚をふたつ積み上げているので、側面の上下の境目部分にブックエンドを差し込んで、キッチンクロスや鍋敷きの収納スペースをつくったり、棚の中にブックエンドをふたつ側面に沿う形に置いて、その上に追加の棚を載せて棚数を増やしたり。
自分が手軽にできる範囲で、工夫ができないかなって考えて生み出した方法です」
▲側面に沿わせた2つのブックエンドを固定し、その上に棚を載せています。グラつくこともなく安定していました
ベッドサイドランプを、キッチンに
立古さん:
「キッチンの吊り戸棚にもともと付いていた蛍光灯があまり自分好みではなかったので、リフォームの際に取り外してもらい、あとから自分でライトを取り付けました。
付けたのは、IKEAで購入したスポットライトと、ベッドサイド用に作られたヴィンテージのウォールランプの2つです。その時々で、片方だけつけたり、両方つけたり。ウォールランプはスチールでできているので、マグネットのものをくっつけられてキッチンでも便利です。
タブレッドスタンドも、キッチンポールにかけると、レシピ本を乗せるスペースになって、活躍しています」
パントリー代わりには、木製ボックスを
▲パントリー代わりに使っているのは、「ファティーコンテナーズ」
立古さん:
「キッチンにはパントリーがないので、買い置きしている食料品やテーブルクロスなどは、このコンテナに入れるようにしています。
置いたままの見た目もかわいらしくてスッキリするし、スツール代わりに座ることができるくらい丈夫な収納家具なので、何かと重宝しています」
洗面室は、家事に寄り添ったスペースに
立古さんは洗面室も使い勝手よくリフォーム。詳しいお話を聞いてみました。
立古さん:
「リフォームの時には、リビングもワークスペースも間取りを変えていないのですが、洗面室だけは使い勝手を良くしたくてガラッと変えたんです。
洗面台の位置を広く使える場所に変更して、アイロンがけができるスペースを作りました。
ハンカチや子どもの給食袋は乾いたらワイヤーバスケットにいったん入れておき、週末にまとめてアイロンがけを。これだけで洗濯とアイロンがけがぐっと楽になりました」
立古さん:
「洗濯機の近くには、洗濯用ハンガーをかけられるポールを付けているので、干す前に洗濯物をここでハンガーにかけられるし、取り込んだ洗濯物をいったんソファに置いて散らかっちゃうというのも無くなって。
この家に長く住んで、いろんな試行錯誤があったからこそ、洗面室を家事部屋としても使える空間にできたらと思い付けました。
こうやってちょっとずつでも自分にとっての住みやすさを探っていきたいですね」
***
住み始めて違和感を感じていたとしても、使い勝手の良い空間は作り出せる。
そんな工夫にあふれていた立古さん宅のキッチンと洗面室を拝見して、わが家の不便に感じていた部分ももっと良くできる術があるのかもと、ちょっとした勇気をもらえた気持ちになりました。
立古さん宅のインテリアを見ていると印象的だったのが、たくさんの素敵なライトが飾られていること。次回はそんなライトにまつわるお話を中心に伺ってみました。
(つづく)
【写真】木村文平
もくじ
立古 尚子
グラフィックデザイナー。ステーショナリーや雑貨、冊子など、紙媒体を中心としたデザインを手がけている。夫と娘との3人暮らし。インスタグラムアカウントは@nao_et_noa
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