【暮らしのみずうみ – 松本便り】第25話:我が家の小さな冒険心。
ライター 桒原さやか
数年前から、テキスタイルの魅力にハマっています。
チェックやストライプ 、のびやかな植物模様、色の組み合わせにハッとするもの……。
用途が決まっていないモノはふだん買わないようにしているものの、テキスタイルだけはとくべつ。ミシンで縫ってしまえばポーチやハンカチにもなるので、「気に入ったものは買ってよし」としています。
我が家は白い家具が多く、壁も真っ白。部屋でくつろいでいると、「ちょっとこの部屋さみしいな」なんて思うことも。そこにカーテンやクッションカバー、布の壁飾りなど、テキスタイルを一枚加えてみると……ピタリッ!
足りなかったピースがハマるみたいに、調和がとれるときがあります。柄や色のおかげもあると思いますが、布自体が持っている柔らかさやあたたかみも大きいかもしれません。
中でも、最近のお気に入りはテーブルクロス。さっと一枚食卓に敷くだけで、部屋が華やかになり、食事の時間まで楽しくなるのです。
テキスタイルの魅力は、その「お気楽さ」にあるかもしれません。
大きく使えばガラリと部屋の雰囲気を変えられるのに、そのハードルはけっこう低い気がするのです。
家具やアートを買うのに比べると、購入しやすい値段も魅力のひとつ。それに、折り畳んでしまえばコンパクトになるので、収納場所もそんなに取りませんし、なにより、ミシンでダダダッと縫ってしまえば、ポーチにもクッションカバーにも変化してしまうのです。形を変えて、どこかに活躍の場所を見つけられるので「買ったけど使わなかった」という、あのガッカリが少ないのもいいなあと思います。
そんなわけで、ちょっとドキドキするような柄や色合いでも、「テキスタイルなら……」と手が伸びるのです。
もしかしたら我が家のインテリアにおいて、テキスタイルは「小さな冒険」なのかもしれません。そう気がついたら、あちこちにある可愛い布たちが、急に頼もしく見えてきました。
ストック棚をのぞいてみると、カラフルな布たちが今か今かと出番を待ち構えています。この子はどこがいいかな〜?と、布を片手に家中歩きまわるのも、また至福の時間。
テキスタイルのおかげで、我が家のインテリアに新しい風がひゅーんと吹いています。
桒原さやか
ライター・エッセイスト。岐阜県出身。『北欧、暮らしの道具店』で、お客さま係として6年間働いていたスタッフ。退職後、ノルウェーにある北極圏の街、トロムソに住んでいた。現在は長野県松本市でスウェーデン人の夫と2歳と4歳の子どもの4人暮らし。
著書は2023年4月に発売の「北欧の日常、自分の暮らし- 居心地のいい場所は自分でつくる -」(ワニブックス)。その他、「北欧で見つけた気持ちが軽くなる暮らし」(ワニブックス)、「家族が笑顔になる北欧流の暮らし方」(オレンジページ)がある。
instagram:@kuwabarasayaka
撮影:清水美由紀
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