【友だちについて話そう】第2話:友だちは、なんにもしない時間を一緒に過ごせる人(砂原文さん)

ライター 片田理恵

大人になった今、「友だち」ってどんな存在でしょうか。学生時代のように毎日を一緒に過ごすわけではないし、家庭を持つ前のように時間を気にせず集まれるわけでもない。

でもほんの短いひとときでも、道端でばったり顔を合わせて話ができたり、お菓子をおすそ分けしあったりすると、それだけですごくうれしい気持ちになりますよね。そう、そこが友だちのすごいところ。

今の私たちが考える「友だち」について話そう。第1話の田中千絵さんに続く第2話をお届けします。

第1話から読む

自然の中でのんびり、を一緒に

二人目にお話を伺うのはフォトグラファーの砂原文(すなはら・あや)さん。

2月下旬のお昼すぎ、東京・世田谷区にある砧公園に集合しました。

まだ風は少し冷たいけれど、木々の先にはもうふくらみ始めた新芽がたくさん。春の気配をそこここに感じながら、芝生の一角にアウトドアシートを敷きます。

砂原さん:
「友だちと過ごす場所といって真っ先に思い浮かぶのは、自然がたくさんあるところなんです。

4年前に葉山へ引っ越すまでは都心で暮らしていて、大きな広場のある公園にはよく来ていました。砧公園もそのひとつ。桜がすごくきれいなんですよ。

特に何かをするわけじゃなく、ぶらっと来て、のんびりして帰ります。そういう過ごし方が好きですね。今は海の近くに住んでいるので行き先がビーチに変わりましたけど、基本的には同じです。お茶を飲んだり、おしゃべりしたり」


「今日会える?」で始まるピクニック

シートの上に広げられたのは、お手製のおにぎりとおかず、ケーキ、瓶詰めのフルーツ、それにコーヒーを飲むための豆と道具あれこれ。ポットの中には熱いお湯が入っていて、ミルで挽いた豆をドリップしてくれるのだそう。

カゴから取り出されるものを眺めるだけでわくわくしてきます。

砂原さん:
「無理したり、背伸びしたり、自分にとって大変になることはしません。家にあるものでさっと作れる軽食を準備して、買い置きのおやつや、いつものコーヒーセットを持ってくる。特別なことがしたいわけじゃなくて、なんでもないことがしたいんですよね」

砂原さん:
「私にとって友だちって、『なんにもしない時間を一緒に過ごせる人』なんだと思います。

事前に約束をするよりも、『今日会える?』って突然連絡をする方が多いかな。それでタイミングが合えばうれしい!という感じですね。公園や海に集まってくつろぎながら、一緒に時間を過ごして、気の向くままおしゃべりをして。

夫や娘が一緒のこともあるし、私だけで行くこともあります。どっちかに次の予定があればその時間で解散。決まりのない自由なつながりが心地いいんです」


音楽やマンガの話からその人が見えてくる

そこまで聞いて思わず「そういう友だちはどうやって見つけるんですか?」と尋ねてしまいました。砂原さんはうーんと少し考えた後、ニコッと笑って「直感です」とひと言。

砂原さん:
「相手も心地いいと思ってくれるかどうかは、話しているとなんとなくわかる気がします。

雑貨屋さん、飲食関係、ご近所さん、アメリカ在住。今なんとなく顔が浮かんでいる友だちは、職種も住んでいる場所もいろいろです。

最初は仕事で知り合う場合も多いんですよ。編集さんとか、ライターさんとか。一緒に仕事をして、その人の考え方や個性を知って、すてきだなと思って仲よくなったり。

私、音楽とかマンガの話をするのが好きなんです。作品について自分の考えを話すとか、相手の言葉を受けてやりとりをすることがすごく楽しい。そういう話ができる人とは仲よくなりますね。話せば話すほどその人が見えてくるところもおもしろいし」


なんでもないという、特別な時間

砂原さんには自身の作品撮りのため、長年通っている場所があります。

それはハワイの島々やカリフォルニアの山地など、自然のエネルギーを感じられるところ。むき出しの自然の中に放り出されたような場所で寝起きする日々は、感性を研ぎ澄ませてくれる特別な時間なのだとか。

そんな大切な場所に友だちと訪れることもあるといいます。

砂原さん:
大自然の中ではその限りない風景に時間と身体を委ねます。友だちとふたりで、夕陽をただ2時間ずっと眺めていたことも。それはすごく印象に残ってますね。一緒に来てよかったって思いました。なんでもない時間っていいな、友だちとこうやって過ごせるっていいなって」

ひとりでも楽しいけれど、隣に友だちがいたからもっと楽しかった。何をしたわけじゃないけれど、隣に友だちがいたからすごくいい時間だった。そうそう、友だちってそんなふうに思わせてくれる人のこと!

「今日、公園でコーヒー飲まない?」

さっきから脳裏に浮かんでいるあの人に、思い切ってそんな連絡をしてみようか。ふとそんな気持ちになりました。「桜が咲きそうだから」なんていうのも、ちょうどいい理由になりそうです。


【写真】大森忠明



もくじ

砂原 文

フォトグラファー。女性誌やライフスタイル誌、書籍などを中心に、暮らしにまつわるヒト・モノ・コトを撮影している。夫、娘、猫とともに神奈川県葉山町在住。2017年にハワイ・モロカイ島の写真集『pili』を上梓。アクリル作品やオリジナルカードの制作販売も行っている。

Instagram: @trans_parence721


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