【コンパクトにおしゃれに暮らす】第2話:玄関からリビングまで。動線に合わせた家具レイアウトのコツ
ライター 長谷川未緒
好きなものに囲まれた自分らしい住まいをつくりたい。そう思うものの、予算には限りがありますし、スペースが足りなかったりするとなかなか理想通りにはいかないことも……。
そこで、特集「コンパクトにおしゃれに暮らす」では、ちいさな部屋でも快適に住まうヒントを探ります。
今回訪ねたのは、東京・参宮橋でフランスの服や雑貨を中心に扱うセレクトショップ「アバヌ」を営む大坂友紀子(おおさか・ゆきこ)さん宅です。1LDK58平米のマンションに、家族で暮らしています。
第1話では、子ども2人の成長に合わせて手を加えながら住みこなしてきた工夫を中心にお伝えしました。
続く第2話では、玄関からリビングを拝見。動線に沿った家具のレイアウトや収納術について、伺います。
窓がない玄関を明るく印象アップ
大坂さんの住まいは、自身がオーナーを務めるセレクトショップ近くのマンションです。58平米という広さの1LDK に、15年前から子どもふたりと夫と4人で暮らしてきましたが、昨年長女が独立し、現在は親子3人暮らし。
もともとインテリアが好きで、店の内装も自身でペンキを塗ったりしているとあって、自宅も玄関からDIYで素敵に彩っています。
大坂さん:
「三和土には、白くペイントしたアンティークの木を敷きました。友人の家がこうしていて、いいね、と言ったら、余っている木をくれたんです」
玄関の三和土に白い木となると、汚れやすいと敬遠しそうなものですが、とても明るく感じます。木を敷いて底上げすることで、廊下との段差が小さくなり地続きのようになって、広々と開放的に。
三和土に靴が置きっぱなしになっていると狭く感じるため、脱いだ靴は必ず靴箱にしまうように、家族にお願いしているそう。
大坂さん:
「娘と足のサイズが同じなので、ほとんど共有です。長女は独立したものの、しょっちゅう帰ってきますし荷物もほぼ置きっぱなしなので、靴もたくさんあります。
入りきらないオフシーズンのものは、寝室のクローゼットに収納しています」
玄関がすっきりしているので、見回してみたところ、傘がありません。乾かしたら玄関には置かずに寝室のクローゼットにしまっているそう。
また鍵などのちょっとしたものを置くスペースもないので聞いてみると、マグネット付きのフックを利用していました。
大坂さん:
「ちいさいポシェットに入れて、鍵をしまっています。ちょっとそこまで出かけるときなどは、このままバッグとしても使えますし、便利ですよ」
吊り下げ収納で、掃除をラクに
廊下に面したバスルームも、吊り下げる収納ワザが。エコバッグの中にはトイレットペーパーがしまってありました。
大坂さん:
「床にカゴを置いて入れていたこともあったのですが、ほこりがたまって、その掃除も手間がかかるんですよね。エコバッグに入れてもともと壁に付いていたフックに下げるようにしたら、すっきりしました」
壁のシックな赤は、DIYで塗ったものです。
大坂さん:
「ペンキを塗るのがいちばん簡単に気分転換できるリノベーションだと思うんです。お金もかかりませんし、失敗したり飽きたりしたら、また塗り替えればいいと思えば気も楽です。
バスルームはイギリスの『ファロー&ボール』というメーカーのペンキを塗りました。アメリカの『ベンジャミンムーアペイント』もおすすめです。色もどれも素敵で、塗りやすく、間違いないですよ」
バスルームのそばに収納家具を置いたら、片付いた
バスルームを出てすぐには、古いキャビネットがふたつ置かれています。ガラス扉のほうは近所のリース屋さんがセールをしたときに求めた日本の古い薬品棚。白いほうは、フランスのアンティークです。
中にはベッドリネンや、インナー類、またヘアオイルや香水などを収納しています。
大坂さん:
「バスルームに収納スペースがないので、廊下に置ける収納棚をずっと探していたんです。
バスルームのドアを開け閉めしてもひっかからない奥行きで、収納量があって見た目も好みで、となるとなかなか見つかりませんでしたが、去年、ようやく見つけました。
動線に沿って使うものをしまえるようになり、片付けが楽になりました」
廊下の突き当たりには、イギリスのアンティーク家具が置かれています。コートが入っていて、ここでも動線重視の工夫がされていました。
春夏はスプリングコートやトレンチコート、ジャケットなどに衣替えします。
大坂さん:
「嫁入り道具に買った家具です。服も娘たちと共有なので、着ようと思っていた服がなくて『着て行っちゃったの!?』と困ることもよくあります」
ミックスインテリアで自分らしく
廊下を抜けると、日当たりのよいリビングが広がっています。
手前にはイギリスのアンティークのキャビネットが置かれ、ネットオークションで中古で見つけたハーマンミラー社のテレビ台や、イタリアのアルフレックスのソファなど、いろいろな国のものが置いてあるのに、不思議と統一感があります。
大坂さん:
「夫がイギリスのアンティークが好きなので、以前は重厚感のあるロッキングチェアを置いていたこともありますし、それに飽きたときには、ミッドセンチュリーの家具を揃えたこともありました。
いろいろやってきて、残っているものが今の家具です」
大坂さん:
「全部が全部、同じテイストだとモデルルームのように素敵すぎて私は落ち着かないので、好きなものを揃えた今のインテリアは、自分たちらしさが出ているように思います。
国も年代もバラバラですが、明るめの茶色で木製の家具が多いので、統一感があるように見えるのかもしれません」
引き出し収納のコツは、用途を決めすぎないこと
テレビ台の横にある棚の引き出しは、家族にそれぞれ割り振られています。
大坂さん:
「1LDKしかないので、何かするときにリビングにものを持ってくるんですよね。そうするとどうしても出しっ放し、置きっ放しになりやすいので、しまう場所を作りました。
自分の引き出しに入れてくれさえすれば、中はぐちゃぐちゃでもかまわないので」
大坂さんの引き出しには、メイクボックスが収納されていました。
大坂さん:
「以前はバスルームに置いていたのですが、自然光の入るリビングでお化粧するので、つい置きっ放しにしがちだったんです。
ここに移動させたら、使ったらすぐにしまえるので、片付くようになりました」
大坂さん宅の家具は、浅い引き出しが多め。使い道も、何用と決めつけずに人別にしたり、動線に合わせて必要なものを収納したりしているところがポイントです。
リビングの壁際に置かれた家具も、メインは食器を入れていますが、引き出しはやはり家族に割り当てられていました。
大坂さん用の引き出しには、アクセサリー類を入れています。『無印良品』の仕切りを使い、上段によく使うものを、下段に使用頻度の低いものを収納。
大坂さん:
「アクセサリーも、以前は寝室のクローゼットにしまっていたのですが、帰宅して外して、ついそのへんに置いてしまっていました。ほんの数歩の距離が面倒で。
友人がこんなふうにリビングの引き出しに入れているのを見て、さっそく真似してみたところ、ちょっと置いてしまうということがなくなりました」
雑貨類は厳選。離れてバランスを見る
省スペース化のためにダイニングテーブルはあきらめ、イギリスの『G-PLAN』の丸テーブルを食卓に。その代わりに小テーブルを置いています。くつろぎスペースとして、ひとりのときはごはんを食べたり、お茶を飲んだり。
窓際や、DIYで取りつけた飾り棚には、かわいい雑貨がセンスよく置かれています。
大坂さん:
「家が狭いのであまり買わないようにしているのですが、お店をやっているくらいなので、ものが好きなんですよね。
見ているだけでうれしいものは、実用性がなくても暮らしに必要だなと思います」
ごちゃごちゃせずに飾るコツは、少し離れたところから見てバランスを調整すること。また、夜に明かりを灯して確認することも、視点が変わっておすすめだそう。
フランスのアンティークのランプをはじめとした間接照明や、壁に取り付けられた鏡も、スペースを広く見せてくれていました。
リビングがすっきりしていて、雑貨なども素敵に見えるのは、家族のものがしまえる場所があって片付いているからこそでした。
大坂さんは洋服屋さんをしているだけあって、断捨離とは無縁で、洋服をたくさん持っています。
続く第3話では、1LDK58平米に家族で暮らしているからこその、寝室やクローゼット収納を中心に拝見します。
(つづく)
【写真】メグミ
もくじ
大坂 友紀子
東京都生まれ。服飾の専門学校を卒業後、インポートのセレクトショップで事務職に就いた後、美容院に従事。結婚・出産を経て専業主婦時代の2005年に「代官山honoré」をオープン。2006年に「havane」に店名を改め、2009年に参宮橋に移転。フランスものを中心とした洋服や小物のセレクトに定評がある。店内にカフェスペースも設け、月に数度のイベント開催も。
インスタグラム @havane_yoyogi
ウェブサイト http://havanejp.com
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