【オープンな家】第1話:キッチンが家の中心。「日用美」店主、浅川あやさんのインテリア

ライター 嶌陽子

家族や遊びに来る友達がお互いにのびのびと過ごせて、人が自然と集まる家に憧れます。

神奈川県の二宮町で、そんな家に出合いました。オープンな雰囲気が漂う心地よい住まいに暮らすのは、全国各地からセレクトした日用品の店「日用美」を営む浅川あや(あさかわ あや)さんです。

2年前に鎌倉から引っ越し、現在は夫と小学5年生の息子、両親と5人で暮らす浅川さん。広々とした敷地に新築した2階建ての家は四方を木々に囲まれ、気持ちのいい空気が流れています。浅川さん夫妻の友人たちや息子の友達も度々遊びに来るそうです。

誰でもおおらかに受け入れてくれる家の中には、皆が気兼ねなく過ごせるような優しい工夫や心遣いがいっぱい。今週から全4話にわたって浅川さんの自宅インテリアや愛用の日用品をじっくり紹介していきます。

第1話では、「この家の中心」と浅川さんが語るキッチン編です。

 

皆が使うから、道具は出しっぱなしが便利

「ここで過ごす時間が一番長いんです」。そう浅川さんが語るキッチンは1階、テラスに続く扉のすぐ近くにあります。アイランド型のキッチンは「家具のようにしたかった」という希望に沿ったもの。内装設計の仕事をしたこともある浅川さん自身が図面を引きました。

浅川さん:
「ここで料理をしている時の眺めが特に好きですね。1階全体を見渡せるし、庭で遊んでいる息子と友達の様子も見られるんです。私はいつも司令塔のようにここに立っています(笑)」

木製のカトラリーや調理道具はガラスや陶器に入れて出しっぱなしに。素材に統一感があるので、目にうるさくありません。

作業台の上にある棚にもマグネットフックを取り付け、さまざまな調理道具を吊るしていました。

どこに何があるか、誰もが一目で分かって出し入れしやすい。それがこのキッチンの特徴のようです。

浅川さん:
「普段の食事作り担当は主に私と母。ですが父や夫もたまに料理しますし、息子も時々ここに立って、私が仕事で忙しい時は卵焼きなんかを作ってくれるんです。

だから誰でもほしいものがすぐ手にとれるようになっているのは便利ですね」

 

食器はオープン棚に。全部が見渡せるからどの器も眠らせない

アイランドキッチンの後ろにある壁には作り付けのオープン棚があり、食器が並んでいました。

浅川さん:
「前に住んでいた家では食器棚に扉が付いていたんですが、お客様がいる時でも結局は開け閉めして中が見えるんですよね。それに私は器をしまい込むと使わなくなるので、この家では思いきってオープン棚にしました」

浅川さん:
「器を出し入れしやすいように奥行きをよく考えて設計し、大工さんに作ってもらいました。手の届きやすい下2段にはよく使う器を、上の2段には時々使うものをしまっています」

その食器棚の下にある棚も、もともと持っていた道具などに合わせて細かく設計し、家具屋さんに作ってもらったもの。

▲右端に2つ並んでいる桐の米びつはインターネットで購入。カトラリーや食材ストックなどの収納は無印良品のラタンバスケットで統一。

▲調味料などを柳行李に入れて。自然素材が空間によく馴染む。

浅川さん:
「棚の高さは桐の米びつに合わせて決めました。ここにはそれ以外に食材のストックや保存容器、カトラリーなどをしまっています。

この棚の一角にはディッシュスタンドも置いていて、ここには大皿やしょっちゅう使う皿を立てて並べています。大皿は重ねて置くと取りづらいので立てる方が便利。手前にある木皿も、息子が毎日のようにここから取って使っています」

オープン棚やディッシュスタンドを活用することで、使いたいものをストレスなく、すっと取れる。こうすることで、どの器も眠らせずに使うことができるのです。

作り付けの棚の周りの壁面も上手に活用。せいろやコーヒーフィルターなどがさりげなくかかっていました。

浅川さん:
「壁に画鋲を刺して、そこに引っ掛けているだけ。どれも軽いので、これだけでOKなんです。見た目もかわいいし、ざるやせいろをよく乾かせるので便利です」

しまい込んでいるのは一部の鍋くらい。ほとんどのものが見えているから、家族はもちろん、遊びに来た人でも戸惑わずに使えそうなキッチンです。

 

誰にとっても使い心地がいい、開かれた家にしたかった

浅川さん:
「家族以外の人がこのキッチンに立つことも度々あります。この前は遊びに来た息子の友達も『卵焼き作っていい?』って言って作ってましたね。

キッチンに限らず、この家は誰が来てもいい、誰にとっても使い心地がいい家にしたかった。 “開かれた家” にしたいなと、建てる前から思っていました。私たちの友人や知人、息子の友達もよく立ち寄ってくれるんですよ」

浅川さん:
「外のテラスからキッチンに入れる設計にしたのもよかったです。買い物をしてきたら、すぐに買ったものを冷蔵庫まで運べますから。

それも含めて、家事動線は家を建てる前によく考えましたね。キッチンと洗濯機置き場のある洗面所、浴室が横並びにつながっているので、家事が効率よくまわせます。ちなみに、外で泥だらけになった息子がテラスからキッチンに入ってきて、そのままお風呂まで一直線に走っていけるのもポイントです(笑)」

すっきりしていながら目を楽しませてくれるキッチン。誰もがストレスなく使える背景には、収納の工夫や細やかに考え抜かれた設計があるのだと、話を聞きながら実感しました。

続く第2話では、リビングや本棚スペースなどを見せてもらいながら、この家を建てるまでの経緯や家づくりの工夫についても聞いてみます。

 

【写真】鍵岡龍門

 

もくじ

 

浅川あや

内装設計施工会社、インテリアショップなどを経て独立。神奈川県二宮町にて、全国各地からセレクトした日用品の店「日用美」を営む。
Instagram:@nichiyobi_asakawa
「日用美」Webサイト


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