【フィットする暮らし】第4話:毎日ひとつでも「思いこみ」を壊す
編集スタッフ 塩川
写真 木村文平
シリーズ「フィットする暮らしのつくり方」Vol.12は、イラストレーター&アートディレクターの兎村彩野(うさむら あやの)さんにお話を伺っています。
断捨離で「欲ばり」を手放した兎村さんは、物との付き合い方を変え、今の自分にフィットした暮らしにたどり着きました。
自分自身を理解し「嫌なところ」を変えた兎村さんは、とても身軽に思えます。しかしどうやって、その状態を保つようにしているのでしょうか?
第4話
毎日ひとつでも「思いこみ」を壊す
兎村さん:
「起きている間はひたすら『思いこみ』がないかを探しています。
年をとると、どんどん『思いこみ』が増えてしまうんですよね。知ったつもりになっていたり、あの人はこうだろうと決めつけてしまったり……。
でも反対に子供って素直だから、大人と遊ぶのがすごく上手なんです。先入観を持たずにどんな人とでも垣根なく、自然に遊ぶんだなぁと感じています。
そんな姿を見ていると、いかに普段『経験』といえばいい言葉ですが『思いこみ』で物事を判断しているのではないかなと気付きました。
今では何かを考えても、本当に決めつけがないか、自分に問いかけるようにしています。そうやって自分自身を俯瞰して、主観的にならないように気をつけています。
毎日ひとつでもいいから、好奇心をもって『思いこみ』を壊していくと、ワクワクできるんです」
「欲ばりを捨て、思いこみを壊す」兎村さんの頭と心は、常にフラットな状態を保っているように感じました。
だからこそ新たな価値観を受け入れ、変化を楽しめるのではないでしょうか。
手放す中でも変わらない「自分の軸」
変化を受け入れる兎村さん。しかし「自分の軸」は、変わらないように思えました。
兎村さん:
「基本的には、未来のことばかり考えています。80歳までの大まかな道筋は決めていて、その中で与えられたことや流れてくる運に、寄り添いながら生きていたいんです。
例えば40代になったら、海の街から山に移住して家を建てる。50代はその近くで、ものをつくるための合宿施設を作る。そして60代になったらカウンターだけの漫画喫茶をやりたいと考えています」
「作り続けること」それが兎村さんの軸のように浮かびました。
自分で未来を描いているからこそ、理想に行き着くまでの変化は、大きな問題ではないのかもしれません。
「軸があるから『思いこみ』を壊せるんです」と兎村さんは続けます。
フィットする暮らしを「つくる」って大変だ!
わたしたち北欧、暮らしの道具店は「フィットする暮らし、つくろう」をテーマに掲げています。
ちょうど1年くらい前に入社したわたしは、初日に「フィットする暮らしとは何か」と店長佐藤からレクチャーを受けました。
「誰かのモノサシではなく、自分のモノサシで満足できる暮らしを作る事。それはとても大変で、みんなファイターなんだよ」と教わりました。しかし当時は、その言葉に「ピン」ときていなかったんです。
自分のモノサシを作るためには、自分自身を知り、良いところとも悪いところとも向き合わなければいけません。
今回兎村さんのお話を伺い、ようやくそれが実感できるようになりました。
わたしの今の暮らしはたくさんの物に囲まれ、変わらない自分自身に不満があり、100%フィットしているとは残念ながら言い切れません。
しかし悩んでいるからこそ、学べることがたくさんありました。
・自分自身を知り、俯瞰すること
・期待ではなく信頼すること
・話し合い、言葉にすること
・欲ばりを捨てること
・思いこみを壊してフラットでいること
・変化を受け入れること
・自分の軸をしっかり持つこと
心の中でごちゃごちゃと積み上がった問題は、実は当たり前のことだらけで、それに目を背けずちゃんと向き合う。
そうやって凝り固まった価値観を手放せば「自分の嫌なところ」を変えられて、フィットする暮らしに一歩近づくように感じました。
連載の最後は、兎村さんの言葉で締めくくりたいと思います。
兎村彩野さんにとって「フィットする暮らし」とは?
家に長く居るわたしにとって、
天候や自分の体調に合わせて、その時の感覚を大事にし自分を寄り添わせる。
決して何者(時には物)とも戦わない・比べない。
少しずぼらで、他人に寛大であり、自然に優しい。
変化に対して恐れず、ありのままを受け入れる。ぶれない心の軸の中で、働いたり、遊んだり、学んだり、
他人や世界に合わせてもらうフィットを待つより、
兎村彩野
(おわり)
もくじ
TO2KAKU 兎村彩野
(イラストレーター&アートディレクター)
1980年東京生まれ、北海道育ち。高校在学中にプロのイラストレーターとして活動を開始し、17歳でフリーランスになる。現在は夫婦2人のデザインユニット TO2KAKU(http://to2kaku.com/)として、誰かの「作りたい」という気持ちをカタチにしている。
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