【BRAND NOTE】第1話:暮らしの目利き3人に教わった「ハンドメイドの良さ」とは?
ハンドメイドの良さって何でしょう?手作りの作品や雑貨の魅力とは?それを知るため暮らしの道具に詳しい3名を訪ねました。かっぱ橋でitonowa(イトノワ)やitonowa life(イトノワライフ)を営み自家製ジャムやジンジャーシロップも人気の渋谷有美さん、料理家で編集者のフルタヨウコさん、世田谷区上町の工芸喜頓(きいとん)やネットショップ・日々の暮らしで民藝(民芸)の器を扱う石原文子さんの3名です。
編集スタッフ 長谷川
写真 平本泰淳
「ハンドメイドの良さ」って、なんだろう?
今回のBRAND NOTEは、アプリとウェブで体験できるハンドメイドマーケット『minne(ミンネ)』の第3弾。
作家たちが手間ひまをかけ、作りだした質の高い作品たち。その制作をサポートし、使う人との出会いを作るminneの取り組みをこれまでにもお届けしてきました。
ここで一度、あらためて考えてみたいのが「ハンドメイドならではの良さ」とは何なのでしょう?
よく使われるこの言葉を見つめ直し、質の高いものを射止めるヒントが得られれば、minneでより良いものと出会えるチャンスも増えるはずです。
私たちはそんなふうに考えて、全3話の連載にまとめてみました。
ハンドメイドを楽しむ、3人の「暮らしの目利き」に会ってきました。
第1話では、以前にご登場いただいた「minneのアトリエ」の管理人・和田真歩さんと一緒に、暮らしの道具を扱う3人の目利きを訪ねて、お気に入りの「ハンドメイド」を教えてもらいました。
(和田さんも数多くの作家さんをサポートしてきた、目利きのひとりでもあります)
それでは、一人目の方にお話を伺いましょう。訪ねたのは東京・稲荷町にある「itonowa life(イトノワライフ)」です。
(この記事は、クライアント企業さまのご依頼で製作する「BRAND NOTE」という記事広告コンテンツです)
itonowa / itonowa life 店主
渋谷有美さんが使う「作家の器」
渋谷有美さんは、アパレル企業、カフェの立ち上げ、ジャムの販売業を経て、ご自分のお店である「itonowa」をオープン。
そのほど近くにある「itonowa life」には、渋谷さんが選んだ雑貨や服たちが並んでいます。パッケージからシルエット、素材感に至るまで、細部までに丁寧な仕事を感じさせるものたちばかりです。
今回は、カフェでお客さまに提供する料理でのお付き合いはもちろん、ご自身もお好きだという「器」をいくつか見せていただきました。
「欠け」を愛せる器たちと、付き合っていくこと。
▲上の黒い深鉢は吉田直嗣さん作。時計回りに、市川孝さん作のカップ、イイホシユミコさん作のカップ、太宰久美子さんのお皿と豆皿。
渋谷有美さん:
「今回は日々の食卓で使っている、ほんとうに気にいっているものだけを持ってきました。
住んでいるのが賃貸物件で、あまり家具とかも買ってないのもあって、ずっと“仮住まい”みたいな感じで暮らしているんです。
でも器は、長く使っているものがたくさんあって。イイホシさんのが10年、太宰さんは12年くらいかな」
器を見て「お好きなものが凝縮されている雰囲気がとってもいいですね。輪郭線がシャープで、ハンドクラフトの雰囲気がありすぎない」と和田さん。
渋谷さんが指差す先、吉田直嗣さんの器の「欠け」には、新鮮な気付きが潜んでいました。
渋谷有美さん:
「ちょっと欠けてしまって新しいのをもうひとつ買ったんですけど、欠けているのをずっと使い続けていたら、その部分の手触りが丸くなって嫌じゃなくなってきたんですね。
『作家物は、欠けが丸くなっていくのも、それはそれで味なのよ』ってある人から聞いた話が、本当だったなと知った瞬間でした」
渋谷有美さん:
「工業製品は欠けた時に作家物のようにはならず、本当に割れてしまうはずです。もちろん、工業製品ならではの良さもありますが、欠けたから使おうという気にはなりにくいというか。
だから私にとって『使い続けられるもの』は質が良いと感じますね。ハンドワークで作られた器の魅力だと思います」
料理家 / 編集者
フルタヨウコさんが選ぶ「手作り調味料」
続いてお話を伺ったのは、クラシコムの社員食堂やオリジナルジャムづくりをはじめ、料理家としてレシピ開発、フードイベントで腕を揮うフルタヨウコさん。
ハンドメイドといえば雑貨や洋服が思い浮かびますが、手仕事の食べ物や調味料も仲間のうちです。
そこで、料理に関わるお仕事をされて14年ばかり、おいしいものをたくさん知っているフルタヨウコさんのご自宅で「手作り調味料」の魅力を教えてもらいました。
「手作りで、自分と同じくらい年代の人が手掛ける調味料だと、目線も近いし、毎日の食卓にも加えやすいんです」とフルタヨウコさん。
「顔の見える、魔法のひとさじ」が教えてくれる。
▲東京・小金井にある料理店「あたらしい日常料理 ふじわら」のおいしいびん詰めは、フードイベントでも人気の的。「仙人スパイス」による純胡椒は、インドネシアのカリマンタン島で採れた新鮮な胡椒を塩水漬けにした逸品。乾燥胡椒よりも爽やかな香りが特徴。
フルタヨウコさん:
「ふじわらさんの『パクチーレモンオイル』は青菜やサラダ、ゆでたまごにも合います。『にんにくえび塩』や『おいしい唐辛子』も香りや辛味のバランスがよくて、お肉やごはん、中華粥にも。
まさに魔法のひとさじといった魅力があります。何も考えたくないほど疲れているときなんかも、これだけで味がぴったり決まるんですね。
純胡椒はきざんで炒めものに入れたり、お肉のトッピングに。作っている高橋仙人さんとたまたま知り合った縁から手にしてみたんです。
最近はこういった手作りの調味料にチャレンジする人も増えてきていますね」
ハンドメイドの調味料を選ぶコツを聞いてみると「作った人の名前が書いてあり、パッケージがちゃんとしていること。細部まで気遣いが届いていて外れが少ないように思います」。
これにはminneのアトリエで、作家たちと交流する和田さんも納得の様子。
「パッケージは自信の表れです。人と成りを表しますし、自信がないと自分の名前を付けて出せないですものね。
特にネットだけでお客さまとは対面しないminneでは、作品を通じて気持ちを伝えるためにも、より良くするようにアドバイスしますね」
フルタヨウコさん:
「それから、『自分で使いたいもの』じゃないと質が良いとは言えないんでしょうね。質が良いって、すごく個人的な基準なんじゃないかな。
野菜ひとつにしても、農薬を使っていても新鮮だったら質がよいかもしれないし、無農薬でもしなびていたら質が良いとはいえないと思うんです。
他人から勧められて感じる価値ではなく、自分の判断で『これが良いんだ』って思えるものを探すのも、また楽しいですよ。その味を作った人との共通点が見えてくるのも楽しみです」
日々の暮らし / 工芸喜頓 店主
石原文子さんが楽しむ「異国のインテリア」
最後は、オンラインショップ「日々の暮らし」、東京・上町で実店舗「工芸喜頓」を運営する石原文子さんのご自宅へ。
石原さんのお店に並ぶのは、日本各地の窯元をまわって、「心が惹きつけられるか。美しいかどうか」を基準に買い付けた器たちです。
「実用性重視ではものを買わない」という石原さんのご自宅にも、そのエッセンスを感じるものたちが並びます。
お住まいは築40年を越える集合住宅。室内には異国の空気をまとった家具やインテリアが目に留まります。
「家のテイストが和風なので、あまり和風すぎないのを」選ぶことが多いそう。
石原文子さん:
「私も主人もクラフトもの、特にミッドセンチュリーが好きなんですよ。結婚した時にお互いに持っていてOKが出せるもので家をつくろうというコンセプトがあって、気づいたらここに行き着いていましたね。
海外ものはハンドメイドマーケットサイトやオークション、海外発送してくれるショップで買うことも多いです。
ネットに関しては何回か買い物しているサイトなら、そこがどういう方針かわかって安心できますから、1回買ってみるといいですね。でも、一目惚れでポチッとすることもあります(笑)」
手にした人が「余白を楽しめるもの」に惹かれる。
▲アメリカ生まれの陶器アート。目にした瞬間に「食器棚のあそこに置きたい」とイメージが湧いた。
石原文子さん:
「このアートは一目惚れでした。同じ色合いのガラス瓶を持っていたので、並べて飾りたいと思って。
海の青さや、自然な色合いの赤みも良いですね。意味はわからないけれど、神話のようなイメージでしょうか、ストーリーを感じるところも好きです。
家にはこういうアート性があったり、やわらかみのある、ぬくもりのあるものを置きたくて」
▲アメリカ・オレゴン州の古いタペストリーはネットで購入。お正月や年末年始に掛け軸のように使っている。
▲西アフリカのマリ共和国で生まれた、ヤシの木の幹で作られたイス。以前から「なぜかマリの音楽が好き」だった石原さんがH.P.FRANCEで出会い、「マリで作られた」と聞いて不思議な縁を感じた。ちなみに、岩のように固くて重い。
石原文子さん:
「ハンドメイドのものって、それを手にする人が感情を付け加えたり、楽しめたりする余白があるところに惹かれます。
美しいものがたまたま器だったという感じです。仮にヒビが入って汁物を入れられないなら、器としての役割を終えて、植木鉢にぴったりになりますよね。
私は『品格のあるもの』が好きなんです。値段の高さではなく、作る人の品格を感じられるもの。『自分は自分で、人は人』っていうマイペースっぷりとか、作っているときに楽しかったんだろうなって思えることとか」
石原文子さん:
「ハンドメイドのものこそ、あまり人目を気にせずに楽しんでいけばいいと思うんです。洋食器と和食器を混ぜて使ってもいいわけです。
だからこそ、ハンドメイドは使って初めて完成するものといえるかもしれません。余白が残されていると、結局それだけ長くも使っていけますから。
作る人と使う人、両方の手や思いが重なってひとつのものが完成するという意識で、私はものを見ています。私にとっては『余白が残されたもの』が質の高さにもつながっていますね。
だから顔が見えない人のものを買うのも、楽しみではあるんです。アメリカの陶器アートやマリのイスなんて、作り手が想像できないから余白ばかりですよね(笑)」
ハンドメイドと、質の良さが、重なるところで。
『使い続けられるもの』
『自分で使いたいもの』
『余白が残されたもの』
言い換えるならば、渋谷有美さんは「愛せる時間が長い」、フルタヨウコさんは「日常に取り入れやすい」、 石原文子さんは「自分流に楽しみやすい」となるでしょうか。
ハンドメイドには、すぐれた素材や丁寧な仕事といった「今ここ」でわかる価値に加え、「未来の時間が豊かである」ことにも魅力があるようです。
使う側の私たちに委ねられているからこそ、長く楽しめ、取り入れやすくて、アレンジが効く。
使っていくたびに「私らしさ」が生まれていく理由ともいえそうです。
(写真 クラシコム)
minneにはアプリやウェブで、いつでもハンドメイド作品と出会えるチャンスが待っています。
未来の時間を想像して、自分なりの「質の良さ」を胸に眺めてみれば、見え方もきっと変わってくるはずです。
minneで見つけた愛用品!
朝食が楽しみになる「バターケース」
今回のBRAND NOTEでは、minneが発行するwebマガジンの「minne mag.」とのコラボ読みものをつくっています。
日々の暮らしで「こんなのあったらいいなぁ」を思い描くクラシコムスタッフがminneをのぞいてみたら、欲しかったものに出合えました! そんな喜びを、見つけたものと一緒に綴っています。
スタッフ松田が見つけたのは山桜で作られたバターケース。どなたの作品か、どんなところが気に入ったか、下記のバナーよりminne mag.にてご覧ください。
第2話では、minneに新しく加わった「食べ物」カテゴリーに注目しました。担当者さんにオススメを聞いて、クラシコムスタッフで試食会を開催!
ハンドメイドの良さを考える時間、明日に続きます。
渋谷有美
1975年生まれ。itonowa、itonowa Life店主。アパレル会社AMBIDEXの販売を経て、カフェAnnon cookを立ち上げる。その後独立し、2008年合羽橋にitonowaをオープン、2012年にitonowa Lifeをオープン。
フルタヨウコ
デザイン関係の企画編集、執筆、写真を手がける一方で、ケータリングを開始。オリジナルジャム制作の他に料理やイベント出店なども行う。現在はクラシコムの社食作りや定番レシピ連載、KURASHI&Trips JAM LABORATORYでのジャムプロデュースも務めている。http://home-home.jp
石原文子
工芸喜頓店主。1975年、神奈川県生まれ。2児の母。フランスのラグジュアリーブランドの営業&マーケティングに長年携わった後、結婚と出産を機に全国各地の民芸の器を取り扱うオンラインショップ「日々の暮らし」(www.hibinokurashi.com)を夫婦で立ち上げる。2013年に実店舗「工芸喜頓」(www.kogei-keaton.com)を世田谷区上町にOPEN。工芸喜頓(東京都世田谷区世田谷1-48-10 / Tel: 03-6805-3737)
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