【ハワイと暮らし】第1話:私たちが惹かれたハワイの本。その著者、赤澤かおりさんに会いに

編集スタッフ 塩川

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「暮らしも仕事、仕事も暮らし」ではない働きかた?

よく働いて、おいしいご飯を作りたい。

当店がモットーとして掲げている「暮らしも仕事、仕事も暮らし」。この働きかたに憧れて、私はクラシコムの扉を叩きました。

でも、その両立は想像以上に難しく……。思い通りにいかないジレンマから悶々としていると、店長佐藤から1冊の本が手渡されました。

それはハワイについて綴られたガイドブック『Aloha Book―ハワイの行くとこ、見るとこ、食べるとこ』(六耀社)です。

約10年前に出版された本なので、ご存知の方も多いかもしれませんね。

1612_hawaii_AB_020_1▲フリーの編集者・赤澤かおり(あかざわかおり)さんと、ハワイ在住のコーディネーター・内野亮(うちのまこと)さんお二人の共著です。

楽しげなおしゃべりを聞いているような文章と、優しい色合いの写真。

ページをめくると、私がイメージするハワイ像(常夏でどこかギラギラしていそう)とはまったく違う、穏やかで心地の良い世界が広がっています。

自然に肩の力が抜けていくと同時に、赤澤さんの自己紹介に書かれていた一言に目が留まりました。

休みの日にハワイに出かけることだけを目標に日々生きている』(p5)

そこには「暮らしも仕事、仕事も暮らし」ではない、新たな価値観や生き方のヒントが隠れているように思えて……。

北欧、暮らしの道具店だけどハワイ?と、心の声が聞こえてきそうですが(実際、赤澤さんにもつっこまれました)、私たちは赤澤さんのもとを訪ねることにしました。

1612_hawaii_IMG_6721▲取材は赤澤さんの住む鎌倉にて。写真左から塩川、赤澤さん、店長佐藤です。

 

好きになったら何度でも、確かめに行かないと気が済まない

1612_hawaii_02▲赤澤さんと内野さん。毎回お二人の掛け合いがたまりません。

料理や旅に関する書籍の編集者・ライターとして活躍されている赤澤さんは、内野さんと共に、ハワイにまつわる本を多数出版しています。

赤澤さんが最初にハワイを訪れたのは10代のとき。はじめは「こんなものか」と思い、あまりピンとこなかったそう。

ですが、社会人になり出版社に勤め、お仕事でハワイへ。そこで出会ったのが、当時駆け出しのコーディネーターだった内野さんです。

赤澤さん:
「仕事がメインとはいえ、昔ながらの街並みや、地元の人に愛されているプレートランチ屋さんなど、いろいろなところを案内してもらいました。

今までイメージしていたハワイとまったく違って、アメリカと日本が混ざったような文化と、古き良き時代の、人の温かさが残っている感じがとても印象的だったんです。

私はしつこい性格だから、好きになったら何度も自分で確かめないと気が済まなくて。それから何度も通うようになりました」

今までに100回以上(!)ハワイへ通っている赤澤さん。ハワイにまつわるガイドブックやテキスタイルブックなど、手がけた本は10冊を超えました。

1612_hawaii_IMG_6535▲この10年で赤澤さんが手がけたハワイに関する著書。ここには写っていませんが、あと1冊『GO! GO! Farmers’ Market in Hawaii』(誠文堂新光社)も。

赤澤さんがハワイに通うようになってから生まれたモノは、書籍以外にもう一つ。

友人の布構成作家・丹羽裕美子(にわゆみこ)さんと共に、ユーズドのアロハシャツやムームーをリメイクする「Aloha Tailor of Waikiki(アロハテーラーオブワイキキ)」を主宰しています。

すべてハンドメイドで仕立て直した洋服は、展示会を中心に販売していましたが、現在は新たなプロジェクトに向け準備中だそう。

日本にいても「ハワイ血中濃度が低くならないようにしている」と赤澤さんは話します。

1612_hawaii_IMG_6578▲アロハシャツをスカートに!ハワイに敬意を払い、ハサミを使わずにアロハシャツを一つひとつ糸切りで解き、手しごとでリメイクしています。

1612_hawaii_IMG_6631▲余った生地はポーチやしおりにし、タグやボタンもすべて大切に保管されていました。

 

本づくりはロードムービー。だから伝わる

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最初の本『Aloha Book』が出版されたのは、赤澤さんがハワイに通うようになって20年が過ぎた頃のことです。

赤澤さん:
「ハワイが大好きで、大好きで、本を出す前から『ハワイに行くからおすすめを教えて』と友人に言われれば、リストにして渡していました。

ある日、知り合いの編集さんが友人の結婚式でハワイに行ったけれど、まったく楽しめなかったと話していて『どのお店に行ったの?こことあそこは行った?』なんてお節介をしていたら『それを本にしましょう!』と声をかけていただいて。

当時の私は、自分は編集者だという思いがあり、著者になることには少し抵抗がありました。

でも自分のことってよくわからないけど、私は何かを人に勧めるのが好きみたい。うれしいことに今までの本は、そうやって話をしているうちに、形になってきました」

1612_hawaii_IMG_6637▲取材のノートは書籍ごとに新調するそう。取材先の情報や、心に残ったことのメモが綴られていました。表紙には内野さんの落書きも。

確かに赤澤さんの本は、話しかけられているような文体も魅力の一つ。ワクワクや楽しさが伝わってきて、いつの間にか一緒に旅をしているような気分になります。

赤澤さん:
「私たちの本は、ロードムービーなんですよね。仕事とはいえ、アクティビティも全部楽しんでいます。自分たちも本気で楽しくないと読者の方に伝わらないと思っていて。

取材もできるだけ詰め込まず、予定になくても『あっ!』と見つけた場所や、プライベートで遊んでいるときに出会ったお店も載せるようにしています。

何冊かハワイの本を作ってきましたが、何度も同じ所を紹介しているのはホテルとビショップミュージアムぐらい。

ありがたいことに読者の方からは、ハワイに行けないときに読んで、次に行くときの糧にしていると感想をいただくこともあるんです」

キャプションもひとつひとつ、工夫して書いているという赤澤さんの本づくり。「言いたいことがありすぎて、1行で収まればかっこいいんだけど、ついはみ出して3行ぐらいになっちゃうの」と笑いながら話します。

 

赤澤さん流、ハワイの楽しみかた

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仕事も暮らしも遊びも境目なく、全部ミックスしているという赤澤さん。

その答えは、私たちがイメージしていたものとは違いました。もっと「仕事は仕事、暮らしは暮らし」と割り切っていると想像していたからです。

全部混ざり合っているからこそ、赤澤さんの本は人柄がそのまま出ていて、心に響くのかもしれません。

赤澤さんが愛し、通い続けているハワイ。そこに行くことで、暮らしのバランスを取っているようにも感じます。

2話目では、赤澤さん流のハワイの楽しみかたやおすすめスポットを伺いました。

(つづく)

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【写真】広瀬貴子(1、3、5〜11枚目)
1、8枚目は 『LOCAL HAWAII』(京阪神エルマガジン社)より転載。

※『Aloha Book』(六耀社)は残念ながら7刷で絶版になります。気になる方はお早めにどうぞ。


 

もくじ

 

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編集者・ライター 赤澤かおり

出版社にて雑誌編集を経てフリーに。料理と旅、暮らしまわりのことを中心に執筆・編集を行う。ハワイをこよなく愛し、ハワイにまつわる本を多数執筆。最新作は共著『LOCAL HAWAII』(京阪神エルマガジン社)・『Hawaii Vacation Book for Oahu Lovers』(講談社)、著書『鎌倉 のんで、たべる。』(朝日新聞出版社)。 https://www.instagram.com/akalohasunny

▽赤澤さんの書籍はこちらからご覧いただけます。

 


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