【友だちについて話そう】第1話:友だちは、がんばっているのを知っている人(田中千絵さん)

ライター 片田理恵

家事と仕事と子育てをバタバタと行き来しながら、会えない時間もずっと、心のどこかで気になっている。それが「友だち」ではないでしょうか。

日々の多忙さに紛れて連絡すると言ったまま疎遠になっていたり、うれしかった贈り物のお礼をまだちゃんと伝えられずにいたり。年齢を重ねるにつれて過ごす時間や頻度は変わっていくけれど、でもやっぱり友だちって特別な存在です。

たまたま知り合って、たまたま興味を持って、こういうところが好きだなと感じたり、それは違うよと言えたりする。そんな人、そうはいませんよね。

今、どんなふうに友だちと過ごしていますか? 友だちって、どんな存在ですか?

大人になった私たちが考える「友だち」のこと。自分らしい道を歩む、すてきな先輩たちとおしゃべりしてきました。


焼き菓子から始まる、友だちの輪

最初に待ち合わせたのは、デザイナーの田中千絵(たなか・ちえ)さん。場所は東京・練馬区にあるカフェ「ALDO」です。

昨年、長く暮らした町を離れ、新天地でひとり暮らしを始めたばかり。このお店を知ったのは、今住んでいる場所で新しくできた友だちにすすめられたからでした。

プレゼントしてもらった焼き菓子のおいしさに惹かれて足繁く通うようになったそう。

田中さん:
「新しい場所で関係をつくっていく時に、プチギフトがすごく助けになってくれるんですよね。

焼き菓子はまさにそのひとつ。いただくとうれしいし、それが自分の好きな味だともっとうれしい。同じものをおいしいと思う人と仲よくなりたいですもん。そこから『このお店どこにあるの?』って会話も広がっていくしね」

田中さん:
「もちろんその逆も然りで、私もちょっとした贈り物には焼き菓子を差し上げることが多いんです。好きなものをオープンにするって、自分を知ってもらうことでもあるから」


自分のやりたいことを友だちと一緒にやればいい

好きな食べもの同様、「好きなお店」も、友だちと共有したいもののひとつ。

インテリアやメニュー、流れる音楽、書棚に並ぶ本、壁にかけられたアートまで、居心地のよさを分かりあえる友だちと過ごす時間は、この上なく楽しいもの。

田中さん:
「週のうち2日の午前中は会いたい人に会う時間にしようと決めて、そのときに友だちとよくお茶や食事をしています。午後からは仕事を入れているので、つい長引いてしまうなんてこともなく、おすすめですよ! 

それから、約束よりもちょっと早くお店に着いて、のんびりコーヒーを味わったり、マスターと話をしたりするひとり時間も好き。

一緒に過ごすわけじゃないけど、実はこれも『友だちとの約束』があるからこそ叶えられていることかもしれないですね」

田中さん:
「1日24時間の使い方を考えたときに、睡眠8時間、仕事8時間、移動と家事と趣味で8時間とすると、友だちと過ごせる時間って本当に少ないんですよ。

だったら自分のやりたいことを友だちと一緒にやればいいんだ!と思って。お気に入りのカフェに行くこともそうだし、体を動かしたいから公園でフリスビーやろうって集まったり、最近は刺繍にハマって手芸クラブを作ったりもしています。

50代になって意識や生活が変わっていく中で、『友だちだから』という理由で無理してつきあったり、つきあわせたりするのは大変。だからそのときに同じものが好きな人、同じことに興味がある人と過ごせると楽しいんじゃないかな」


じっくり話がしたい日も、大きな声で笑いたい日も

自分の生活を大切にしながら、同時に友だちとも楽しく過ごす。少しの工夫でこんなにも友だちとの時間を増やせるなんて!と、なんだかうれしくなりました。

旅行やショッピングに出かけるのもいいけれど、田中さんのやり方なら、もっと気軽に一緒にいることができそうです。

田中さん:
「友だちと過ごしたい理由ってなんだろう?と考えてみたんです。

それはきっと、お互いのがんばりを認め合える存在だから。友だちに会うと、私自身が笑顔になれる。私が楽しくごはんを食べたい、私が楽しく体を動かしたいから、友だちと一緒にやろうという発想が生まれるんだなって。

それに友だちと過ごすときって、じっくり話がしたい日も、大きな声で笑いたい日も、どっちもあるじゃないですか。

話したいモードのときはお茶に誘って、笑って騒ぎたいなら公園に集まってというふうに、いろんなつながり方ができる友だちがいるってすごくありがたいですね」


お互いが相手の居場所になれたらいい

最後に、田中さんが友だちといい関係でいるためにやっている「あること」を教えてもらいました。

田中さん:
「お互いをほめあうこと。『ほめほめ会』って呼んでいます。

仕事でもプライベートでも、みんなすごくがんばっていると思うんですよ。私も含めて(笑)。なのにこの年齢になるとなぜか、ほめられる機会が少なくなってくるじゃないですか。なにより、ほめてもらうとうれしいでしょう?

中年期はいろんなピンチにぶつかるので、友だちに感謝する場面が増えました。これから先も明るく楽しく暮らしていくために、お互いが相手のセキュリティや居場所になれたらいいですね」

ひとりひとりが自分の道を歩んでいながら、同時に友だちの伴走者でもある。なんともうまくできているなぁと思います。つかず、離れず、無理せず、進んだその先に。きっと5年後も、10年後も、友だちがいるんでしょうね。


【写真】砂原文、大森忠明(1枚目)
【協力】ALDO / アルド



もくじ

田中 千絵

デザイナーNPO法人Chou・chou(シュ・シュ)理事Voicyパーソナリティグラフィックデザイン、プロダクトデザイン、書籍の装丁など幅広く活動中。著書に『卒母のためにやってみた50のこと』(大和書房)がある。7/17〜27にALDOにて個展「tone(トーン)」開催予定。

Instagram: @chietanaka


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