【連載】あの人の暮らしにある「北欧」のこと。no.02:可愛いテーブルクロス
ライター 藤沢あかり
食卓に、テーブルクロスを一枚。たちまち、景色が変わります。
テーブルクロスはよそいきではなく、身近なインテリア。そんなふうに思えるようになったのは、フィンランドで友だちの家におじゃましたことがはじまりでした。
部屋に入ると、家具にもファブリックにも色がたくさん使われていました。カラフルなインテリアは、それだけでこころが浮き立ちます。
お父さんの薄水色のストライプのシャツがとてもすてきで、そう伝えたら「マリメッコだよ」と教えてくれました。なにもかも、日本とは違って見えました。
案内された食卓には、一人ひとりの席に、重ねたプレートとカトラリーがセットされていて、プレートには「マリメッコ」のペーパーナプキンが添えられています。パンは、かごに入れてサーブされ、まるで絵本の世界。
それらがテーブルクロスの上に広がっているのが、とびきり豊かで、魅力的に見えたのです。
茶色のマリメッコは、日本のヴィンテージショップで見つけたもの。正方形だから、同じようにましかくのテーブルにかけられていたのかな、それとも、うちみたいなまるいダイニングテーブルで使われていたのかもしれない。
布一枚から、遠いフィンランドを訪ねた思い出も、いつかの誰かの暮らしも、未来への楽しみも、どんどん広がります。
最近のお気に入りは、リトアニアリネンをぜいたくに使ったチェック柄のクロスです。現地に直接オーダーし、まるいダイニングテーブルに合わせて仕立ててもらいました。
時間が育てたオーク材のあめ色も好きだけれど、ときどきこうしてクロスをかけると、見慣れた部屋が新鮮に映ります。模様替えよりもずっと気楽な気分転換です。
テーブルクロスを広げて、いつものパンと、いつものコーヒー。フィンランドで食べた、なんでもないシナモンドーナツとコーヒー、おいしかったなあ。なんてことを思い出したりもしています。
立古 尚子(りゅうこ なおこ)
グラフィックデザイナー。ステーショナリーや雑貨、冊子など、紙媒体を中心としたデザインを手がけている。夫と娘との3人暮らし。
インスタグラム @nao_et_noa
Text : Akari Fujisawa
Photo: Ayumi Yamamoto
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