【風景をつくる雑貨】団地の1LDKで一人暮らし。重松久惠さんがウィリアム・モリスのクッションカバーに替えてみたら
手のぬくもりを感じ、布を楽しむ。
東京郊外にある60平米の1LDKの団地で暮らす重松久惠(しげまつ・ひさえ)さんは、そんな人です。ちくちく針仕事をしたり、旅先では、その土地に根づく染めや織りを学ぶことが大好き。日々の暮らしの中で、布に親しんでおられます。
本日、当店で『「ウィリアム・モリスのある暮らし」ジャカード織のクッションカバー』を発売しました。記念して、「暮らしの中の布が好き」という重松さんに、ご自宅で使ってみていただいた様子をご紹介します。
商品ページはこちら「暮らしの中の布が好き」。重松久惠さんを訪ねました
重松さんは、出版やファッション関係の仕事を経て、50代で中小企業診断士の資格を取得。10年前から〈D&DEPARTMENT〉の商品開発コーディネーターを担当しています。
服飾関係の専門学校を卒業したほど、服や布が好きでしたが、自分で手を動かして作るようになったのは、この10年くらいのことだそう。
重松さん:
「商品開発の仕事で、いろんな生地見本をいただくので、せっかくだからと縫い合わせたのがはじまりです。大きい布にして、自宅のカーテンやベッドカバーにしたらいいかなって。
他にもダーニングや、機織りで小さな布を織るなど、黙々と手を動かすことが、瞑想のようで、すごく気持ちがいいんです。やってみて、私にはこういう時間が必要だったんだと気がつきました」
▲中国山東省の農村で無農薬コットンから手つむぎされた糸で織ったカーテン生地、富山県にあるレースメーカーのサンプルなどを縫い合わせて一枚の布に。
重松さん:
「カーテン、クッションカバー、ベッドリネンなど、生活の中に入る布が好きです。
ああしようかな、こうしようかなと、手元にある布で作るものや組み合わせ方を考えたり、布一枚で家の中がまったく違って見えたりするのが、なんだか楽しいんです」
人生ではじめてのウィリアム・モリス
そんな重松さんですが、ウィリアム・モリスの生地のものを部屋に置くのは今回がはじめて。選んだ柄は、ザ・ブルック、スネークヘッド、ブラックソーンの三つです。
重松さん:
「直感的に好きだと思ったものを選んでみました。
我が家は白からグレーの色調がメインで、柄といったら幾何学模様くらいしかありません。こういう柄のものは使ったことがなくて、どうだろう?と思っていたけれど、意外と馴染みますね。
特に気に入ったのは、深い森の中のワンシーンのようなザ・ブルック。鹿さんが可愛らしくて、藍色やダークグリーンを基調としたカラートーンも好きでした。
スネークヘッドは、グラデーションのような美しい色調に惹かれて。ブラックソーンは、落ち着いた柄の中にそっとある赤い花が好き。可愛らしいけど甘すぎない、大人の可愛さがいいですね」
物語のある柄に惹かれて
植物や花、動物といった有機的なモチーフが、美しいジャカード織で表現されているのも、このアイテムの魅力のひとつです。
重松さん:
「家に届いて、ソファに並べてみて、最初に思い浮かんだのが、『まるで、部屋の中に森ができたみたい!』ということ。どの柄も、一編の物語のように奥行きを感じられて、思わずじっくり眺めたくなります。
クッションカバーしか替えてないのですけれど、本当に、家の風景ががらりと変わりましたね。どの模様からも、お庭だったり、森の中だったり、自然に触れたときの心地よさが感じられるんです。気持ちまでパッと明るくなりました。
ウィリアム・モリスらしいクラシカルさは、シンプルな空間では主役になるし、意外と和室にも合いそう。どこに置いても様になるのは、さすが歴史あるデザインだと思いました」
手仕事のようなぬくもりを感じられるところがいい
重松さん:
「それにしても、この重厚な柄とジャカード織の質感は、本当に素晴らしいですね……!
私は、手仕事の布が好きですが、その理由は長いこと受け継がれ、作り手の心が込められて、ていねいに作られてきたものだから。
今回のクッションカバーも、やっぱり最初に人の手が入っていたことが伝わってくる布だなと思いました」
重松さん:
「機械で織られてはいるけれど、機械的に作られたものではなく、老舗ブランドならではの、質のよさと手仕事の温もりを感じます。
なによりもこの柄をジャカード織で表現するって、糸を組むところから大変でしょう? 柄の出方を見ながら織っていくのも、とても技術と時間のかかる作業だと思います。
人の手が入った形跡があるものは、やっぱり惹かれるし、大切にしたくなります」
密度があるものは、小さなもので取り入れるのが部屋づくりのコツ
白っぽいシンプルな家と物語を感じる柄。
新たに主役級のものを取り入れても、重松さんらしさが失われていないのも素敵です。聞くと、実は部屋づくりで大切にしてきたバランスの妙があるのだとか。
重松さん:
「今回のクッションカバーのように、重厚なもの、密度が濃いもの、質のいいものは、小さなもので取り入れるのがいいんですね。
大きい面積のものは無地などシンプルなもの、小さな面積に密度のあるものを取り入れるっていう構成が好きなんです」
重松さん:
「ファッションもそうで、例えばバッグの素材で、キュッと密度のある織物を合わせている人を見るとおしゃれだなと思います。シンプルなものだけで構成するよりも、全体が引き締まって見えるでしょう?
小さいものは後回しでもいいように思うけれど、むしろ逆で、布は小さいものほど安っぽい生地だと寂しい印象になってしまいます。なので、我が家のような白い空間に、今回のクッションカバーはぴったりだと思いました」
一つあると、風景がまったく変わる
重松さん:
「カーテンでも、ラグでも、クッションカバーでも、たった一枚を新調するだけで、部屋の印象ががらりと変わりますよね。
中でもクッションカバーは手軽だし、小さな面積だからこそポイントを持ってこれるので、インテリアの雰囲気を変えるには、一番効果的かもしれません」
重松さん:
「我が家では、もともと柿渋染のクッションカバーだったのを、ウィリアム・モリスのものに替えたおかげで、物語を感じる空間に生まれ変わりました。少しモダンでクールな印象になって、これもこれで美しいなと思いますね。
クッションカバーを一枚替えたら、例えばラグも同じような色調のものを作ってみようかって思い始める。インテリアが変わって、暮らしが変わって、風景がつくられていく。そういう感じがすごくいいなと思います」
▲「趣味は旅と料理」という重松さん。取材後はスタッフみんなで美味しいランチをごちそうになりました
一つあるだけで、風景が変わる。
重松さんの言葉を思い出しながら、私も自宅に「スネークヘッド」と「アネモネ」を置いてみました。白い壁と無垢材の床、北欧ヴィンテージのオーク材の家具が多い我が家には、この二つのニュアンスカラーが似合うかなと思って。
植物や花の美しい模様は、森の中の風景を思わせ、気づけば、まるで花一輪を生けたときのように、朝に夕にそこへと目が惹きつけられています。
どこかマンネリを感じていた我が家に、新しい風景が生まれていきそうです。
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【写真】土田凌

重松久惠(しげまつ・ひさえ)
文化服装学院卒業後、ファッション誌の編集者、アパレル勤務を経て独立。〈D&DEPARTMENT〉では商品開発コーディネートを務める。また、中小企業診断士の資格を59歳で取得し、さまざまな会社のアドバイザー、大学院講師としても活動中。
Instagram: @hisae112
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