【あの人のバッグ】愛らしい存在をしのばせて。鎌倉で雑貨屋を営む店主の「バッグの中身」
ライター 瀬谷薫子
リップに手帳、お財布、ポーチ。お出かけに欠かせないものとして、選び集めてきた「バッグの中身」には、そこかしこにその人らしさが詰まっている気がします。
「あの人のバッグ」は、気になるあの人のバッグやポーチの中身を見せてもらう連載。
今回のバッグの持ち主は、鎌倉で雑貨店「moln(モルン)」を営む五十嵐綾(いがらし あや)さんです。
スウェーデン語で “雲” を意味する「moln」。誰かにとっての願いや思いが、現実に浮かび上がる雲のように、物語を感じる雑貨や洋服をひとつひとつセレクトしてお店を営む、五十嵐さん。
今回はそんな彼女のバッグの中身から、もの選びの視点を探ります。
ーバッグとその中身ー
手触りにも、見た目にもほっとする
なじみのアイテムをお供に
左上から時計まわりに
・くまのキーケース / NICO
・ストール / Giedrius
・メガネ / komorebi
・イヤホン / Airpods
・日傘 / CINQ
・黒猫のペンケース / NICO
・財布 / CINQ
・手製本の手帳 / 坂本麻衣子
五十嵐さん:
「ふだん誰に見せるものでもないからこそ、バッグの中身には、そのときそのときの自分自身が表れているなと感じます。
ストイックに仕事に邁進している時は、仕事道具や本がいくつも入っている、隙間のない重たいバッグでした。恋や遊びに夢中な時は、必要最低限のものしか入らず、バッグの存在さえ忘れてしまうほどふわふわした軽いバッグ。
今の私のバッグは、重たくも軽くもないバッグ。週に5日、自宅から徒歩20分の店に通うまでの毎日のお供は、かばんを開けた時に思わずにっこりしてしまうもの、肌触りがよくて、バッグに手を入れて触れるだけで、それが何であるかすぐにわかるようなおなじみのものたちをしのばせています」
▲愛猫のココアくん
五十嵐さん:
「羊毛からフェルト雑貨を作る作家『NICO』さんの手がけるキーケースは、実用性と愛らしさがどちらも詰まった作品。molnでもお取り扱いをさせていただいていて、新作が届くたび、毎回感動して自分が欲しくなってしまうものばかりです。
ふわふわの手触りで、バッグの中でもすぐに見つけられるので便利。くまのお腹にはカギが隠されていて、フェルトに包まれているので不思議と鍵のかちゃかちゃとした音がしないのも嬉しいです。何より、その愛らしさがいちばんのお気に入り。2.5頭身のくまさんが少し目を逸らしている表情が、どことなく愛猫に似ていて、手にするたびに、にんまりしてしまいます」
五十嵐さん:
「バッグは『MARTAU.』のshell bag。アンティークリネンを使い、手仕事でちくちくと縫われたものです。ころんとした形が可愛らしく、荷物もしっかり入ります。
もともとMARTAU.のバッグが好きで使っていたのですが、ある日出かけた先のコーヒー店のオーナーに『そのバッグ、近くのカフェにたくさん並んでいたよ』と言われて。その足で向かったカフェで、作家さんにお会いすることができ、以来、私の店でもお取り扱いできるご縁をいただきました。
このバッグを通じていろいろな出会いが引き寄せられているように感じる、不思議な引力のあるバッグです」
ーポーチの中身ー
心も体もすこやかにいられる
香りとうるおいのアイテムを中心に
左上から時計回りに
・ハンドタオル / kontex(LANA)
・木の入れ物 / ラトビア民芸市で出会ったもの
・リップバーム / 華蜜恋
・香水 / MOONSOAP(Bio Perfume)
・ハンドバーム / MATIN et ETOILE(Hand Balm NO.4)
・日焼け止め / PERFECT POTION(Aroma sunscreen)
五十嵐さん:
「ポーチはテキスタイルアーティスト『hiki』さんの『りんごのっけくまポーチ』。これもふわふわした手触りがお気に入りです。
メイクやスキンケアは、どちらかといえば使うものよりは生活から、肌に負担をかけない習慣づくりを。睡眠と食事を大切に、なるべくストレスは溜めず、心地よいリズムで暮らすことを大切にしています。ポーチに入れて持ち歩くものは、香りやうるおいのアイテムが中心です」
五十嵐さん:
「国産カモミールのスキンケアブランド『華蜜恋』は、2022年にブランドが営む宿『八寿恵荘(やすえそう)』を訪れたことがきっかけで愛用するようになりました。
ちょうど6月の、カモミール畑が満開の頃だったので、畑だけでなくホテルの中もカモミールの香りに満たされていて。ホテルでは石鹸やスキンケアアイテムすべてが華蜜恋のもので、その保湿力や使いごこちにも感動。なによりその白い花が、夜になると花びらを閉じ、朝がくると目を覚ますように開く姿が可愛らしくて、自宅の庭にも植えたほどです。
カモミールの花は、安らいだ気持ちにさせてくれる香り。知らぬ間に肩の力が入りがちな私に、そっと寄り添ってくれます」
元気のみなもとになる、ワンピース
五十嵐さん:
「私にとって欠かせないのが『Porter des boutons (ポルテ デ ブトン)』の洋服。歳を重ねる中で、自分に合う服がわからなくなる時期もありましたが、ポルテデブトンのシンプルだけど遊び心のあるデザインや、上質な着心地は、気持ちにしっくりなじみました。
ロマンチックでクラシカルなお洋服から、都会的でかっこいいお洋服まで幅広くあり、袖を通すたび新しい自分に出会えたような気分に。それでも飽きずに長く着られるのは、細部のあしらいにまで服づくりのこだわりを感じるから。いつも私をごきげんな気持ちにさせてくれる、元気のみなもとのような1着です」
五十嵐さん:
「手に取るたびに作った人の顔が浮かび、その人と交わした言葉を思い出したり、はじめて手にした時のときめきが蘇ったりする。私にとって『もの』とは自分の心を動かしてくれる生き物のような存在です。
今のわたしを元気にしてくれる『好き』なものを生み出した人たちがこの世界にいて、同じ時代に生きていることは本当に幸せなことだと感じています。
そうした存在が私に元気をくれるように、私もmolnを通じてお客さまへなにかを差し出していられたらと思いながら、宝物の詰まったバッグを提げて、今日もお店へ向かう日々です」
手に取るたびにんまりしてしまう、愛らしくて心あたたまるアイテムに溢れていたバッグの中身。
ひとつひとつの「好きなもの」に、五十嵐さんの言葉と感覚で紡がれた、丁寧な物語が詰まっていました。
次はどなたのバッグが登場するでしょうか、お楽しみに。
五十嵐 綾
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